自由と民主主義のための戦い
そして麒麟は、孤絶のなかで語りを始めたのです。その内容は、ほとんどの人には受け入れがたいものでした。もしもその時代が、大国の大企業のAIが大きな影響力を持っている時代であったならば、彼の言葉は必ず歪曲されて、「ありふれた愚かさ」だとして徹底的な攻撃を受け、葬り去られたに違いありません。
どうか聴いてくれ、人類は破滅の危機にある、と彼は言いました。そして、彼の言葉に耳を傾けることによってこそ、その破局から救済される可能性があるというのです。
大国による国際的な暴力はしばしば、「自由と民主主義を守るため」だとか「テロとの戦争」といったロジックの語りを用いて、公共の利益に合理的であり公共の利益を目的として発動されているかのように言われる影で、実際には、天然資源に関する国境を超えた利権争いや、軍産複合体を生存させるための利益、国際資本というゲームの胴元がより格差的支配を強めようとする動機が実態としてあると、彼は言いました。そして、そのように正当化された国際的な暴力は、決して一つではないと言います。数えきれないほどのそれが、とても長い期間、明らかに繰り返されてきたと彼は言います。そこにおいて、社会倫理的な正当化を行うための語りのみならず、語りと利己的な力学の実態の関係についてすら、知性的にパターン認識で統合的な認識を深めることが可能だと、彼は言いました。