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神々、掲示板に降臨す 〜天界勤務中、うちの神、業務中にスレ立ててる件〜  作者: 物書狸。
最終章:祈りの終わる場所で

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第71話 ひとり減った世界の、静かな息

【地獄新聞・速報】


見出し:

「天界、今朝の静けさ“レベル3”。観測班、織田信長ログに異常確認」


本文:

天界観測班が本日未明、光柱の脈に“わずかな遅れ”を確認。

祈り通信のノイズが消えたことで、一部の神官が「今日は静かすぎる」とコメントした。


現世でも、一秒だけ時計が戻る現象が複数報告されている。

ただし原因は不明。

いつものように、不明のままにされる見込み。


地獄観光局は通常営業を宣言。

しかし案内所前には朝から列が伸び続けており、局長は「理由は特にありません」で押し通した。


招来者ログでは、織田信長の波形が薄く断続的に表示。

観測班は「層がずれているだけ」と説明したが、後ろで誰かが書類を落とす音がした。

落ち着かない朝である。


空気が、一度だけ沈んだ。

ほんの一瞬。


境界の通路。

名前もついてない、ひんやりした場所。

そこに神様とのぶのぶだけ。


神様:「……のぶのぶ」


信長:「なんじゃ」


神様:「お主だけ、先に返さんといかんのよ。危ないんよ」


信長:「危ない、とな」


神様:「ここが断絶したらな。お主みたいな子は“間”に残ろうとするんよ。ほっといたら、絶対どっかに城建てよる」


信長:「……ありえるな」


神様:「じゃろ? だから帰す。強制送還。のぶのぶコース」


信長はちょっとだけ、視線を落とした。

感情とかじゃなく、ただ理解している動き。


神様:「それとな、時間はちょい巻いといた」


信長:「巻いた?」


神様:「戻してある。少し。多めに。そっちのほうが色々間に合うてな。お主のとこは時間の流れが“扱いにくい”んよ」


信長:「……むずかしい話よ」


神様:「わしも理解しとらん」


信長:「ほう」


二人とも、特に驚いてない。


神様:「あと記憶は残す。“全部”は残せんけどな」


信長:「どこまでだ」


神様:「悪させん範囲。こっちの匂いとか、空気とか、そういう“手触り”だけ残しとる。細かいのは削っとる」


信長:「……充分よ」


神様:「またそれ言う。お主、ほんとそればっかりじゃの」


信長:「便利であろう?」


神様:「便利というか、ずるい。余白の取り方がいちいち強い」


信長、何も言わない。

その沈黙のまま、空気だけちょっと変わる。

天界の光も、さっきより薄い。


神様:「のぶのぶ」


信長:「なんじゃ」


神様:「お主の性質な。“終わり”を見つける子なんよ。わし、それが好きなんじゃけど……ここじゃ危ない」


信長:「それは……否定せぬ」


神様:「じゃろ。終わりを弄る子は、元の歴史に戻しとくのが一番安全なんよ。ここで終わり触られると、全部ひっくり返る」


信長:「……うむ」


神様、ぽりぽり頭をかく。


神様:「まあ、ほんとはの。もうちょいおっても良かったんじゃけどな」


信長:「そうもいかぬであろう」


神様:「いかんな。いかん。わしが止めても、どうせまた勝手に帰るじゃろうし」


信長:「帰り道は、見えておる」


神様:「それなんよ。そういうところが危ないんよ」


信長はまた黙った。

でも“言ってない理解”がちゃんと二人の間にある。


神様:「あ、いかん。桃鉄止めっぱなしじゃった……わしのターンで。絶対誰かボンビー押し付けとらん?」


信長:「さあな」


神様:「帰ったら確認せんとな……。いや待てよ、戻ったらまずのぶのぶ送ったこと報告して……ほいで桃鉄……いや順番迷うな……」


信長:「順番など、好きに決めよ」


神様:「妙に冷静じゃのお主」


信長:「おぬしが騒いでおるから、わしは静かでよい」


神様:「役割分担みたいに言うなや」


信長:「事実よ」


光が少しずつ信長の輪郭をさらっていく。

境界と歴史の向こう側が、かすかに混ざる。


神様:「のぶのぶ」


信長:「うむ」


神様:「たまにでええけ、思い出せ。“変な神がおったな”くらいでええけ」


信長:「忘れぬ」


神様:「また即答……それ嬉しいやつで間違いないんよなこれ」


信長:「好きに受け取れ」


神様、ふっと笑う。

軽いけど、深くもある。


光の向こうへ、信長の足音が消える。


信長:「……行くぞ」


神様:「うむ。行ってこい。のぶのぶ」


信長は振り返らない。

ただ一音だけ置いて、帰っていった。


神様は、しばらく静かに立っていた。


神様:「……さて。桃鉄やらんと」


【③ 裏会話(信長・ひとり)】


境界の通路は、

終わりかけの夢みたいに、静かだった。


光柱が一本。

ゆっくり、呼吸のように揺れている。


信長は、その前で立ち止まった。


足音は落とさない。

かといって強めもしない。

ただ、いつも通り歩いて、いつも通り止まっただけ。


光の端が、わずかに薄い。

その薄さが、三界の揺れそのもののように見えた。


信長は、指先で触れない距離から

光の揺れをただ“見る”。


何も語らない。

語る必要もない。


揺れがまた、ひとつ。


音はない。

でも、境界そのものが少し沈む。

朝でも夜でもない空気。


信長は、懐から小さな砂粒を取り出した。

どこから持ってきたのか分からない砂。

ただの土。

ただの現世の匂い。


指から落とす。

砂は光に触れる前に消えた。


信長は、その消え方を最後まで見た。


光柱が、また揺れる。


境界の奥で、天界の息が一つだけ流れた。

断絶前特有の、あの静かさ。


信長は、歩く。

ゆっくり。

まるで、世界のほうが遅れているような速度で。


光に近づくほど、向こう側の空気が混ざる。

熱でも冷たさでもない。

ただ“慣れた場所”の、あの匂い。


信長は立ち止まらない。


ただ、歩く。

それだけで充分成り立つ空間。


光の前に立ち、

ほんの少しだけ肩を落とした。

落胆でもなく疲れでもない。

ただの、呼吸だった。


揺れが止まる。

境界線がまっすぐになる。

帰る瞬間の合図。


信長は、空を見上げた。


天でも地でもない空。

色も決まっていない、無音の空。


一言だけ置いた。


信長:「……静かよの」


それだけ。


次の瞬間、光が輪郭をさらい、

信長の影は境界の“向こう側”へ滑るように消えた。


最後に残ったのは、

光ではなく、

消えたあとに漂う“ほんの一撮み”の静けさ。


わずかに哀しい。

でも、それ以上に整っていた。


世界が、

ひとつ呼吸を置いたように。


【④ スレまとめ】


【三界なんか今日おかしくね?スレ】


1 :名無しさん

なんか天界静かじゃね?

朝から光弱い気するんだが


2 :名無しさん

現世も一秒だけ時計戻ったんだが

誰も信じてくれん


3 :名無しさん

地獄は普通に混んでた

なんだあそこだけ経済強いの


4 :名無しさん


3

あそこ年中強いだろ

炎上が資源なんだから


5 :名無しさん

今日さ、天界の放送も短かったよな

いつももっと喋るのに


6 :名無しさん

三界の空気スカスカしてね?

なんか“抜けてる”感じ


7 :名無しさん

抜けてるのはお前の頭じゃ


8 :名無しさん


9 :名無しさん

地獄観光局、行列ヤバかった

理由聞いたら「特にありません」って言ってた


10 :名無しさん

あそこ理由言う気ないよな


11 :名無しさん

今日さ、誰かいなかった気しね?

名前出てこねえけど


12 :名無しさん

わかる

人数合わんというか

空気の重さが違うというか


13 :名無しさん

あー……なんかそんな感じ

誰がいないとかじゃなくて

“なんかひとり減ってる”みたいな


14 :名無しさん

怖いこと言うなよ

ホラー回じゃねえんだぞ


15 :名無しさん

いやホラーになってないのが逆に怖い


16 :名無しさん

天界静か→

現世変→

地獄だけ元気→

総合するとただのいつも通りじゃ?


17 :名無しさん

だいたいそんな感じ


18 :名無しさん

てか昼に地獄ラーメン食ったらうまかった

これが真相でよくね?


19 :名無しさん

は?

三界の揺れとラーメン関係ある??


20 :名無しさん

腹が満ちれば全部丸い

昔の人もそう言ってた(言ってない)


21 :名無しさん


22 :名無しさん

つーかほんとに今日天界静かだよな

なんか起こってんの?


23 :名無しさん

起こってても教えてくれん世界だからな

気にしても意味ない


24 :名無しさん

そういやさ

観測ログに名前よく出てた“あの人”

今日見なくね?


25 :名無しさん

あー…………

あの人ね

うん

なんか、いなかった気はする


26 :名無しさん

でもまあ

いなくても問題ないタイプじゃね?


27 :名無しさん

どんなタイプだよ


28 :名無しさん

説明できんけどそんな感じのやつ


29 :名無しさん


30 :名無しさん

結論:

地獄は元気

天界は静か

現世はよくわからん


31 :名無しさん

つまり普段通りってことか


32 :名無しさん

だよな

昼寝してくるわ


33 :名無しさん


黄神・太公望は、

サロマ湖のほとりで釣り糸を垂れていた。


風も、波も、ほとんど動かない。

それなのに、世界の“呼吸”だけが

さっきより静かに落ちていた。


太公望:「……ひとつ、消えたな」


その声に答えるように、

背後から影がふわりと揺れる。


ぬらりひょん:「消えた、とは物騒な響きよ。

       戻った、のほうが穏当では?」


太公望:「どちらでもいいさ。

     “過ぎるべき者が過ぎた”──それだけのこと」


ぬらりひょんは湖面を覗きこむ。

映るのは闇でも光でもない、

ただ、薄い揺らぎだけ。


ぬらりひょん:「……間が少し軽くなったな。

       ひと息ぶん、風通しが変わった」


太公望:「ああ。“空席”というものは

     生まれただけで世界の形を変える」


ぬらりひょんは、その言葉に笑いも嘆きも混ぜない。

ただ肩をすくめる。


ぬらりひょん:「これでまた、誰かが動く。

       動かぬ者も、動かされる」


太公望:「断絶は静かに寄ってくる。

     喧しい顔はしていない……

     こうして、湖面が落ち着きすぎるほど静かな時に」


二人の間に、長い沈黙が落ちる。


波紋がひとつ。

それだけで十分だった。


ぬらりひょん:「さて……次は誰が“揺れる”かねえ」


太公望:「揺れるのではない。

     揺れていたものが、見えるようになるだけだ」


ぬらりひょんは踵を返し、

夕と夜の境目の道へと溶けていった。


ぬらりひょん:「…………次回、ぬらりひょん死す!!」


太公望:「死なぬだろう。

     おまえはいつも、そう言って笑って戻る」


ぬらりひょんの姿が消え、

湖辺に残ったのは太公望と静けさだけ。


太公望は釣り糸を握り直し、

わずかに目を細めた。


太公望:「……世界が、また一歩。

     夜へ寄る」


風が、少しだけ冷たくなった。



《地獄ニュース・特別編》


― 次回作『青だめ』推しキャラ討論 ―


妲己

「はぁい、みなさーん♡ 本編が重たい分、あとがきくらいは軽〜く行くわよ〜。

今日は次回作『青春って綺麗じゃなきゃだめ?』、略して“青だめ”の、

妲己の推しキャラ発表会〜♡」


プリンスたま

「へいへい!今日はテンション高めでいこうぜ妲己ちゃん!

青だめ? もうタイトルから良い匂いしかしないもんねぇ!」



■ 妲己の推し


妲己

「んー……全員♡

だって青春ものって“誰も主役で、誰も脇役”じゃない?

ああいう教室の空気って一人でも欠けたら味が変わっちゃうのよね〜。

……でもひとりだけ言わせて?

あの 変顔したあと枕にダイブする子、あの子は可愛い♡

守りたい♡ 食べたい♡(比喩)」


プリンスたま

「だーめーだーめ妲己ちゃん!今のはギリギリアウトだよぉ?

でもわかる、ああいう“素で可愛い瞬間”って青春の宝石だよね〜!」



■ たまの推し


プリンスたま

「俺はね〜…… “強いくせに弱さが透ける子” が好きなんだわ。

ほら、いるじゃん?

口では“べつに!”とか言いながら、

誰より周りの空気を見てて、

いざって時にめっちゃ背中押してくれる子。

ああいうの見ると俺、悟っちゃうのよ。

“あぁ……青春って尊いなぁ……”って!」


妲己

「あなたそれ毎回言ってない?悟りすぎよ?」



■ 最後に(地獄ニュース的まとめ)


プリンスたま

「青だめはさ、キャラを“決めて読む”タイプの作品じゃないと思うんだわ。

読者それぞれの青春の“気配”を拾う物語。

推しが変わるのも当たり前、

自分の学生時代の傷とか宝物とか、勝手に呼び起こされちゃうやつ!」


妲己

「そうそう♡

作者は“キャラが勝手に動くタイプ”だから、

推しキャラは読者が決めなさいな♡

私たちはただ……こっそり見守るだけ♡」


プリンスたま

「というわけで! 青だめ、乞うご期待〜!!!

ここ天界でも話題になってるよ!!」


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