10 日々の栄養管理は大事なことですよね
「戦闘員のみなさ~ん! ご飯が出来ましたよ~!」
戦闘員の皆さんの日ごろの栄養管理は大事です。
「遅くなってしまってすみません。着替えてるヒマがなかったので仕事着で失礼しますね」
フェイスガードを外し、行儀よく食事を心待ちにしている戦闘員の皆さんの視線が、一斉にわたしが持っているシチュー鍋に注がれます。
「ビキニアーマーにエプロンドレス、だと!」
「更にピンクのミトンに笑顔付き!」
「お父さん向けのケバいおねえちゃんじゃなくて、清純派系の美少女がこういう恰好をすると反則過ぎる」
「エプロンからの上からの角度が! エプロンからの角度が~!」
「後姿が! 後姿がああー!」
「脇からの角度も捨てがたいぞ」
「はっ、鼻血が……」
「大丈夫かトントン(首の後ろを叩いてやっている音)」
「すっ、すまない。助かった」
「戦闘服が突っ張る」
「おっ、俺、悪の組織の戦闘員やってて良かった!」
「さあ、おかわりは沢山ありますからね。いっぱい食べてスタミナつけてくださいね」
皆さん、皿に向かって前かがみに食事が配られるのを今か今かと待ち構えているようです。
そんなにお待たせしてしまったでしょうか。申し訳なく思います。
なので急いで順にシチューをお皿に注いでいきます。
それから和やかに食事は進んでいきました。
皆さん、何やら小声で話しているようですが、仲良しさんですね。
わたしが移動するたびに、皆さんの視線がシチュー鍋を追っています。
「クスッ、心配しなくてもお変わりはたくさんありますよ」
すると突然。
私がお代わりの配膳のためにかがんでいた目の前の戦闘員さんが鼻から血を吹き出してしまいました。
「ああっ、大変! 鼻血吹いちゃってます! スタミナのつく物をと考えたのですが、失敗しちゃったでしょうか? 取りあえず、膝枕をしますので、安静にしていてください!」
わたしは慌てて、その戦闘員さんを床に寝かせました。
それから、私は正座して太腿の上に戦闘員さんの頭をのせて様子を見ます。
一応落ち着いているように見えるので一安心ではありますが、なんだか恍惚としているようにも見えます。
本当に大丈夫でしょうか? 心配です。
一先ず収まったので配膳に戻ろうとしたのですが。
それからも、鼻血を吹き出す人が続出し始めてしまい……。
「どうしましょう。わたし、何かまずい物でも食材に……」
「いえ、メグシテゴナ様が離れれば治ると思いますよ。そこのお前ら、自分で鼻殴って倒れようとするのは止めろ!」




