大切な事
ちゃんと分かってる。
大切な事はちゃんとそこにある、と。
それでも無視し始めたのは、僕は違う方が大切だと知っているから。
君は許してくれるかな。
今日も僕は大切な事をすっかり忘れたまま、一日を過ごしそうになる。それはもう、習慣になってしまっている。
悲しくも現実的な習慣で、決して間違ってはいない。でも、僕は、このまま生きていくのはどうなのかな。
君がいなくなって、ずっと君の事を考えないようにして生きてきた。
それは別に仕方のない事で、君もいつものあの笑顔で、仕方ないよと許してくれる確信はあった。
新しくできた恋人は、とても優しくてきれいな人だ。君ならきっと親友になれる、それくらい素敵な人だ。
結婚の話が出て、僕も珍しく胸が高鳴った。
いいかな、君は悲しまないかな。
でも、僕はちゃんと分かってる。
大切な事に代替なんて存在しない。
今日も僕は大切な事をすっかり忘れたまま、一日を過ごしそうになる。
僕にとって新しい大切な人ができた、そんな大切な事をすっかり忘れて、僕はまた、君の事ばかり考えてしまう。
君は許してくれるかな。
ずっと君から離れられない、意気地なしの僕を、君は許してくれるかな。