21 偽装学園生活 周りの評価って、いろいろありますよね。
「千里ちゃんって、清純そうで良いよなあ」
「ああ、艶のある長い黒髪ストレートに、肌理の細かい白い肌。パッチリとした目元に、スーッと通った鼻梁。均整の取れた容姿。あれだけの美少女、なかなかお目に掛かれるモンじゃないぜ」
「なんか、その言い方キメえ」
「ほっとけ!」
「正直、黒井さんや瑠や、いこえちゃんとかもかなり良い線言ってるけど、千里ちゃんは頭一つ抜き出てるって感じだよな」
「そうそう」
「恵梨香とか、朋美とか他の子も十分レベル高い方だけどな」
「ああ、俺、このクラスになれて良かったぜ」
「同感、同感」
「ああ、千里ちゃん、戦隊もののヒロインにしたい」
「出たよ。特撮マニアめ」
「絶対ピンクな」
「だから、その言い方キメえ」
「だから、ほっとけ!」
◇
「阿久寺さんって名字、珍しいよね」
確かに、自分でもちょっと珍しいかなとは思いますね。
この名前は偽装する際に我が栄光ある悪の秘密結社『邪須訂巣』の誇るスーパーコンピューター『自我示山』がはじき出した、最もこの任務に適した名前という事で付けられています。
ちなみに余談ですがスーパーコンピューターの名前は世界的にも山に関連した名前が多いとのことだそうで我が組織が隠れ蓑に浸かっているという滝グループが所有する山の名前が付いているそうです。
「でもさあ、アクジって如何にも音的に悪いイメージじゃない?」
「ギクッ!」
黒井さんの鋭い指摘に思わず身体が硬直します。
「ちょっ、ちょっと、黒井さん。人の名字を悪く言うのは良くないよ」
「朋美の言う通りだよ。ほら、千里ちゃん、涙ぐんでる」
(わたしが悪のイメージ! なんて甘美な響き!)
「……大丈夫? もしかして言われたくない事だったよね。ゴメン、無神経なこと言って」
「気にしないでください! むしろ直接言ってもらって、とても嬉しかったです!」
私は思わず黒井さんの両手を取って感謝の意を表現していました。
「えっ? えっ?」
◇
「おいっ、あれマジかよだよ。演技とかじゃない喜びのオーラが幻視出来るぜ」
「なんて心の広い子なんだ。聖女かよ」
「千里ちゃんって天使だよなあ」
「だから、その言い方キメえ」
「だから、ほっとけ!」




