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初めてできた彼女をNTRされた。その後普通に生きてただけなのにざまぁが成立した。  作者: 猫野 ジム


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第6話 温かい人達。でも復讐心も忘れずに。

 出迎えてくれたのは金髪ミディアムヘアがよく似合う若い女性だった。


 求人票の情報からてっきり男性が出迎えてくれると思い込んでいた俺は、驚きからつい身構えてしまった。


 ミリーの一件があったからなのか、それはまるで女性に対する拒否反応のよう。特に意識していたわけじゃないのに、やっぱりまだまだ忘れることはできないみたいだ。


「そうよね、ごめんなさい。夫の名前で募集していたのに出迎えたのが私だったら、誰でもビックリしますよね」


「いえ、こちらこそ失礼な態度をとって申し訳ありません」


「大丈夫ですよ、どうかお気になさらず。とりあえず中にお入りください」


 そう言われついて行った先にはテーブルやイスなどの家具があり、生活感のある部屋だった。ごく普通の家庭のリビングルームと言っていいだろう。


「どうぞそちらにお掛けください」


 そう促され座ったのはごく普通のイス。テーブルを挟んだ向こう側にも同じようなイスがあり、これから就職の面接があることをつい忘れてしまいそうになる。


「申し遅れました。私、ラインゴットの妻でスフィアといいます。本当にごめんなさい、夫はもうすぐ参りますので」


「いえ、こちらが伺うのが早かっただけなので」


「こちら、リラックス効果があるハーブティーです。お口に合えばいいのですけど」


 目の前に置いてくれたティーカップからは湯気と共に、どことなく甘い香りが立っている。


「ありがとうございます、いただきます」


 きっと俺が緊張しているかもしれないと気を遣ってくれているのだろう。とても心にしみる。


 口に含むと体だけでなく、なんだか心まで温かくなっていくのを感じた。……なんて、少し大げさかもしれないけど、こういう小さな優しさが本当に嬉しかったんだ。


 それから数分ほど経つと一人の男性が部屋に入って来たので、俺はスッと立ち上がる。


 180センチはあるだろうがっしりとした体つきで、黒髪短髪で綺麗にヒゲをそっており、清潔感がある。スフィアさんも美人だと思ったけど、顔立ちがよく男の俺から見てもイケメンだ。


「待たせて申し訳ない。俺……いや、私がラインゴットです」


「いえ、時間通りなのでどうかお気になさらず。キョウマです。よろしくお願いします」


「とりあえず座ってください」


 そしてテーブルを挟んで対面する形になった。普通にリビングで雑談する感じみたいだけど、これは就職面接だから気を引き締めないと。


「えー、私がラインゴットです」


 ラインゴットさんはそれだけ言うと、少しの沈黙が訪れた。


(どうしたんだろう? 俺も何か言ったほうがいいのだろうか……?)


 さすがに「名前ならさっきも聞きましたよ」なんて言えるわけないし、困ったな。


「あー、それではまず、志望動機を聞かせて……お聞かせください」


「はい。私はつい先日まで冒険者をしており様々なアイテムに助けられました。そして訳あって冒険者の活動を最低限にすることに決めたのですが、今度は私がアイテムを提供する立場になりたいと考えました。それにアイテムは冒険者以外の人の助けにもなります。そこで身に付けた知識と経験がきっとお役に立てると思い志望いたしました」


「20歳でCランクってかなり凄くないか? 俺……私はそう思うんだけど」


 なんだか口調が安定してないなと思っていると、ラインゴットさんが頭を抱えた。


「うおぉーっ! やっぱり落ち着かねーっ……! キョウマさん、少しばかり言葉づかいを戻していいだろうか?」


「え、ええ……、どうぞ」


「ありがとう、助かる。やっぱり俺には堅苦しいのは無理だ! あ、キョウマさんも緊張しなくていいから楽にしてくれよ。なんならタメ口でもいいから。で、さっきの話の続きだがCランク冒険者にもなると、かなりいい生活ができるんじゃないか?」


「そうですね、確かに収入面においては不自由しなかったです」


「だよな。それがどうして転職しようと思ったんだ? もちろん俺はできる限り給料を多くするつもりではいる。だがもうハッキリ言うけど、収入はかなり減ると思うぞ」


「収入は大事なことなのでもちろん気にしますけど、冒険者が破格すぎるだけだと思います。それに何よりやっぱり不安定ですから」


「ま、そうだよな。冒険者ってのは何があっても全部自分の責任だからな。それにやっぱり生きてこそ人生を楽しめるってもんだ。……おっと、冒険者をバカにしてるわけじゃないぞ。俺がアイテムショップをしてるのは、冒険者だけに限らず傷付いたり命を落とす人が一人でも少なくなるようにって願いからなんだ。これでも安さには自信があるつもりだ」


 その言葉に続けてラインゴットさんは、「まぁ俺も商売だからさすがにタダってわけにはいかないけどな!」と、少し大げさに笑って見せた。


 それからもいくつか質問されたけど、その頃にはこれは面接だという実感は消えており、時にはお互い笑顔も見せながら、本当にリビングで雑談をしているようだった。


「それじゃ早速で悪いが明日からよろしくな!」


「はい、ありがとうございます!」


 ラインゴットさんとスフィアさん。二人ともとても温かい人だ。今から俺の『普通の生活』が始まろうとしている。


 その一方で万が一、ミリー達と再会する時がくるかもしれない。その時に備え冒険者として少しでも強くなることを忘れないようにしようと決心した。

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