①不思議な依頼状
差出人のわからない依頼状が、篠原探偵事務所に届いた。事件を解決するために、南たちはあるき出す!
1通の手紙が来た。
『篠原南様 私の娘を探してください。お願いします。』
まただ……。昨日も一昨日も、同じ手紙が来た。差出人の名前はわからない。だから娘さんを探すことだってできない。せめて、名前ぐらい書いていてほしかった。
ここは篠原探偵事務所。愛楽、華音、大志、海翔、そして私のこの5人で探偵をしている。愛楽とは幼なじみで一番の仲良しだ。
最近事件が起きないと思っていたけれど、一昨日、事件は起きたのだ。
人探しだけど、どこの誰を探せばいいのかてんでわからない。
「ねぇ愛楽、なんか手がかり見つからない?」
私と愛楽は、手紙をじっと見つめ、考えこんだ。
今、探偵事務所には、私と愛楽と海翔しかいない。しかも、海翔はまるでやる気を見せず、あてにならない。
やっぱり私と愛楽で解決するしかなさそうね……。
「うーん、わかんないや。でもさ、依頼人はわからなくても、探してみようよ。何日も同じ手紙が来てるんだから、相当心配してるのよ」
「そうは言っても、どこを探せばいいのよ?」
「それはー、私にもわからない」
行き詰まってしまった……。
「こんちはー!ってあれぇ、みんな元気ない?」
華音と大志が、事務所のドアから顔をのぞかせる。
「二人とも、依頼がきたんだけど、依頼者がわからなくて困ってたの。もしかしたら二人にはわかるかもしれないから」
私が二人に手紙を見せる。
「ふむふむって、華音、ぜーんぜんわかんない!大志は?」
「……、僕にもわからないよ。でも、とにかく探してみようよ。まずはこの街から」
大志は気が長いなぁ。
「じゃ、駅付近を愛楽、商店街を大志、ショッピングモール付近を華音と海翔、学校付近を私」
実は華音は海翔のことが好きなのだ。女子のヒミツだけど。それに、ショッピングモールって広いからね。……駅と学校ってけっこう近いんだよね。いつでも愛楽と会えるようにしたんだ。フフフ……!
「じゃあ海翔を起こさなくっちゃ」
そう言って大志は海翔をゆさぶる。
「起きろよ、今から調査だぞ!」
その瞬間、海翔はガバッと起きたのだ。いきなりすぎて、こっちがびっくりしてしまった。
「何の調査だ!?」
「人探しよ」
そう言うと、海翔はガックリと肩を落とした。
「なんだ、つまんねぇ」
「そんなこと言わないで、私と一緒に調査しよう?」
華音が完全に乙女の顔で言った。
「またお前と一緒かよ……。なんで毎回お前なんだ!?」
「まあまあ、いいじゃない。さ、みんな調査始めるよー!」
私の合図でみんなが動き出した。
読んでくださってありがとうございました!こちらも連載なので、どうぞ次回をお楽しみに!