初稽古と初デート (中)
本日2話投稿
フローレンスは、円形をしていて、中央にそびえ立つ一際大きな建物が領主であるテルフォード辺境伯の屋敷だ。
個人的には屋敷と言うよりもはや城だと思うんだけど。まあうちなんだけどね。
そこから街の外壁にある東西南北の門にそれぞれ一直線に繋がるメインストリートがあり、1番長い通りで6km、1番短いものでも5kmある。
門を抜けてメインストリートを進むにつれ、建物が大きくなっている。門に1番近い所には宿や雑貨屋が密集していて、長旅で疲れた旅人や冒険者が泊まって、また街を出る準備をしている。
そこを抜けると今度はごく一般的な家屋やお店が見えてくるのが1.5kmほど続き、少し大きな建物が見えはじめ、街を歩く人が着ている服も少し良くなったように見える。
さらに進むと、大きな商会や貴族、羽振りのいい冒険者などが住む屋敷があり、領主の館に繋がる。それが全ての通りに通ずることだ。
それに加えて、各ストリートには特色があり、東側メインストリートの中央付近には一際大きな建物がある。冒険者ギルドだ。その影響で、東側メインストリート周辺には冒険者が多く住む。
多くのファンタジーに見られるように、やはり冒険者は貴族や平民、貧民、種族を問わず、実力さえあれば成り上がれる為、血の気の多い人も少なくないようで喧騒が絶えない。やはりこれもテンプレと言うべきかそんな冒険者を野蛮と蔑む貴族も一定数いる。
それによって西側メインストリート沿いには貴族やそういった騒がしいのが苦手な人々が集まるため、閑静な住宅街になっているが昼間はそれなりに賑わっている。
南側メインストリートには、多くの商会や様々なお店が集まっている。「欲しいものがあるなら南側メインストリートに行け」と言われるくらい色々なものが売っている。そんな南側メインストリートだからか、ヒューマンはもちろんのこと雑多な種族の人々が住んでいて、この街の縮図のようなところらしい。
街の北側には畑や小さな森が広がっていて緑豊かな地域だ。メインストリート沿いは多くの農家が朝採れた新鮮な野菜を売っている。ちなみに家に出てくる野菜も毎朝シェフ陣が北側メインストリートに買いに行っているらしい。
とか色々語ってみたものの全部レベッカ母さんに教わったことなんだけど、(*・ω<*)てへぺろ
ちょっと古いな。
閑話休題
そういうことなので、今日は南側メインストリートを探索してなにかいい物があればアリーにプレゼントしようと思って、今は家を出てアリーと手を繋ぎながらメインストリートを歩いている。
「ねえねえアルは今日何を買うの?」
「ん〜、特に決めてないかな。色々見て探していい物があれば買おうかなって」
「あ、でも武器屋はちょっと見てみたいかな」
「わたしかわいい服とぬいぐるみが欲しい!!!」
アリーは眩しいくらいの笑顔でそう言ってくる。かわいいっすウチの天使ちゃん
「じゃあいいのがあったら買おうか!」
「うん!!!」
そんなことを言いながら歩いていると、1件目の武器屋が見えてきた。扉は無く、入口の両サイドに武器が入った樽が置いてある。それらを無視して店の中に入る。
「いらっしゃ、、、なんだぁ?子供が何の用だ?冷やかしなら帰れ!!!」
そう言いながらカウンターから出てきた店主と思われるおっさんは俺とアリーの首根っこを掴んで店の外に追い出した。
いやーいい顔はされないと思ってたけど門前払いとは世知辛い。
結局その後5件の武器屋に行ったけど結果は同じだった。ていうことで武器屋は諦めて、アリーの洋服探し兼ぬいぐるみ探しをすることになったんだけど、ぶっちゃけアリーって素材がいいからなんでも似合うんだよね。
ぬいぐるみの方はアリーが気に入ったのを買ってあげて今もずっとニコニコしながら左手で抱きしめてるんだけど、なんのぬいぐるみなのか全然わかんないんだよね。見た目はほぼ豚なんだけど大きな牙が生えてて体の形がちょっと猪っぽい。
これもうわかんねぇな。
でそんなこんなしてたら昼飯時、ちょうど広場があって屋台もあったからベンチに座って食べることにする。
「アリー何食べたい?」
「お肉!!!」
「ハハハ、相変わらずお肉が好きだね」
「うん!お肉大好き」
「じゃあ買いに行こうか」
ベンチを確保して屋台の方に向かって行くと、色んなタレやソースの混ざった匂いが余計にお腹を空かしてくる。
「どれがいい?」
「アレとアレ!!!」
そう言いながらアリー指す指の方には野菜と一緒に肉を串に指して焼いた串焼きのお店とケバブのような物を売ってるお店がある。
「肉サンド1つと果実水2つください」
「あいよ」
そう言われて1分くらい待つと渡された出来上がったものの匂いは完全にケバブです
「銅貨5枚だ」
「はーい」
「ちょうどだな」
「ありがとう」
結構無愛想だけど優しそうな顔の店主と何気ない会話を終わらせ、2軒挟んだ串焼きの方に来た
「お姉さん、串焼きタレと塩1つずつ下さい」
「はーい、ちょっと待っててねー」
注文してから焼くスタイルみたいなので果実水を飲みながら待つ。この果実水うめぇな。桃かな?かなり美味い止まらなくなりそうだ。アリーなんかもう飲み切ってるよ。
「はーい、お待たせしました。銅貨1枚になりまーす」
「すみません、これしかなくて」
そう言いながら大銅貨を出す
「銅貨9枚のお返しです。また来てねー」
ワイルドでかつ綺麗な顔のお姉さんがニコニコして手を振ってくる。ふむふむいい物だ。
とか思ってると握られた左手が悲鳴をあげた
「いてっ、どうしたの?」
アリーの顔を見るとムスッとしている。これはアレだな、お姉さんに俺が取られちゃうかもって嫉妬してるんだな。繋いだ手を離して頭を撫でる。ハハハかわいいなぁ、俺の嫁はアリー1人に決まってるじゃないか
そう思った瞬間、背筋がブルっとした。
なんだ今のはもしかしてフラグ立てちゃったのか?
ハハっそんなことあるわけないじゃないか
俺の嫁はアリーだけだ!!!
クソっ、まただ
おかしいぞ、もしかして俺の転生特典ってフラグ察知とかなのか?よし、こうなったらやってやる
俺の結婚相手はアリーとあと一人だ!!!
ヤバい、、、なんか過去一体が震えたんだが、、、
普通ブルっとかいってもブルブルっくらいだと思うんだよ、ブルブルブルブルっくらい震えたぞ。どういうことだ。2人でもないのか。仕方ない。本当はやりたくないがやるしかない。
俺はアリーとは結婚できない!
ブルブルブルブルブルブルブルっ
なんだこれ過去一が更新されたぞ。でもアリーとは結婚出来るみたいだ。良かったぁぁ。なんかもっとアリーが愛おしく思えてきた。アリーを撫でる手にさらに感情が籠るのが分かる。
さあ、やるしかないんだ
俺はやれば出来る男だ
俺が将来結婚するのはアリーを含めた3人の女性だぁ!!!
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「アル?何してるの?大丈夫?」
なんか始めたら止まらなくなっちゃいました。
唐突なメタ回でした