冒険者登録
翌日、受付嬢に言われた通り、再びギルドを訪れた。
そして奥の部屋に案内された。
そこで待っておくように言われ、俺は何もない部屋で一人で待っていた。
すると床が開き、穴に落とされてしまった。
一番下まで落ちると受付嬢と八人のエルフの戦士たちがいた。
俺がいる場所だけ魔力が乱れていて、並の魔法師では魔法を使えない程だった。
「えっと…これが冒険者になる試験なのか?」
「いいや、違います。どうやってルーレン様のアーティファクトの検問を抜けたかは知りませんが、魔人であるあなたにはここでは死んでもらいます!!」
そう受付嬢が叫ぶと戦士たちが一気に魔法で攻撃してきた。
恐らくは俺が魔法を使えなくなっていることが前提の攻撃だろう。
俺は障壁の魔眼で全ての攻撃を塞ぎ、煙が立ち込んでいる間に三人の鳩尾を殴り、床に寝かせ、二人は壁に蹴り飛ばし、後の奴らは風魔法で吹き飛ばした。
そして煙が吹き飛んだとき、立っていたのは俺と受付嬢だけだった。
受付嬢は俺だけが立っているのを見て腰を抜かしていた。
俺は受付嬢の方に行き、声を掛けた。
「お前、五百年前からいるエルフだろ。この街では賢者の名前が出回っていないのにお前は知っていた」
「そうです。私はルーレン様を知っています」
俺に怯えながら答えた。
「お前の名はなんだ?」
「カルラ・ルーグラドです」
先の戦闘のとき真理の魔眼を使っていたこととフルネームで俺は確信した。
コイツは俺が五百年前、人間の街に迷い込んだエルフで俺が世話したものだ。
「カルラ。何故また人間界にいるんだ?俺が迷いの森に連れて帰っただろ」
カルラは俺が何を言っているのかわからない様子だった。
その時、床に寝かせた一人が立ち上がろうとしたので、俺は重力制御魔法でソイツの周りの重力を上げ、無理やり寝かせた。
「貴方は誰なのですか?」
「俺は七賢者の一人、魔眼のルーレンだ」
「嘘をつくな!ルーレン様は人間なんだ!」
俺は叫んでいるカルラの両肩を押さえて言った。
「カルラ、落ち着いて俺の目を見ろ」
「その目は…」
カルラは今にも泣きそうだった。
俺がカルラに見せたのは俺が信頼している極一部にしか見せたことがない、俺の本当の固有魔法。
魔眼の魔眼。
この魔眼の能力は俺が考えた魔眼を創り出すというものだ。
障壁の魔眼や転移の魔眼などはこれによって創られた魔眼だ。
カルラは俺が本当にルーレンだとわかり、俺の胸元でしばらく泣き崩れていた。