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初めてできた彼女をNTRされた。その後普通に生きてただけなのにざまぁが成立した。  作者: 猫野 ジム


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第35話 醜さと温かさ

「離せ! 俺は悪くない! 悪いのはミリーだ!」


「違う! 全部ライネスが考えたことなの! だから私だけは釈放して!」


 騎士達によって玉座の間から連れ出される最中ですら、責任をなすりつけ合う二人。いったい人はどこまで醜くなれるのだろう。


 俺は転生したこの世界で改めて、人の醜さと温かさの両方を知った。

 果たして俺は誰かに必要としてもらえる存在になることができているだろうか?


 ティアさん、ラインゴットさん、スフィアさん、カイルさんをはじめ、他にも大勢の人々。その人達との出会いがなければ、きっと今の俺はなかっただろう。


 俺が試験に合格したことによって、ラインゴットさんの店から退職した。当初は試験の前に退職するつもりだったんだ。

 そうじゃないとラインゴットさんとスフィアさんに迷惑がかかると思ったから。


『合格したら辞めます。でも不合格だったら引き続き雇ってください』だなんて、自分勝手な話だ。


 でもラインゴットさんは「何言ってんだ、俺の店はもうキョウマの居場所でもあるんだぞ! いつでも帰って来いよ!」と言ってくれた。いつか必ず恩返しをしよう。


 ライネス達が連れ出され、玉座の間には俺と国王、それに数人の騎士が残った。

 そして俺は今、国王の前で姿勢を低くして言葉を待っている。


「キョウマ。この度の活躍、見事だった。ご苦労だったな」


「ありがとうございます。私のスキルがお役に立てて何よりです」


「ここに勤めるようになってからまだ間もないというのに大したものだ。ところでキョウマとあの二人は互いに知っているように見えたのだが、どのような関係だろうか?」


「申し訳ありません、仕事に私情を挟んでしまいました。あの二人とは昔同じパーティーだったのです。もう一年ほど前になります」


「そうだったのか。全ての冒険者パーティーが円満というわけではないからな。私からは何も聞くまい」


 こうしてこの日の仕事が終わった。正直に言うと、まさかミリー達と再会するとは思っていなかった。

 でも俺にとっては数ある仕事の中の一つに過ぎない。俺はただ、自分ができることをしただけなんだ。



 城に勤めることになった俺は王都へ引っ越して来た。収入が増えたため、前にいた街で借りていた家よりも少しだけ広い家を借りたんだ。


 冒険者としてはCランクのままとなっている。国家公務員になると依頼が受けられなくなるが、その代わり取り消しにはならない。

 それはもしかすると辞めた場合を想定しての救済措置なのかもしれない。


 それからティアさんのことだが、俺が試験に合格してからはまだ会えていない。


 それまでは時間を作ってティアさんの故郷まで行ったり、ティアさんが来てくれたりして会って話す機会があったが、最近はお互いに時間を作ることができないままでいた。


 国選パーティー選抜試験が終わったことにより、これで少しはまとまった時間が取れるようになるだろう。


(次に会った時、想いを告げよう)


 俺はそう決心した。そして「あの時助けてもらった男はこんなにも立派になりました」と胸を張って言うんだ。



 それから数日後、俺は冒険者ギルドのとある支部へと来ている。ここはラインゴットさんの店がある街だ。つまり俺が住んでた場所。


 ここには俺が無事だったことを涙を流して喜んでくれた受付の女性がおり、さらに俺はここのギルドマスターにミリー達から受けた仕打ちを話したことがある。


「キョウマさん……! お久しぶりです……! 奥でギルドマスターがお待ちしておりますよ」


「お久しぶりです。お元気そうでよかったです。冒険者登録が取り消しにならないようにするための最低限の活動しかしてなかったのに、覚えてくれていて嬉しいです」


「忘れるはずありません。だってあの時キョウマさんが無事だと分かって本当に嬉しかったですから……!」


「ありがとうございます!」


 そして俺は案内してくれた部屋でギルドマスターと対面して話をすることに。ここのギルドマスターは20代。まるで男性エルフのような見た目で、その物腰は柔らか。


「キョウマさん、お久しぶりですね。試験の合格おめでとうございます。今日お越しいただいた理由はですね、先日の国選パーティー選抜試験でのことについてです」


「大体の話は城の者から聞いています」


「では早速本題に入りましょう。もう一年も前になりますが、キョウマさんが命を狙われたと私に説明してくれたことを覚えていますでしょうか?」


「もちろんです。そのことは俺にとっても印象深いことだったのでよく覚えてます」


「先日の試験でキョウマさんが記録した映像。その中に重要なことが記録されているのです」


 ギルドマスターはそう言うと、テレビ画面を宙に浮かせたような魔道具を机から持って来て、二人から見えやすい位置に置いた。


「まずはこちらをご覧ください」


 ギルドマスターがそう言って映し出したのは、俺が騎士団に向けて生中継したのと同じ場面の映像だった。つまりライネス達とのやり取りの一部始終のことだ。


 そしてある場面が流れた直後、ギルドマスターが口を開く。


「先ほどのライネスとミリーの発言なんですが、お気付きになりましたでしょうか?」


「はい。あれはもう完全にそうですよね」


 俺はそう言って、もう一度その発言の映像を流してもらった。その発言とは、この部分のことだ。




『キョウマ……! あの時確かに俺が部屋の入り口を塞いだはず……。どうやって脱出したんだ!』


生憎(あいにく)それを教えるほど俺はお人好しじゃない』


『頃合いを見計らってあの部屋を見に行くと何も無かったから、てっきり魔物に食べられたのかと思ったのよ。でも……そう! 証拠が無くてギルドからの見舞金が貰えなかったじゃない!』




「ギルドマスター、さっきの発言のことで合ってますか?」


「はい、合ってます。あの発言はですね——」


 ギルドマスターはそこまで言うと一呼吸おき、口を開く。


「自供……なんですよ」

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