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4-11:覚醒[キャラクターステータス付]

「“大回復ストラヒール”!」

 王都南門で別れてきたはずのユズの参戦により、俺たちは助かった。ずっと蹲ったまま起き上がらなかったアンナは、実は意識はちゃんと保っており、倒れたままで回復魔法のスキルを最大の5に引き上げており、それにより俺たちは精神的な疲労はともかく、HP、体力面では全快させることができた。この間、リーフィアは突然乱入し、魔法を反射させてきたユズを警戒しているのか、追撃を仕掛けてくることはなかった。

 そう、先ほどリーフィアの攻撃魔法がいきなり反転したのは、ユズが乱入しがてら、新魔法“魔法反射リフレクト”を土壇場で編み出し、使用したからだった。

「お兄ちゃんたちが突撃してから、あたしも他の騎士さんや冒険者のみんなと力を合わせて迫ってくる敵軍を押しとどめていたんだけど、お兄ちゃんたちが向かった先で起こった大きな爆発に、いてもたってもいられなくなってバサきちに乗ってすっ飛んできたの」

「そうか。でも、よくあの敵兵の密度で抜けられたな?」

「確かに、かなりたくさんいたけど、立ちはだかろうとした魔物は全部バサきちで跳ね飛ばしてきたわ。そしたら、2人ともボロボロで倒れてるし、しかもヤバそうな竜巻も放たれてるしで、無我夢中で飛び込んで、あの魔法をなんとかしたい、って考えて、日本にいた頃によくやってたゲームであった、魔法を跳ね返す鏡をイメージしたら、できちゃった」

 なるほどな。ユズが駆けつけてくれなかったら俺もアンナもお陀仏だったことを考えると助かったのは間違いない。間違いないんだが……

「成功したから結果オーライだけど、イメージに失敗して反射魔法が発動してなかったらどうするつもりだったんだ? 危ない目に遭わせたくないから一緒に連れて行かずに別行動にしたのに……」

 話を聞いてみると、とんでもない大博打をしていたことになるユズに、思わず苦言を呈してしまう。

「あたしだけ助かって、生き残って日本に帰れたとしても、お兄ちゃんやアンナさんがいなかったら、何の意味もないよ! 2人とも、あたしを置いて死ぬつもりだったとでも言うの!?」

 すると、ユズが怒ったように反論してくる。――ああ、これはユズの方が正しいな。油断して瀕死の重傷を負って、トドメ刺されかけたところを救われたのに、あんなこと言っちゃダメだったな。

「済まん。お前を置いて死ぬとか、そんなつもりはなかった。――さて、いつまでもくっちゃべってる場合じゃないな。突然乱入して、未知の魔法(反射魔法)を使用したユズを警戒して攻めあぐねているようだが、いつまた攻撃してくるかわからんからな」

「そうだね、でもお兄ちゃん。まさかこの状況からあたしだけ王都に戻れ、なんて言わないよね?」

「もし、あの魔法反射リフレクトがユズじゃなければ、そう言うつもりだった。けど、強力な攻撃魔法を連発してくるリーフィアを相手に、魔法反射が使えるユズがいてくれれば、心強い。俺のスキルカスタマイズでも習得できない、ユズだけのユニークスキルだ。もう、帰れなんて言わないよ。ユズ、一緒に戦ってくれるか?」

 ユズの話を聞いてから、スキルカスタマイズで習得できるスキルなのか調べてみたが、どこにも見当たらなかった。おそらくアンナも習得できず、ユズだけが習得できる、ユニークスキルなんだろう。そんなユズが共にいてくれれば、実際にリフレクトが使われなくても、リーフィアからすれば変に攻撃魔法を放てばまた跳ね返されるかも、と警戒心を抱かせることができるわけだ。

「もっちろん! でも、正気を失ってるっぽいリーフィアさんを殺さずに正気に戻す方法ってあるのかな?」

「わからん。そもそもどういう理由で正気を失ったように攻撃してきているのかすらわからないわけだからな。何らかの脅迫によってやむなく正気を失くしたように攻撃してきているのか、あるいは魔術的な何かで暗示にかけられて正気を失くしているのか。はたまた、今まで俺たちと行動を共にしていたことを過ちとして、そうした過去を清算しようとしているのか。もしも最後の理由だとしたならば、こちらも覚悟を決めなくてはならないだろう。俺としては、一緒に行動していたときのあの笑顔がウソだった、とは思いたくない。ともかく、殺さないように昏倒させることを目標に戦おう」

「わかったわ。リーフィア以外の魔族兵や魔物は全殺しでいいのよね?」

「あたしもオッケー! って、お兄ちゃん! あたしのステータスが!」

 体力を回復し、リベンジ戦に向けて静かに闘志を燃やすアンナに頷きを返すと、ユズが慌てた様子で叫んでる。ステータスがどうかしたのか……?


【名前】ユズキ=サンフィールド

【Lv.】25

【HP】1771(506)  【MP】2156(616)

【STR】952(272)  【VIT】886(253)

【AGI】1348(385) 【DEX】434

【MAG】1078(308) 【LUK】299

【スキル】鞭5 火魔法5 水魔法5 風魔法5 土魔法5 無属性魔法5 回復魔法5 身体強化5 魔力強化5 調教5 料理1 生活魔法 索敵5 回避5 薬の知識 反射魔法

【補足】HP・MP・STR・VIT・AGI・MAG 各250%上昇

【称号】覚醒せし真の勇者


 な、なんだこのステータスは!? ユズが、真の勇者……!?

 これまでに習得していたスキルは軒並み最大レベルの5に上がり、さらに身体強化と魔力強化を新たに習得して、一気に最大レベルの5になってる。いや、それだけじゃない。強化スキルの計算時に基準となるステータス値も、いくらか底上げされた上で強化スキルが入ってるようだ。これが、覚醒せし真の勇者のチカラなのか?

『ふむ、後天的に勇者の素質を開花させ、覚醒してみせたか。単なる人違いで召喚したわけではなかった、ということか』

 なんかさりげなく創造神様が降臨されてるんだが。召喚する時に俺と間違えた、人違いをごまかすためにこっそり勇者の素質になる何かを後から植え付けたとかじゃないよな?

『それは無い。今回のケースに関しては、純粋にユズキの努力が開花したものだ。私は誓って一切の手出しをしていない。しかし、トーマよ。魔族の指揮官を殺さずに事を収めるのは困難を極めるであろう。それでも方針を改めるつもりはないか?』

 そうか。うっかり神だから何かやらかしてるかと思ったが、杞憂なようだな。創造神がいったい誰に誓うのか、とは思うが、そこは突っ込んでやらないほうがいいだろう。それはそうと、確かに、敵軍すべて皆殺しにしてしまえば、簡単だろう。だけど、たかがひと月ちょいとはいえ、リーフィアとパーティを組んでいた間は楽しいことも、ツラい戦いもあった。結果的に助けられなかったのなら諦めもつくが、最初から殺す気で立ち向かうには、俺とリーフィアの間には絆がありすぎる。勇者3人で、リーフィアを助け出して見せる!

『その決意、尊重しよう。頼むぞ、勇者トーマ……!』

 創造神様はそう言い残すと、姿を消した。さあ、今度こそ戦闘再開と行こうか!

お読みいただき、ありがとうございます。

次回…4-12:撃退、そして新たなる旅路へ

打ち切りという形での最終話です。

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