第一話 異世界転生、音だけ天使。
女神に送り出されて、俺が再度、目を覚ますと、俺はすっかり生まれ変わっていた。生まれ変わってはいるが、前世の記憶が完全に残っていた。
そういえば、担当のやつに問い合わせろとかあの女神が言っていたな。
「おーーーい!!例の天使???」
と叫んで見せた。
「あ……ど、どうも」
と聞こえた。あの時のロリ声だ。会話はできるようだ。五感については、聴覚、嗅覚、触覚はある。味覚は確認することはまだできていない。まだないといえるのは視覚だ。まだ十分に目を開けられないのだ。つまり、赤ん坊から生まれ変わったということか?
「ところで、死ぬ前の願いをかなえてくれ」
「ああ、名前教えろってやつね」
なかなか聞き分けは良い。口調は、腹立つが。
「じゃあ、自己紹介するわね。ええと、一応天使をやってる者です。ああ、名前……はエレンと申します」
口調の違いに驚いた。急にかしこまって、先程までは生意気な感じだったからか違和感を感じた。
「ところで、あんたの名前は?」
戻った。やはり腹は立つが、こっちの方が合っている。
「吾輩は猫である。名前はまだない」
「夏目漱石か。少なくとも猫ではないだろ」
切れのあるツッコミが帰ってきた。しかし、猫は余計だったと俺は反省した。
「とにかく、まだ赤子だから名前はまだない。あっても知らない」
「前世の名前は?」
「それ言わないと駄目?」
返事は帰って来なかった。会話が終了し、次に来た時間は退屈な時間だった。
「????????????????????」
何やら、声が聞こえた。しかし、聞くことは出来ない。日本語ではないからだ。絶対に違うが、もし英語だったとしても、何年も勉強していないのでもちろん聞き取れるわけがない。
「彼らの話している言語は基本人間語ちゅうものね。基本的の国際的な言語よ」
この世界には今、彼らが話している基本人間語以外にも、汎用人間語。精霊語。魔人語。魔人獣人語。魔人竜人語。魔人鬼人語。等々
「魔人語という部類が多いんだな」
「魔人と呼べるものが多いし、フレーズも似てるから」
まあ、俺はのびのびと暮らしたいだけだから、基本人間語や汎用人間語くらい習得すればいいだろう。しかし、赤子の状況では何もできない。
「そういえば、赤子の脳ってまだ未完成なのに、こんな正確な判断ができるのはなぜなのだ?」
「今、あんたの脳は私のサポートによって、成人同様の脳のはたらきができているの。筋肉が発達していないから立てはしないけどね」
つまり、運動はできないが、計算や日本語の使用は安易にできるようだ。知識の吸収についてはその年齢での吸収力があるらしい。
つまり、先程話題に出た言語の習得も成人より比較的容易のようだ。
「しかし退屈だ。見えないから言語の勉強もしばらくできないし」
「いいじゃないか。のびのび出来て」
「俺が望んだのはこんなものではないのだが」
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