第64話 三界、ざわめく。
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◆【ニュース】三界同時速報
【地獄新聞/号外】
《天界、ついに動く。使節団派遣──地獄サイドも全力で受け入れ準備》
【現世トレンド】
《#天界使節団 が急浮上》
《地獄も現世もざわつく午前──“光の足音”が聞こえる》
【天界放送局】
「天照さま率いる“天界使節団”、本日三界へ出発とのことです」
空気が、ほんの一瞬だけ震えた。
まるで、三界そのものが息を呑んだように。
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◆【地獄パート/行動編】
妲己はワイドショー控室で脚を組んでいた。
メイクは完璧、笑みは計算通り、声は甘く、瞳は鋭い。
妲己
「ふふ……やっと来たわね、光の側♡
天照ちゃんの“本気”が見れそうじゃない」
閻魔
「……天界が動くと聞いて、地獄はどうする?」
妲己
「決まってるでしょ?
“楽しませて、揺らす”のよ♡」
カーマが資料を抱えて走ってくる。
息が切れているが、目は輝いていた。
カーマ
「妲己さま、地獄局全体で番組差し替え決定!
天界使節団に合わせて、地獄版『信仰アップ大作戦』生配信いけます!」
妲己
「ふふ♡ やるじゃない。
地獄も“神様を迎える準備”始めましょ♡」
閻魔
「迎える……というより、“揺らしに行く”だろう?」
妲己
「どっちもよ♡
信仰ってね、愛も炎上も“向く方向”が大事なの♡
三界が揺れた今は、ぜーーーーんぶ神様に向くタイミングなのよ」
カーマ
「天界が“光”なら、地獄は“熱”で押す!
三界の温度差ごと、神様にぶつける!」
妲己
「そう。それが私たちのやり方♡
……愛も、熱も、ぜんぶ神様に届けるわよ」
閻魔
「よし。地獄新聞部は総力戦に入る。
“光”が出るなら“影”も動く。
……地獄は地獄らしく盛り上げるぞ」
妲己
「地獄はいつでも派手にいくの♡」
炎がぱちりと弾けた。
地獄はもう、いつでも走り出せる状態だった。
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◆【現世パート/揺れの始まり】
ひかるんは駅前のベンチで、ニュースを眺めていた。
スマホの画面には《天界使節団》の速報。
ひかるん
「……動いた、か。
やっぱり、あの神……必要なんだよな」
その横に座るあかり。
言葉は発しない。
けれど彼女の表情は柔らかく、少し泣きそうだった。
あかり
「……みんな、ちゃんと“探してる”んだね。
神様がいないと……世界って、静かになっちゃうんだ」
ひかるん
「静かすぎるよな。
完璧とか、立派とか……そういうのじゃなくてさ。
なんか……あったかいんだよ、あの人」
あかり
「……うん。
わたし、天界の放送……見てた。
天照さま、泣きそうだった」
ひかるん
「……だよな。
あいつらも、本当は……寂しいんだよな」
二人は同じ画面を見つめたまま、息をのむ。
――《天界使節団、出発》。
あかり
「……行こうとしてるんだね。
“迎えに”じゃないけど……“示しに”。
世界が揺れてるって、こういうことなんだね」
ひかるん
「揺れてるよ。
地獄も、天界も、現世も……
で、俺らも揺れてる」
あかり
「……揺れてる、ね」
二人の間に落ちた小さな沈黙は、
神様への“記憶”をそっと呼び起こしていた。
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◆【三界中継/情報の奔流】
【天界】
天照の動きが公式化し、使節団は出発準備。
【地獄】
妲己&カーマが“炎の信仰作戦”を始動。
【現世】
一般人の揺れが広がり、SNSは一気に騒ぎを増す。
そして三界全てに、
同じ声が流れ始めた。
《……神様、どこにいるの?》
その問いは、誰の口から出たものでもなく、
三界の揺れそのものが発した声だった。
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◆【裏会話/三界それぞれの影】
●地獄
閻魔
「……妲己、やはりお前の動きは厄介だな」
妲己
「地獄の女よ♡ 厄介じゃなきゃ意味ないでしょ?」
●現世
ひかるん
「……神様、どこ行ったんだよ」
あかり
「……大丈夫。
みんなの声、聞こえてると思うよ」
●天界
セラヒム
「天照さま……寂しさ、隠さないでください……」
天照
「……隠さないよ。
でも、歩くことはやめない」
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◆【スレまとめ/三界同時】
【総合スレ】
《三界、今日一気に動いたな……》
7:名無しさん
妲己の番組、炎上と愛が混ざりすぎて意味わからんw
14:名無しさん
現世、なんか空気ピリピリしてるぞ
21:名無しさん
天界使節団、本当に出発するのか……
40:名無しさん
世界……揺れはじめたよな
81:名無しさん
神様……早く、戻ってきてほしい
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◆ぬらり&夜叉締め
ぬらりは空の端で煙管を鳴らした。
ぬらり
「ほっほ……揺れたのう。
三界全部が、同じ方向を向いたわ」
夜叉
「天界、地獄、現世……
皆が同時に“温度”を上げた。
これはもう……止まりません」
ぬらり
「止まれぬのじゃよ。
揺れれば揺れるほど、“道”が見える」
夜叉
「……その道の先に、あの方が?」
ぬらり
「ほっほ。
さぁ――次はもっと揺れるぞ」
影がゆっくり三界へ滲み返っていった。
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◆次回予告
『65話:揺れる民、揺れる心。〜黄神、静かに手を伸ばす〜』
地獄が熱を上げ、
現世が不安を募らせ、
天界が光で動いた先。
――“民の揺れ”が、すべてを決める。
その中心に立つのは、黄神。
三界の道筋を、ととのえる者。
次回、前半最大の“揺れ回”。




