第二話 魔術
あっという間に五年の時がたった。
母であるサーリーと父であるギルとの間に生まれた俺はルースという名前を授かった。一応基本人間語と汎用人間語を習得しこの世界の住民とコミュニケーションをとることが可能となった。
そして本日は俺の五歳の誕生日だ。この世界は魔法というものが存在しているのだがもちろん種類がある。全て本で読んで取り入れた知識なのだが、魔法は下級、中級、上級に分かれているものがある。分かれていないものもあるが、それは実用魔法というものである。階級に分かれている魔法は水、火、電、土、爆、治、等々があたる。
そして、その他にも特別な魔法が存在するのだがこの世界の著者が書いている魔導書には記述されていない。しかし、この日、俺はその存在と詳細を知ることになった。
ルース誕生日の朝。
五歳の誕生日である今日。この世界のしきたりのようなもので、五歳になるまでは魔法を使ってはいけないというものがあるのだ。だからこの日を待ち望んでいた。しかし、俺は一回、以前に魔法を使ったことがある。それは二年前のことだ。
三歳の時のことである。俺はエレンに魔法の基礎について教えてもらっていた。内容は先程の通りである。そして俺は教えてもらった後で
「ちょっと使ってみたいな」
と呟いた。するとエレンは
「できるわよ。あなたなら今からでも上級魔法を使用できるわ。でも……」
何かエレンが言いかけたところで俺は水の初級魔法を唱えた。すると、かざした手から水がちょろちょろ出始めた。
「わっわっわ!!!」
俺は焦って家にある雑巾で水をふき取った。
「ちなみに、この世界では、五歳未満が魔法を使うことは禁忌とされているからくれぐれも人の前で使わないように」
とエレンから注意を受けた。もっと早く言えよ。
そんなことがあったのだが、いよいよその不安からも解放されるのだ。俺は誕生日の朝からウキウキしながら前日書き忘れていた日記を書いていた。
そして、書きながらこの五年間を振り返って、一つ思った
「そういえば、エレンに実体の姿があるのだろうか」
「あるよ。んじゃ後で見せてあげる」
「それっていつのこと?」
無言。返事は帰ってこなかった。前もこんなことあったような気がする。
俺は大人しく筆を進めた。
昼頃、俺は上級魔法を使おうと外に出た。サーリーは
「魔法なんかそんな簡単には使えないわよ」
を言っていたが、目の前で水を出したら普通に驚いていた。
俺が外に出てど田舎の村より離れたところに来ると、金色の髪をした少女が立っていた。俺が来た途端に人工的な風が感じられた。魔法による風だ。
すると、彼女の目の前で大爆発が起きた。そして、彼女はこちらを振り返り、何かを大声で言っていたように見えたが爆発の音で全く聞こえない。
すると、エレンから連絡が届いた。
「ねぇ。何で何も反応してくれないの?」
「なんのことだよ」
この時、俺の勘が過去一番の働きをした。そう、あそこにいる金色の髪と爽やかな青い眼。可愛らしいくらいの小さな背のあの少女こそエレンだったのだ。
「何やってんだ。エレン」
彼女は微笑みながらこちらによってきた。
「バン」
俺はその道中で上級爆発魔法を発生させた。