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冒険者との出会い1

数日経った新月の夜だった。


街は闇に呑まれ、街灯が無い場所は何も見えなかった。


そんなとき、俺の千里の魔眼が人間が魔族と人間、そしてそれを追いかけるように走る人間を感知した。


(これは魔族が人間の子を誘拐して、それを冒険者が追いかけているのか…)


魔族は人間の追跡に気付いていないようだった。


(このままいけば、子供の居場所がわかるかもな)


俺は数日間、街で人間の気配をさがしていたが、見つからなかった。


恐らく、高度な隠匿魔法なのだろう。


なのでこうした方法で誘拐犯のアジトを探す必要があった。


しばらくは冒険者に対応を任せるようにした。


冒険者の実力を知りたかったのもあるのだが。


しばらくして魔族が街外れの家の前で止まり、そこからは別の魔族が出てきた。


(これが主犯か)


中から出てきたのは五級魔族で、金銭のやり取りをしていた。


そして家の中から多くの人間の気配がした。


(三十、いや四十人近くいるな)


だが、不思議な点が二つあった。


五級程度ではこんなにも高度な隠匿魔法を使えないはずなのだ。


そして何故か見覚えのある家だった。


(まぁ、いいか)


俺はそう思い、現場に飛行魔法で飛んでいった。

時は少しさかのぼる。


新月のときに子供たちの誘拐がいつも起きるということで、辺境の村に数人の冒険者が集まっていた。


「おい、このまま何も無かったら依頼料だけ貰えるんだぜ」


「最高だな」


そんな事を言っていると何か起こる。

そういうのが定番だ。


そして案の定、事件が起こる。


いやぁ〜〜〜!!


遠くから女性の叫び声が聞こえた。


急いで冒険者たちが向かうとすでに子供は連れ去られていた。


「お母さん、どっちの方に賊は逃げましたか!」


女性が草原の方を指差した。


「うちの子はたすかりますよねぇ!」


そう言って取り乱していた。


はい。と優しくいい、追跡するものをきめた。


カラン・コラルート。移動魔法を得意としている。


メイシャ・サラール。闇の魔法の専門だ。


クリルマル・テイシャル。敵との交戦を得意としている。


「私達三人で追跡をする。他の者たちは再び、警戒態勢をとれ」


このAランク冒険者、三人で賊を追った。


しばらくして賊が目視できるようになった。


その時、三人は気付いた。


「あれって…魔人じゃないか…」


「本でしか見たことないぞ…」


「でも…あの魔力は…」


この三人は魔人を見たことが無かったのだ。


だが、知識はあった。


魔人というのはAランク冒険者が束になっても勝てない存在であるということの。


三人は一度かえり、Sランク冒険者を呼ぼうか考えた。


だが、魔人のアジトを知ることは次に討伐に来るとき役に立つと思い、追跡することにした。


魔人であることに気付いてから数分後、二人の魔人は何もない場所に止まったのだった。


(何故、こんな何もない場所で止まる)


そう思うのも束の間、何も無かった場所に家が現れたのだ。


(なんだ、この魔法は!)


そう思っていると家の中から別の魔人が出てきたのだ。


そしてその魔人は他の魔人より、圧倒的な魔力を持っていた。


そして三人で何かを話していた。

「おい、言われた通り三人、子供を連れてきたぞ」


そう言いながらドアを叩いていると中から魔人が出てきた。


「お疲れ様です。依頼達成の報酬を渡したいところなんですが…」


三人の冒険者に向かって魔法を放った。


「あなた達、追跡されてますよ」


草陰から三人が魔法を避けるために出てきたのだ。


「なにィ!」


と二人の魔人は驚いていた。


「あの三人を処分した後、報酬を渡します」


そう言って魔人は家に帰っていった。


そして二人の魔人は指をポキポキ鳴らしながら、冒険者の方に向かってきた。



「お前らのせいで報酬貰えねぇじゃねぇか」


「ここで死んでもらうよ」


そう言って飛びついてきた。


それに反応出来たのはクリルマルだけで二人を守るように前に出た。


そして攻撃を防いだのだ。


「君から死にたいのか。なら、お望み通りに!」


二人の激しい攻撃を上手く防げているように見えるが、少しずつダメージを負っていた。


その間、二人は恐怖で身体が動かなかった。


「お前らだけでも早く逃げろ〜!」


そうクリルマルが叫び、二人は動けるようになった。


「必ず、援軍を連れてきます。それまで耐えていてください」


そう言って、二人が逃げようとした時、あたりに爆音が鳴り響いた。


その音の方を見ると大きな穴ができていて、中に一人の男がいた。


「あ〜あ。スピードの制御、失敗した。こんな穴作るつもりなかったのに」


そう言いながら頭を掻いている男をこの場にいた五人が見ていたのだった。


そしてその男は意味がわからないことを言い出した。


「あぁ~~、脅かしてごめんね。どうぞ続けて」


そう言われても、誰も動けなくなった。


この男の底知れぬ力。


そして少しも漏れない完璧な魔力制御に。


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