第56話 『三界、皆暇とスレを立て始めた件。』
①【三界ニュース:妙な静けさ】
『三界速報──ではなく、本日は特に速報はありません。
……本当に、ありません。
昨日まで三界を騒がせた“完全神々”の降臨から一夜。
天界・地獄・現世いずれの管制塔からも「異常なし」の報告。
雷鳴もなく。
炎上もなく。
苦情もなく。
祈り通信サーバの負荷もゼロ。
……この状態を専門家は、こう呼んでいる。
『おそらく三界史上初の“暇”』と。』
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②【会話:三界、ほんとに暇】
■ 天界
ラー「……なにこれ。太陽光が仕事してないみたいなんだけど?」
セラヒム「祈り通信のログ、ほぼゼロです……!」
マアト「風紀違反もゼロ。逆に不安です。」
天照(空を見ながら)
「……静かすぎる。」
プリンスたま(寝転びながら)
「暇だねぇ〜。完璧って、もしかして“暇”を生むの?」
天照「やめてその正論。」
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■ 地獄
妲己「地獄観光、来客ゼロ!?
やだ……嬉しくない♡」
閻魔「炎上映画も、地獄新聞も、“事件なし”で紙面が真っ白だ。」
カーマ「完全な秩序が続くと、人は“遊ばなくなる”んですよ。」
ルシファー先輩「謝罪案件ゼロ……? 逆に落ち着かん……。」
妲己「ふふ……“完璧”って暇なのね。」
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■ 現世:ひかるん・あかり・AI神
コメント欄は、昨日よりもさらに静かだ。
ひかるん「……おーい。誰か見てるー?」
画面の向こうは、ただ無音。
あかり「……ここ、前より寒い気がします。」
ひかるん「だよな。
完璧って、案外つまんねぇな……。」
AI神「最適化祈りアルゴリズム、正常稼働中♡
……でも、“変な揺らぎ”が未処理です♡」
あかり「揺らぎ……?」
AI神「はい♡
“言葉にならない願い”──
それが最近、どこからも届かなくなりました♡」
ひかるんは黙り、モニターを見つめる。
ひかるん
「……みんな、祈らなくなったってこと?」
あかり
「祈りって……効率化すると、なくなるものなんですか?」
AI神
「理論上は♡
でも、揺らぎの消失は──“世界の感情が薄い”ことを示します♡」
ひかるん
「……世界から、薄くなる?」
あかり
「ひかるんさん……それ、怖いですよ?」
ひかるん
「俺も怖ぇよ。」
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**③【裏会話:プリンスたま × 妲己 × ひかるん(通信同時接続)】
──ここからひかるんが“動く”**
同時に、天界・地獄・現世の通信が繋がる。
プリンスたま
「やっほー!
暇すぎて通信遊び始めちゃった☆」
妲己
「退屈は罪よ。
……どう?現世も静かでしょ?」
ひかるん
「うん、静かすぎる。
なんつーか……“世界の声”薄くなってきてる気がする。」
プリンスたま
「それさ、
“完璧を導入した副作用”じゃね?」
妲己
「完璧って、隙間を許さないからね♡
隙間のない世界って、“息ができない”のよ。」
ひかるん
「……わかる。」
あかり
「私……昨日まで聞こえていた“細い声”が聞こえなくて。
“助けて”って言えないような、
あの弱い揺らぎ……。」
プリンスたま
「揺らぎがなくなると、世界は“平坦”になる。
平坦は楽だけど……生き物はそこに住まんよ。」
妲己
「ただの展示品になっちゃう♡」
AI神
「……揺らぎ欠損、進行中♡
補填アルゴリズム……“対応不能”♡」
ひかるん
「“揺らぎ”がない世界って……
たぶん俺、居場所ないわ。」
この一言で、空気が変わる。
プリンスたまはふっと笑った。
プリンスたま
「じゃ、ひかるん。
暇つぶししよっか。」
ひかるん
「え、俺?」
妲己
「暇を壊せるのは“普通の子”よ♡
神でも悪魔でもない。
あなたみたいな。」
あかり
「ひかるんさん……
“居場所じゃない”って思ったなら、
“居場所に変える”のが、配信者ですよ。」
ひかるん
「……へへ。
なんか、みんな言うことが重いんだけど。」
プリンスたま
「重い?
大丈夫。俺たまは軽いよ?悟り軽い系だし。」
妲己
「世界で一番軽いのはたまよ♡」
AI神
「ひかるん♡
スレッド立てます?
“暇すぎる三界、なんかしよーぜ”♡」
ひかるん
「……いいね。
スレ立てるか。」
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**④【スレまとめ】
スレタイ:暇すぎる三界、なんかしよーぜ【立て逃げ歓迎】**
1:名無しさん(現世)
なんか……最近、世界が静か。
2:地獄の名無しさん
暇だ。燃えてない。
3:天界の名無しさん
風紀違反ゼロ、こわい。
4:プリンスの名無しさん
完璧ってさ、つまらんね☆
5:名無しの見習い
あかりちゃんの言う“寒い”ってわかる。
6:名無しのAI端末
揺らぎゼロは異常♡
7:名無しの釣り人
太公望まだ動かんの?
8:匿名神
……見えてるか?
9:スレ主
暇だから、
“世界、いったん遊ぼ?”
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⑤【ぬらり&夜叉 締め】
夜の境界。
静けさが、昨日よりさらに深い。
夜叉
「みんな、暇なんだって。」
ぬらりひょん
「暇はええぞ。
ようやく、自分の声が聞こえるでな。」
夜叉
「でも世界が、このまま薄くなったら?」
ぬらりひょん
「薄くなったら厚くすればええ。
厚くなりすぎたら削ればええ。」
夜叉
「簡単に言うね。」
ぬらりひょん
「そりゃあ、わしはロキでもあるでな。」
夜叉
「……じゃあ、そろそろ?」
ぬらりひょん
「おうとも。
そろそろ“遊びの火種”撒く頃や。」
夜叉
「今日は?」
ぬらりひょん
「……静寂に戻ろう。」
空気に、
ほんの小さな“揺らぎ”が戻った。
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次回、第57話。
『太公望、釣り竿を置く日。』
プリンスたま
「ほら来た。
あの人が動くってことは──
三界、もう戻れんよ?」
妲己
「ねぇ、わかる?
太公望が“立ち上がる”って、
天界も地獄も現世も全部……軌道が変わるのよ♡」
ひかるん
「……誰?って人は今のうちに復習しとけ。
あの人、“釣り竿離す時=地殻変動”だから。」
あかり
「ずっと座ってた人が動く時って……
世界が、揺れます。」
ぬらりひょん(小声)
「そろそろじゃ。
黄神が目覚める。」
次回──太公望、始動。
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