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7 仕事着は綺麗な方が気持ちよく働けますよね

 戦闘員さんたちの戦闘服を洗濯するのも大事な副官のお仕事だと思うのです。

「真っ黒!」

 洗濯したての真っ黒な戦闘服をパンパンと伸ばして満面の笑みになります。

 きれいに仕上がりました。

 洗濯洗剤や柔軟剤はもちろん、同じ滝グループ傘下の別企業が開発した環境にやさしい成分で作られたものを使用しています。

 すすぎ一回でOKな節水にも配慮したすぐれものです。

 我々が将来支配する国なのですから今から配慮しておくのは当然です。

 

   ◇

 

「はい。予備の戦闘服のお洗濯、上がりましたよ。糊付のりづけとアイロンも終わってます」

『アクゥー! (あっ、メグシテゴナ様、あっ、ありがとうございます)』

 

 除菌・消臭・抗菌は勿論のこと、生乾き防止に部屋干し対応と速乾性もバッチリです!

 特に秘密結社は窓のない部屋が多い為、どうしても部屋干しが基本となりますので、部屋干しの仕方には、わたしとしてもそれなりにこだわりを持ってこの任務に当たっています。

 

『アクゥー! (あっ、フローラルな香り)』

『アクゥー! (俺のはシトラスミントの香りだ!)』

『アクゥー! (俺のはシャボンの香り……俺、この香り、好きなんだ)」

『アクゥー! (キツ過ぎず、ほのかに香るくらいなのが、またイイんだよな)」

 

 戦闘員さんたちの香りの好みに合わせて洗濯洗剤を選ぶのも重要な項目です。

 皆さんが気持ちよくお仕事をしてもらえるように気を配るのも副官としての役目だと思うのです。

 だって、自分の好みの香りに包まれているとやっぱり安心するじゃないですか。

 

『アクゥー! (昔は生乾きの戦闘服とか、一週間洗濯しなかったままだったりとか、正義の味方の連中にドブに落とされたままのだとか、散々だったもんな)』

『アクゥー! (言うな! 思い出しただけでも泣けてくる!)』

『アクゥー! (おっ、おい、マジ泣きすんなよ)』

『アクゥー! (気持ちは解るぜ)』

『アクゥー! (オレのはジャスミンだ!)』

『アクゥー! (ボクのはマンダリン。落ち着く効果があるんだよね)』

『アクゥー! (……お前ら、詳しいな)』

 

   ◇

 

 本日はひそかにビルを爆破するための下調べに来ていました。

 ところがです。

 またもや横槍よこやりが入ってしまいました。

「戦闘員達よ! ムサボルンジャーに我らの邪魔をさせるな! 行け!」

『『アクゥー! (おう!)』』

……。

『なあ、戦闘員たちからフローラルな香りがするんだがよ』

『香り? 何かの罠かしら?』

『いいえ、ここんとこ、いつもしてるわよ』

『そろそろ、バトルスーツも洗わなきゃ』

『つったってよ。国の予算じゃ、洗濯代なんて領収書、落ちる訳ないじゃねえか!』

『毎年毎年内容考えねえで予算を5パーセント削減とか、馬鹿の一つ覚えみたいに言ってるんだぞ。そのくせ、こっちがコピー用紙の裏紙一枚を大切に使ってるのに、平気で意味も無い建物や事業に何千万って無駄金を使ってやがって失敗しておいて「遺憾に思います」や「私は知りませんでした」で済ますんだぞ。やってられっかよ!』

『よしましょうよ。それじゃあ一生懸命やっている末端の職員がまるでバカみたいじゃない』

『……まるで?』

『ちくしょう! この怒りを奴等にぶつけてやる!』

『そうね』

『『必殺! 宇夜夢夜鬼遮怪剣うやむやきしゃかいけん!!』』

「お逃げくださいワルビレル様。この建物は危険です! もう、そう長くはちません」

「おのれ、騎特剣役きとくけんえきムサボルンジャーめ! 認めるしかあるまい。作戦は失敗だ。総員撤収!」

『『アクゥー! (はっ!)』』

 ……。


   ーー こうして、今日も日本政府の意味のよく分からない正義は守られるのであった ーー


   ◇


『次のニュースです。午後2時ごろ、千葉県△△市□□の廃ビルが突如倒壊しました。現場のビルは老朽化ろうきゅうかの問題が指摘されており、国が長い間放置し……』


「皆さーん、お疲れ様でした。埃塗ほこりまみれで、大変でしたね。お風呂が沸いていますよ。すぐにお洗濯しますので脱いだものは洗濯カゴに入れておいてくださいね」

『『アクゥー! (了解であります!)』』

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