第十三話 マリという名のお姉さん
あまりにもスムーズに進んでしまった旅。
それは平和であったが、言ってしまえば、味気ない『何も』旅であった。あまりにも味気なく、小説にもできない。
しかし、『何か』があった。
「たーたすげてー」
路上に女が倒れていた。
「ルース。この世界は勿論弱肉強食だからこうゆう場合は身ぐるみ剥がしたりしてもいいのだけどどうするの?」
とエレンが尋ねた。
どうしようかな。
よくよく見てみるとスタイルが良く、この格好はとてもエロい。身ぐるみを剥がしたらそれこそ大歓喜だ。
俺のエクスカリバーは今ギリギリ起立を防いでいる状態だ。こんな女。捕まえなければ勿体無い!
「とりあえず、馬車に乗せるぞ!」
「わかった」
エイジャが快く返事をした。ありがたい。
俺は彼女に『回復魔法』いわゆる『ヒール』をかけた。
「ふぅー助かった。ありがとう皆」
キョロキョロと伺い、言った。
「なるほど、一夫多妻とは本当にあったのか」
「違うから!」
女が俺達を「まぁまぁ」となだめた。
「それはさておき、まず君たちに感謝せねばならんな」
女は深々と頭を下げた。
「いやいや、当然のことをしたまでで……。ところで自己紹介をお願いできますか?名前とか、固有名詞がハッキリないと小説も書きにくいし、分かりにくいし」
「?わかった」
「私の名はマリ。一応戦士だ。女だがな」
戦士だからあって、筋肉は多めだ。そうゆうので例えるのであればダク●スみたいな感じであろうか。
「あの、すみません……その剣ちょっと見せてください」
と言ったのはミリスだった。
「ああ、これはそこら辺の森で拾ったものだ」
マリは鞘から剣を取り出した。
「これ……。普通に聖剣じゃないですか!」
「本当だ」
「そうなのか?」
本人は無意識で拾ったらしい……。拾ったのか?貰った。買った。封印を解いた。とかではなくてか?
「そんなことはさておき、今、皆さんはどこに向かっておられるのですか?」
「のんびりとした生活を求めて、グリーンビルティナブル高原に向かっています」
「代わりに言うんだね。エレン」
マリは手を合わせて、キラキラした笑顔をした。
「のんびりとした生活かー。いいなー私はこの旅は過酷なものだったから……」
「なら一緒に来るか?」
俺は提案した。
「い……いいのか?」
「勿論」
実際、彼女は万一戦闘が起きた場合。前衛として役に立ちそうであるから大歓迎だ。俺の今の頭の中には、前衛にエイジャとマリ。後衛に俺、ミリス、エレンとなるだろうなという戦闘配置が頭に浮かんでいた。
「で……では、よろしく頼む」
マリは再度、深々と頭を下げた。
「おっと!一回止まりな」
という声が響いた。
「どうした?エイジャ」
「いや、どうやら盗賊のようだ。悪質な。どうする?殺るか?」
「いや、相手が仕掛けてきたらだな」
俺とエイジャは小声でコミュニケーションをとる。
「おい!モタモタしてんじゃねーぞ!乗ってる奴さっさと降りろ!」
『とりあえず、あいつの言う事を今は聞いて、害を及ぼされてから(攻撃される等)攻撃』
と言う指示を他三人に遠回しに伝え、一旦馬車から降りる。何故こうゆう指示にしたかは、俺はすぐ殺人するような野蛮なやり方は嫌いだからだ。
(こんな作戦で大丈夫なの?)
エレンが耳打ちで言ってくる。
(大丈夫だ。あいつらに何人たりとも渡すつもりはない)
(結構時間がとられてる気がするけど……)
「おい。何話してる?」
「「やべっ」」
俺達はすぐ前を向く。盗賊の一人は鞘からダガーを取り出しながら近づいてきた。
「おい、そこの男。お前邪魔だなぁ。女は後で色々使えるが、お前はいらんなぁーどうするお前ら?」
そうすると、もうゾロゾロと
「そうだな」
「殺ろうぜ」
「いらねぇよ」
だと……。嫌な予感がする。
「ドンマイルース。あんた多分殺されるわ」
そんな同情した顔をするなよエレン……。
「とりあえず、動けなくしろ」
「よっしゃ、それ」
俺は【拘束魔法】で動けなくされた。
そして、ギラギラ光るダガーが振り下ろされた。
更新遅れてしまい数少ない読者の皆様には本当に申し訳ないです!多分次も遅くなります。
新年度(来年の四月)あたりからは安定すると思うのですが……。