第九話 思いのほか落ち着くなぁ
そして、早、五年がたった。
エイジャはあれからすっかり村のみんなに認められ、健やかに過ごしていた。はっきり言って平和だ。しかし俺は満足していなかった。
今の生活はだれがどう見てもスローライフと言えよう。しかし、こんな所にいつまでもいたら、前世の俺のようになってしまう。
そこで、俺はエレンを自室に呼んだ。
「いきなり呼んでどうしたの?」
「俺は自立しようと思う」
俺はエレンとこれからの行動について相談、会議することにした。
「そうなの。よく決心したわね。で、いつ出るの?」
「いつでもいいんだが、基本この世界ではどのくらいに独り立ちするんだ?」
「基本的には15くらいかしら」
15といったら日本では中学三年生くらいか高校一年生だが、この世界では20歳くらいの扱いをされる。まずこの世界には、教育基本法もないので学校に行っていない子供が大半だ。そのため、文字の読み書きのできない人も珍しくはない。
俺も勿論学校には行っていないのだが、基本人間語と汎用人間語は読めるし、書くこともできる。
基本人間語の文法は英語に似ているようだったので前世に英語を全く話せなかった俺は無理かと思われたが、やはり、子供というものはすごい。軽々と習得することができた。汎用人間語のほぼ同じような感じだった。例えるなら、アメリカ英語かイギリス英語か違いくらいの差だろうか。
「まあ、できるだけ早いほうがいいよな……」
「そうなの?」
とりあえず、これから、四、五年後(か、それよりも早く)に目処を立て、次に行き先、そして、人だ。
「とりあえず、エイジャは連れて行こう。あいつは立派な護衛だ」
「あなたのほうが強いじゃない」
「戦うのがめんどくさいじゃないか、それに、あいつに拒否権はないぞ」
それにあいつは時々する俺との試合を楽しみにするしているから、勝手についてきそうな気がするが……。
「というか、お前はついてくんの?」
「何言ってるの?私はあなたに憑いてるのよ?」
こいつは憑いているためどこに行っても憑いてくる。擬人化したばかりの時、風呂にもついてくるくらいだ。
「まあ、しょうがないか、一種の呪いみたいなものだと思うことにしますわ」
「呪いとは失礼な」
とりあえず、この会議はこのままエレンと二人だけで決めていくのは吉ではないと思い、後日改めて行うことにした。
会議が終了し、外に出ると、ミリスがいた。
彼女は買い物籠をを持っているようでこれから、食材を買いに行くことがうかがえた。
「やあ、ミリス」
「あ、ルース」
俺はミリスと行動することにした。
彼女はこの五年で成長し、見違えるほど大きくなった。俺は毎日見ているから、あまり実感がわかないが。
そういえば、俺が自立したときにミリスをどうするか決めてなかったことを思い出した。そこで俺は遠回しに聞いてみることにした。
「ミリスはもし俺がこの村から出るっていたらどう思う?」
めちゃくちゃド直球に聞いてしまった。
ミリスはきょとんとしたかわいい顔で
「え?どっかいくの?」
と聞いてきた。俺は「い、いや?」といったが、「噓だね」と簡単に見破られてしまった。
「……でどう?」
と俺は聞いた。
ミリスは「ん-」と人差し指を唇につけながら返事を考える様子をみせた。
「もちろん、行くか行かないかは自由だと思うけど、行くときは私に行ってよね」
と、顔を近づけて言った。
「あ、ああ分かった」
「私もついていくから、出来るだけ早くね!」
「ああ、うん……。え?」
不意を突かれた。
「ミリスのやつ、なんかどんどんうざくなっているような」
と俺は口に出した。
それほど、仲良くなったと思うべきなのだろうか。
俺は帰って、今日のことを日記に記録した。
俺の日記は小説のあらすじ風に書き上げているので、読み返すのに楽しさを与える内容になっている。エレンからも高い評価をもらっている。
別にみられて不快になる内容は入っていないし、いつか良い実話が沢山出来たら、少し編集して、本として売り出すのもありかもしれない。
さすがに十年間(書き始めたのは一歳からだから九年が正しい)も書いていたら尋常じゃない巻数になっている。しかし、俺はたまに読み返して懐かしく思っていた。
これから、この村から出ればどんなスローライフが待っているのだろう。
俺はこんな強力な力を持っていてもスローライフは送れるもんなんだな、と日記を読み返しながら感じた。
彼のスローライフはまだまだのんびりしたものになるでしょう。結局、ヒキニートになるのでしょうか。あと、ルースはスローライフが送れることに気が付いたので、タイトル崩壊になってしまいます。サブタイトル多分変わります。




