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初めてできた彼女をNTRされた。その後普通に生きてただけなのにざまぁが成立した。  作者: 猫野 ジム


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第33話 忍び寄るざまぁ

 ついにこの日がやってきた。今日は国選パーティーのメンバー選抜試験が行われる。

 

 冒険者にとって国選パーティーに入るということはこの上なく名誉なことであり、地位や名声、そして高収入が約束される。

 全員とまでは言わないが、そこを目指す冒険者は多いだろう。


 試験は一年に一度で春に行われる。まず地方での一次試験と二次試験を行い、それに合格した者だけが王都での最終試験に進むことができる。その人数は100人ほどで、全参加者のわずか数パーセントだ。そして俺は最終試験に参加している。


 ミリー達とのことがあってから俺は普通に生きていこうと決めた。

 それからラインゴットさんの店で働かせてもらい、無理のない範囲で好きなことを楽しみ、そんな日々のなかで人生の喜びを見つけようとしていた。


 そんな中、国選パーティーとの合同探索の後にリーダーであるカイルさんと二人で話をした時、俺にある目標ができたんだ。


 そしてそれをラインゴットさんやスフィアさん、ティアさんに伝え、そして今、俺はここにいる。もちろん今回が初めての参加だ。


 あの二人に復讐するためだけに生きる。きっとそれもいいだろう。復讐が悪いことだとは思わない。


 だけどそれを人生の目標にしてしまうことは、自分の人生をあの二人に支配されるということだ。忘れたい記憶なのに、忘れてはいけなくなる。あの二人のことを考えるなんて時間の無駄。俺はそう考えることにしたんだ。


 それに加えて優しい人達と過ごすうちに、自然とミリー達のことを考える時間が少なくなっていた。



 国が定めた広い区域に結界が張られ、その内部で試験が行われる。そこには草原の他に森や川、小高い山などがあり、乗り物なしでは移動するだけでも時間がかかるだろう。


 カイルさんに聞いていた通り試験内容は毎年変わっており、今年の合格条件は、区域内に生息するSランクの魔物『ベヒーモス』の角を二本持ち帰ること。()()ではない。角は一頭に二本あるから、倒して手に入れる場合でも一頭だけでいいことになる。

 

 そのため戦闘能力が低くても、遠距離魔法で角だけを切り落としたり、なんらかの方法でベヒーモスを行動不能にしてその隙に角を切り落とすなど、工夫次第で誰にでもチャンスがある。


 確かにその内容だと直接戦わなくても達成可能だろう。戦闘能力で全てが決まるわけじゃない。実際Fランクの人だって合格して活躍しているんだから。


 注意事項としては、たとえ複数人で倒したとしても合格者は角二本を持ち帰った者のみとなる。なのでソロで挑む冒険者が圧倒的に多い。


 万が一の時は事前に配られる帰還石を使って瞬時に離脱することができるが、もちろんその時点で不合格となる。


 それに何人か試験官がいて常に監視をしてるから、安全面においては心配ない。

 ただし、誰が試験官なのか、全部で何人いるのか、そしてどこにいるのか等の情報は、冒険者に一切明かされない。不正は絶対に許さないという国の強固な意思が垣間見える。



 そして試験がスタートした。制限時間は17時までだからあと半日といったところ。


 とりあえずベヒーモスを見つけないことには始まらない。俺はまず最初に草原へと向かった。ベヒーモスは参加者の人数分もいないだろうから、取り合いになることが考えられる。


 草原は異常なし。続いて川と山もザッと見て回る。冒険者の姿はあってもベヒーモスの姿はない。この時点で一時間ほどが経過している。


 次は森へ入った。さすがに草原と比べると人の数は少ない。

 俺はさらに奥へと進む。すると(かす)かに声が聞こえてきたので、俺は声のする方へと走った。


 すると誰かが言い争っているような声が次第に大きくなっていく。


「こ、これは僕がやっとの思いで取ったものです。なんであなた達にあげないといけないんですか……!?」


「うるせえ! 俺は貸してくれって言ってんだ!」


「そうだよ? 私達は貸してねって言ってんの。君だってケガしたくないよね?」


 気の弱そうな若い男が若い男女二人に絡まれている。絡まれている男の手にはベヒーモスの大きな角が二本。


 男女二人が男から角を奪い取ろうとしているのは明らかだ。試験では強奪はおろか参加者同士での争いは禁止されている。


 俺は正義感に(あふ)れているわけじゃないが、これは止めなきゃダメだ。誰かの努力が他人の悪意で踏みにじられていいワケがない。俺は三人の間に割って入り、叫ぶ。


「止めろって! 争いは禁止だぞ!」


「あぁ!? なんだお前は!」


「うそ……。もしかしてキョウマ……なの?」


 運命のイタズラとはこういうことを指すのだろうか? やっと忘れ始めてたというのに……!


(いや、待て。これは国選パーティーメンバーを選ぶ大事な試験だから全国から冒険者が集まる。だったらこれはごく自然なことじゃないか)


 俺はこの二人組を知っている。どんなに忘れようとしても、完全に忘れることなどできるはずがなかった。

 だって目の前にいるのは俺を亡き者にしようとしたミリーとライネスで間違いないのだから。

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