第四話 少女救出
神聖魔法【ビーム】の初の獲物はイノシシみたいな魔物だった。しかし、そんなことはもう俺はほんの十秒で忘れていた。イノシシなんかより見るべきは目の前少女のほうだろう。
年は五歳ほどだろうか、今の俺と同じくらいの年なのは確かだろう。可愛い。
「ねぇ。ルース。あなたって前から思っていたけど、極度のロリコンよね。今のうちに110番かけといていいかしら」
「失礼だなぁ。てか、電話なんか通ってねえだろ」
エレンに勘違いされたが兎に角、この少女を村に送るという最優先事項を果たすため、一旦、戻ることにした。
「そういえば、俺も空飛べる?」
「ええ、これも神聖魔法だから普通の人には使えないけど」
と言われたので、俺は『神聖魔法魔術』にそれらしいものを探した。【浮遊】というものだった。
俺は少女をおんぶし、浮遊してみる。すると勿論、体は浮いた。いとも簡単に。
「そういえば、小学生のころ舞空術を使いたくて塀から飛び降りて足骨折した覚えあるわ」
「どれだけアホな人生送ってきたのよあんた」
「あの……。しょうがくせいというのは?」
気づいたら彼女の入りにくい会話になっていた。
「そういえば、名前、なんていうの?」
「ミリスと申します。六歳です」
「年上か」
六歳ならまだまだ許容範囲だな。
「ロリも成長すればロリじゃなくなるのよ」
「だからロリコンじゃないって!!!」
俺がロリコンでないことを弁明をしているうちに俺たちは村に着いた。
「ミリス、家は?」
「ここ」
ミリスが指差した先はなんと、村長の家だった。
「村長って娘いたっけ?」
この村の村長はザ・村長のような老人である。これ以上の説明は別に要らないだろう。
「ちょっと上がらせてもらっていい?」
と俺がミリスに問うと。
「え、逆に入らないんですか?」
と言ったので上がることにした。
「おお、そんなことが、ルース、ありがとう。ところで、そちらの女の子は?」
と村長はエレンを指差した。
「この人はいきなり空から降ってきた女の子です」
「いや、ラ○ュタかよ」
俺は経緯を説明した後ミリスと村長は席を外しどこかへ行ったので、俺達は待機した。
「そういえば今更だけどなんで俺はこんな早く魔法が使えるようになってるんだ?」
とエレンに質問した。
「そのこと?それについては主に私のお陰よ。私が憑いているお陰でルースのステータスが基本値より大幅に大きくなっているの」
だから上級魔法を使うことができたのか。
「で、神聖魔法は女神や天使の加護があると使えるいわゆるチートよ。良かったわね。チーター」
つまり、神聖魔法は本当に一般の人は使えない特別な魔法というわけでそれ故に強力というわけか。
「よし、帰るか」
「え?いいの?」
飯の時間や、エレンは多分寝泊まりする場所もないと思われるので、その話をするためにももう帰ることにした。しかし、無言で帰ったらまずいので、置き手紙を残して帰った。
夜
心が広い両親はエレンを歓迎し、今日の晩御飯は歓迎会をやった。そして、一通りのことをやり終え、俺は自室でリラックスしていた。
エレンも部屋を与えられたので、今はいない。この世界に来てやっと本当に一人の時間を手に入れた。
しかし、後ろに気配がした。振り向くと、光が漂っていた。そして現れたのは。
「なんで来るんだよ!」
「だって暇なんだもん」
エレンが自室にテレポートしてきた。