ワイバーン駆除前編
指理市郊外上空10000ft(約3000m)
飛鳥に乗るパイロット夏山 勇はいつものように、仲間と四機で哨戒をする。
夏山の目に、上空13000ft(約4000m)を飛ぶワイバーン二匹が映る。
「こちら第一中隊牡丹隊 隊長機 ワイバーン二匹目視 交戦開始」
「了解 交戦許可」
地上からの交戦許可をもらい、夏山は隊員に指示を出す。
「俺と鴻池は5000mへ上昇。土肥野・蒲田の二人は現状高度を維持。」
三機から「了解」と返事が来る。
俺と鴻池はスロットルに付いたスイッチ押し込み。
スロットルを限界まで押し込み、WEP(戦時緊急出力)でエンジンを回す。
エンジンが轟音を鳴らし、25m/sの上昇速度で上空へ駆けあがり一分半弱で16000ft (約5000m)に到達する。
俺は無線で隊員に指示を出す。
「こちら隊長機、突撃する。高度3500m以下は土肥野・蒲田が担当せよ。」
俺と鴻池はラダーと操縦桿を右へ動かし、ブレイクして急降下に入る。
降下してくる戦闘機に気が付いた一匹のワイバーンは急降下に入り逃げるが、もう一匹は気が付くのが遅れ戦闘機の射程圏内に入り込む。
鴻池は光像式照準器の照準環一杯にワイバーンを捉え、スロットルの射撃スイッチを握りこむ。
スタタタタという軽い音と、ズドンズドンというお腹に響く音と共に、10mmと30mmの弾が機首から発射される。
弾丸が翼や胴体を突き抜けたり炸裂するが致命傷にはならず、ワイバーンは逃げようともがきならが飛び続ける。
「攻撃する」
俺は無線でそう叫び、エアブレーキを開きスロットルを閉じて減速をする。
照準器にワイバーンをとらえ、落ち着いて偏差をとり射撃スイッチを握る。
速度を落として射撃時間が長く取れる事もあり、多くの命中弾を出す。
そのうちの一発が30㎜がワイバーンの頭部にあたり炸裂し脳と肉片をまき散らす。
頭部を失ったワイバーンは痙攣しながら林の中へ落ちる。