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初めてできた彼女をNTRされた。その後普通に生きてただけなのにざまぁが成立した。  作者: 猫野 ジム


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第39話 大事な決断

 ライネスの姿が完全に見えなくなった。これでもう二度と俺が奴を見かけることは無いだろう。


「キョウマ君、ライネスとは知り合いだったみたいだね」


 カイルさんからそんな言葉が飛んできた。さっきのライネスを見てそう思うのは自然なことだ。


「一年ほど前に同じパーティーだったんですよ。といっても初回の探索で酷い目に遭わされたので仲間だとは思ってません」


「そうか……。ライネスとは面識が無い僕ですら許せないと思ったのに、きっとキョウマ君からすると僕ではとても想像できないような思いがあるんだろうね」


「それはもう最初は憎かったですよ。正直に言うと復讐するのもいいかなって思いました。だけどいい人達との出会いがあって過ごしていくうちに、復讐心というものが日を追うごとに薄くなっていきました」


「復讐……か。それが正しいことなのかはきっと誰にも分からない。だけどライネスに復讐するためにキョウマ君が自分の人生を曲げなくて本当によかったと思うよ」


 そう言ったカイルさんの目には光るものがあった。


「俺もこの選択をして本当によかったと思ってます。それとカイルさんには改めてお礼を言わせてください。ありがとうございました」


「僕は何もしていないよ?」


「いえ、そんなことないです。合同探索の後にカイルさんが俺を城に呼んでいろんな話をしてくれたことが、目標を決めるきっかけの一つになったんです」


「だったらお礼を言うのは僕のほうだね。あの合同探索の時、アイテムのような赤い玉が魔物の擬態だって見抜いたのはキョウマ君だからね。もしあのまま持ち続けていたら僕は今頃どうなっていたか。ありがとう」


「あの時は俺も必死でした。早く伝えないとって。でも信じてくれるか不安だったんです」


 あの時はまだミリー達との一件からそこまで時間が経ってなかったので、信じる信じないということに対して敏感になっていたのかもしれない。


「それはもちろん信じるよ。だってあの状況で嘘をつく意味が無いからね。……なんて言うとなんだか冷たい人みたいだね」


「そんなことないです。冷静な判断だと思います」


「それもあったけど本音を言うとね、信じる心を忘れないようにしたいなって思っているんだよ。たとえそれが綺麗事だとしても。僕は国選パーティーのリーダーをしているけど、仲間を信じることができない人をいったい誰が信じてくれるというのだろう」


「やっぱり俺、カイルさんを尊敬します」


「えぇっ、僕はただ自分の考えを言っただけだよ?」


「それでもですよ」


「そうか、ありがとう」


 そして全員で詰所に戻ることになりみんなが立ち去るなかで、俺はついさっきまでライネスが入っていた牢の中に目を向けた。


 当然そこには誰もいないが空っぽになった様子を見て、これでようやくライネスに対する気持ちの整理がついたような気がした。


 それからカイルさんは国選パーティーの仕事をするため地上へと戻って行き、俺は仕事をするため詰所に残り今日の仕事を終えた。



 家へ帰るといつも通り風呂に入り、一人で夕食をとり、本を読んだりして過ごす。そして眠くなるとベッドの中へ。


 それから目を閉じて今日のカイルさんとの会話を思い出す。


 俺は前世からリーダーというものに一度もなったことがない。出世したくないとすら思っていた。だってそのほうが楽だから。


 自分のことだけでも手一杯なのに、他の誰かの責任までは背負えない。いや、背負ってはいけない。自分の力不足で困るのは自分だけじゃないといけない。そう思っていた。


 カイルさんは国選パーティのリーダーだが、それは例えば恋人や家族にも言えることなのかもしれない。

 自分の人生に迷いがあり自信が無いのに、果たして誰かを幸せにすることができるだろうか?


 俺は冒険者としての自分の限界を知り、さらにミリー達との一件で自信を失っていた。

 だけどラインゴットさんの店で働かせてもらい、少しずつ自信を取り戻すことができた。


 そして俺は今こうして城に勤めており、誰かから必要とされている。周りの人達に支えられながらも、それは自分の力で勝ち得たものだと胸を張れる。


 だから伝えてさせてもらおう。「あの日あなたに助けてもらった男はこんなにも立派になりました」と。


(そしてティアさんに想いを伝えるんだ)


 俺はまた一つ大事な決断をした。

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