第7話 地獄新聞創刊号 〜神々の炎上は蜜の味〜
『――速報。天界、またも照度オーバーで停電。原因は「神々のライブ配信」らしい。』
地獄新聞編集部、朝から修羅場だった。
HELL☆BEEZがデスクを飛び回り、閻魔が三つの電話を同時に取っている。
“天界広報部”“現世メディア局”“仏門部門調停課”――全部クレームだ。
妲己は机の上に脚を乗せて、優雅にコーヒーを飲んでいた。
「いいわねぇ。今日も平和そうじゃない。」
「どこがだよ!!!」閻魔の声が地獄フロアに響いた。
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地獄新聞とは
ルシファーの謝罪会見でバズった翌日、
妲己が即席で立ち上げた「地獄新聞」は、いまや地獄一のメディア企業である。
社是はひとつ――
“燃やせ、伝えろ、反省するな。”
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「見出し確認ッス!」
HELL☆BEEZ記者がタブレットを掲げる。
【特集】神々の信仰離れ深刻。フォロワー離脱で天界赤字。
【社会】天界ファッションショーの影響で光害訴訟多数。
【エンタメ】妲己CEO、地獄観光割を発表「地獄は燃えてナンボ♡」
「バズり確定ね♡」妲己がウィンクする。
「おい、タイトルの“♡”やめろ!!」閻魔が絶叫する。
「丸文字じゃないとクリック率下がるの♡」
「じゃあもう地獄の品格も下がるんだよ!!」
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突然、天井の通信鏡がピカッと光った。
天界ニュースチャンネルからの割り込み配信だ。
『こちら天界放送局です。只今、地獄新聞に抗議デモが――』
「映して♡」妲己がリモコンを押す。
画面には、天界の空でプラカードを掲げた天使たち。
「#StopHellFakeNews」
「#LuciferStayHome」
「#PrayForBrightness」
ルシファー先輩がその群れの中で頭を抱えていた。
「先輩、映ってますよ♡」
「もうやめてください……」
「じゃあ次号、“涙の謝罪インタビュー”載せていい?」
「やめてください……!!」
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【掲示板:地獄スレ】
1 名前:名無しの神 ID:god000
地獄新聞、情報早すぎて草。
2 名前:名無しの天使 ID:luci_444
あれ全部事実なんですよ……
3 名前:名無しの地獄民 ID:bee666
編集部、全員ブラック勤務。地獄だからOK。
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閻魔は頭を抱えながら言った。
「……お前ら、いつか天罰が下るぞ。」
妲己はにこりと笑った。
「天罰もニュースになるわ♡」
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その頃、ブッダピアスがコメントした。
「静寂こそ最大の報道。」
地獄編集部、一瞬だけ静まり返る。
「……いや、それはバズらんだろ。」
「音がしなきゃ広告にならない♡」
閻魔はもう諦めたように、机の上の原稿を天界宛に送信した。
地獄新聞、天界に進出。
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【速報】
地獄新聞、天界広告収入1位に。
信長、現世で“転生支局”設立。
閻魔「もう帰りたい。」
妲己「ニュースって、愛よね♡」
閻魔「違う。災害だ。」
ルシファー「もう僕、保険ききません……」
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次回予告
第8話「神様、広告代理店に転職する」
神、またもスレ炎上。
地獄新聞×天界代理店、信仰をかけた広告戦争開幕――!?




