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初めてできた彼女をNTRされた。その後普通に生きてただけなのにざまぁが成立した。  作者: 猫野 ジム


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第30話 戦闘用じゃないけれど

 魔法陣からは依然として光が放たれており、徐々に強くなってきている。


「キョウマは下がっててくれ。ずっと店にいたからロクな装備してないだろう」


「確かにそうですけどラインゴットさんはどうするんですか?」


「俺にはコイツがあるから大丈夫だ。こんなこともあろうかと持って来たんだ」


 ラインゴットさんはそう言うと体の前で拳同士を突き合わせた。その両手には要所に金属のようなプレートが付いているグローブがはめられている。


「それとキョウマ、せめてこれで身を守ってくれ」


 ラインゴットさんはそう言うと背負っている盾を俺に手渡した。


「ありがとうございます。それとその剣も貸してください」


「見つかったか。これも念のためだったんだがな」


「ラインゴットさんだけが危険を冒して俺だけ身を守るなんてことできません」


「そうだよな、キョウマはそういう奴だよな!」


 二人ともが身構えたが魔法陣からはまだ何も姿を現さない。


「ラインゴットさん、戦闘経験があるんですね」


「まぁ昔ちょっとな。その話はまた今度ゆっくり——」


 どうやら会話はここまでのようだった。いきなり辺りが真っ暗になったと思ったのも束の間、さっきまで建物内にいたはずなのに、気が付けば辺り一面が真っ暗な空間になっていた。


 天井や柱、壁すらも無い、『闇』。そんな中でも俺達と魔法陣だけははっきりと姿を確認できる。


「ラインゴットさん、いったい何が起きてるんでしょうか……?」


「大丈夫、これはそういう魔法だから時間が経つと効果が切れる。奴の仕業だろう。姿は見えないが召喚魔法を使ったうえにこんな上級魔法を使ったんだ、今頃は魔力切れを起こしてぶっ倒れてるだろうさ。それよりもやべぇのが出てきたみたいだぞ」


 魔法陣から出てきたのは四足歩行のドラゴンだった。もう何メートルあるかも分からない程に巨大で黒光りしているその体は、まるで一枚一枚が金属プレートのように硬そうな鱗で覆われている。


「チッ! ドラゴンかよ……!」


 魔法で召喚された魔物はどれも強力で、そのどれもがAランク以上に匹敵するという。

 こうして実際に目の当たりにするのは初めてだ。


(こういう時こそ鑑定の出番じゃないか!)


名称:『デビルドラゴン』


種別:『ドラゴン』


ランク:『A』


特徴:『金属のように硬い鱗を持ち、物理攻撃に耐性がある』・『攻撃方法は物理攻撃がメイン


無効属性:『火・水・風・雷・光・闇』


弱点属性:『聖』


備考:『物理攻撃によるダメージはほとんど与えられないが唯一、逆鱗だけは通常通りのダメージを与えられる。ただし逆鱗の位置は変わるため、継続してダメージを与えることは難しい。なお、逆鱗は薄く発光しているため見た目で判別可能』


「ラインゴットさん! こいつは聖属性が弱点です!」


「それも鑑定スキルの力ってわけか! だが俺は聖属性の攻撃はできないぞ!」


「それなら逆鱗を狙ってください! あごの下辺りに逆さまになって光っている鱗があるはずです!」


「逆さま……あれか!」


 ラインゴットさんはそう言うと、逆鱗めがけ大ジャンプをして拳を振るった。

 すると唸り声とともにドラゴンの頭が大きくのけ反った。確かに効いている。


「手応えありだ! 弱点さえ分かれば怖くねえ。キョウマ、ここは俺に任せてくれ!」


 ところが文字通り逆鱗に触れたことによって魔物が尻尾を大きく振り回し、盾を構える暇すらなく直撃した俺とラインゴットさんは大きく吹き飛ばされてしまった。


(くっ、なんだあの威力は……! 腹が()てぇ……! 吐きそうだ……!)


 防具を身につけてないことがこんなにも危険なものだとは……!


「グッ……キョウマ! 大丈夫……か……!」


「なんとか……!」


 ラインゴットさんから回復ポーションをもらい、二人ともそれを急いで飲み干す。


「くそっ、あいつ俺達が攻撃してくるのを待ってやがる」


「逆鱗が光ってるのはそのためか……!」


「とりあえずキョウマはここにいろ! 俺がやる!」


 ラインゴットさんは再び逆鱗にパンチを浴びせ、またもやドラゴンがのけ反る。

 それを見たであろうラインゴットさんは追撃をしようとしたが、逆鱗が発光しなくなった。


(違う、発光しなくなったんじゃない! 移動したんだ!)


 そう直感した俺はラインゴットさんに向けて叫ぶ。


「逆鱗はもうそこにはありません!」


 間一髪のところで尻尾攻撃をかわしたラインゴットさんは、再び俺のもとに来た。


「逆鱗がないってどういうことだ?」


「あいつは逆鱗の位置を自由に変えられるみたいで……」


「マジかよ、それじゃいちいち確認しないといけないじゃないか」


「ですよね……」


 あれを相手にとてもそんな暇はない。


(何かないか、何か! ……待てよ、あれなら使えるか?)


「ラインゴットさん、俺が逆鱗の位置を叫びますから攻撃をお願いできますか?」


「それはいいがどうやって逆鱗の位置を知る?」


「俺の映像記録スキルを使います」


「……そうか! マジックレコーダーを使うんだな! 任せたぜ!」


 そして俺はマジックレコーダーを起動させた。自動位置取りのため、上空からドラゴンの背中が見渡せる映像が録れる。

 俺はそれを魔道具によりリアルタイムで確認して、ラインゴットさんに伝えるという作戦だ。


「映像きました! 今は背中の真ん中辺りにあります!」


「了解だ!」


 ラインゴットさんはすぐさまドラゴンの背中に飛び乗り、逆鱗に向けて拳を振り下ろす。


 ドラゴンも素早く反応し首を後ろに伸ばしてラインゴットさんを噛み砕こうとするが、ラインゴットさんが飛び退くほうがわずかに速い。


「ラインゴットさんっ……!」


「気にするな! それよりも続けてくれ!」


(今は一刻も早く終わらせることが先決だ!)


「逆鱗の位置が尻尾の付け根に変わりました!」


 それからも俺はスキルで逆鱗の位置を確認して、それをラインゴットさんに伝えた。そしてラインゴットさんが反撃を避けつつ逆鱗に攻撃する。


 そんなことを何度も繰り返してようやく倒すことができたが、ラインゴットさんはかなりの体力を、俺はかなりの魔力を消耗していた。


「キョウマ、油断するなよ。まだ……何が起こるか分からないからな」


「は、はい……」


 すると視界がフッと切り替わり、元いた場所に戻ってきたことが分かった。


「どうやら俺達が召喚獣を倒したことによってあいつの魔力が急激に減り、魔法が解けたみたいだな。正直、助かったぜ」


 目の前には確かにあの男が倒れていた。

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