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第十五話 召喚魔法

 俺のスローライフはまさに極楽であった。

 あの暴れん坊どもはいつの間にか俺を慕うようになり、平和そのものだった。

 そして、スローライフが始まってから、数年が過ぎた。

 マリは「旅に出る」といい、我らの世界から姿を消した。

 平和は平和なのだが、何かつまらない。

 せっかく『神聖魔法』などというものを授っているのだ。何かできないものか。

 俺はそう思い、『神聖魔法魔導書』を見ていた。


「魔法実験でもしてみようかな」


 俺は試しに、神聖魔法級の召喚魔法を使ってみることにした。

 しかし、召喚魔法に関しては完全に専門外だ。どこかに知ってるような使い手はいないだろうか。

 そこで、俺は一人、思い浮かべた。エイジャだ。


「召喚魔法?使えるけど、どうだ?今外で試してみようか?」


 エイジャに相談すると、快く乗った。

 俺たちが外に出ると、エイジャは魔法陣を描き始めた。


「何で、魔法陣なんか描くんだ?」


「召喚魔法はかなり精密な魔法でな。魔法陣でも描かないと正確に使えないんだ」


「ほえええええええええええええええええ」


 エイジャは白い目で俺を見ていた。

 刺さるよそれ。


 エイジャは手慣れた手つきで魔法陣を書き終わり、魔法を唱えだした。


「わが使い魔よ。今、姿を現せ……」


 中二病台詞をエイジャは恥ずかしげなく言い放つと、魔法陣が不気味な紫色で光りだした。

 それと同時に風がなびき、周りの魔力濃度が上がったのが分かった。


「分かる⁉魔力濃度が上がったの。強い衝撃が来るよ!!」


 エイジャは俺にそう警告した。

 俺はそれを聞き、少し伏せる。


 ガシャーーーーーン!!!!!!!!!!


 雷が魔法陣の中心に落下した。 

 雷によって立ち上った炎が燃え盛り、その中に何か生命体がいることが確認できた。


「マスター。何の御用でしょうか」


 女の声だ。しかし、先ほどの落雷で耳がキーンとしていてよく聞こえない。


「久しぶりだなぁ……。えーっと。えーっと」


「メルです。仕方ないですよね。ざっと300年ぶりでしょうか」


 聞きなれない年数が聞こえた。

 その言い草からして、竜族が長寿というのは本当らしい。


「ああ、そうだ、メルだった。あと、マスターっていうのはやめて。なんか嫌」


「なんでだよ。かっこいいじゃないか」


 俺は純粋にそう発言した。


「……」「……」


 なんだ?その沈黙は。何とか言ってくれ。


「まあ、呼び出しちゃったし。しばらくここで暮らそうか」


 とエイジャは勝手にメルを歓迎した。




「てなわけで、あれが召喚魔法だ」


 仕切り直して、本題に入る。

 俺は『神聖魔法魔術書』に載ってある神聖魔法召喚魔法用魔法陣を一人で細々と書いていた。


「できた?」


 とエイジャは俺の様子を見に来た。


「大体は書き写せたけど」


 エイジャは俺が書き上げた魔法陣を見た瞬間、目を見開いた。


「ルース。一旦エレンを呼んでくれ」


 いつもおちゃらけた印象をかき消すような鋭い目つきで俺をにらみつけた。


「どうしたんだ。この魔法陣、まずかったのか?」


「いや、いい出来栄えなのだが、ある意味不味いな」


 俺はミリスとモンスター討伐クエストを受けているミリスに呼び出しをかける。


「とりあえずこの魔法陣は消すのが得策かも」


 とエイジャは呟いた。


「えー1時間もかけて描いたのに」


「子供か!とりあえず消そう」


 俺たちは足で折角描いた魔法陣を消した。


 後にエレン達が来た。


「どうしたの?」


「エレン。相談なんだが。この魔法……」


 俺は魔導書の召喚魔法のページを開いた。


「ルース。もしかして。この魔法陣描いちゃった?」


 エレンの声色が変わった。


「やはり不味かったか」


 一体何のことか。


 俺とミリスは状況が分からず、ただただ立ちすくんでいた。


★★★★★とブクマ、感想等々よろしくお願いします

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