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初めてできた彼女をNTRされた。その後普通に生きてただけなのにざまぁが成立した。  作者: 猫野 ジム


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第29話 地味だけどすごいこと

 万引き犯を追って街はずれにやって来た俺は、犯人が建物の中に入っていく様子を確認した。


 入り口を見張りつつ、俺はマジックレコーダーを起動した。それは瞬く間に青空に溶け込み、肉眼でその姿を確認することが困難になる。


 そして【映像記録】スキルを使って、いつものように目の前に映像を映した。


 実はこの時点でスキルが進化した結果が表れている。今までだと記録した映像を観るためにはマジックレコーダーを回収しなければならなかった。


 だけど今は記録している映像をリアルタイムで観ることができる。つまり『生中継』だ。


 地味だからって侮るなかれ。中継できるようになったことで、こんなこともできるようになった。


『ラインゴットさん、ここに見覚えありますか? 街のはずれにある廃墟群なんですけど』


『おう、分かるぜ。そこに逃げたんだな?』


『はい。建物の中に入って行きました。とりあえず入り口を見張ってます』


『よし、俺もすぐに行くから待っててくれ。もし何か動きがあった時は行動してもらって構わない』


『分かりました』


 今現在マジックレコーダーが記録している映像を、小型モニターのような専用の魔道具を使うことにより、離れた場所にいるラインゴットさんも同時に見ることができるようになったんだ。


 そしてラインゴットさんがいる場所でもマジックレコーダーを起動させており、それ経由で俺もラインゴットさんが居る場所の様子を見ることができる。


 つまりビデオ通話ができるようになった。日本ではもはや当たり前のことだが、この世界ではなかなかに珍しい技術だ。

 その理由は【映像記録】がレアスキルなため使える人が少ないから。人のスキルに頼らなくてすむように技術開発中ではあるらしい。


 そして五分ほど待っているとラインゴットさんが姿を現した。俺と同じでドーピングをして急いで来たようだが、息の乱れはない。


「すまん、待たせた。あれから何か動きはあったか?」


「いえ、人の出入りはありません。建物の周りを一周してみましたが他に出入り口は見当たりませんし、窓から誰かが出た様子もありません」


 実は開店前の打ち合わせで、もし俺が犯人を追いかけるため外に出ることになった場合、店番をスフィアさんに任せて、ラインゴットさんは俺からの連絡待ちのため待機することになっていた。


 そして場所が判明次第、ラインゴットさんも駆けつけ犯人を捕まえるという手はずだ。

 きっと俺一人じゃ危険かもしれないという配慮によるものだろう。


「よし、準備はいいか?」


「はい、いつでもいけます」


 中に入るとそこはまるで倉庫のようで、高い天井に太い柱、かつてはそこに何かが置かれていたであろう広いスペース。


 そんな中、奥のほうに一人の人物の後ろ姿があった。その服装はフード付きのローブで、俺がさっきまで追いかけていた人物のもののように見える。


 入り口で俺とラインゴットさんは小声で話す。


「ラインゴットさん、服装はさっきの奴と同じです」


「よし、まずは話を聞いてみるか。あくまで穏便にいこう」


 そして二人でその人物に近付き、できるだけ優しい口調で声をかける。


「あの、すみません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど、いいでしょうか?」


 そう声をかけるとその人物はまるで驚いたかのように素早く振り向いた。どうやら若い男性のようだ。


「な、なんですかあなた達……」


「つかぬことをお聞きしますが、さっきまでアイテムショップにいませんでしたか? 店名は——」


 俺がラインゴットさんの店の名前を出すと、その男は何やら慌て始めた。


「し、知りません! 僕は何も知らない! どこにも行ってない! 何も盗んでない……! ただここに居ただけです……! 僕は何も盗んでなんかない、知りません、だって仕方なく——」


「いきなり声をかけたのは謝りますから、とりあえず落ち着いて……」


 俺はまだ何も言ってないのに盗むという言葉が出てくる時点でかなり怪しいが、それにしても取り乱しすぎではないだろうか。


「キョウマ! 今すぐ後ろに下がるぞ!」


「えっ? は、はい!」


 すぐさま俺はそれに従った。


「どうしたんですか? 確かにあの男の様子が変だなとは思いましたけど」


「奴から何か不穏な空気を感じた。何かよくないことを——」


 ラインゴットさんがそう言い終わる前に、男の前の床が光り始めた。よく見るとその床には何か模様のようなものが光の線で描かれていた。それはまるで魔法陣のよう。


「マジかよ……。話を聞くことすらできないってのか」


 ラインゴットさんがそう声を漏らした。あれが何なのか俺にもおおよその見当はつく。


「召喚魔法……ですね」


「ああ。キョウマ、気合い入れろよ!」

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