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3-02:再会2[キャラクターステータス付]

切りどころが見つけられず、8000文字弱になってしまっており、少々、長いです。

「刀馬君、会いたかった!」

 駆け寄って抱きついてくる杏奈をしっかりと受け止め、抱きしめ返す。勢い余って2周ほどぐるんぐるん回ってしまった。見ていた通行人が「よっ、アツいねー」とか茶々を入れていったが、杏奈はともかく、俺は聞こえないフリをする。

「杏奈がここにいるってことは、やっぱり勇者としてこの世界に召喚されていたんだな。財布も携帯も家の鍵も何もかも置いたままいなくなっちゃったから、めちゃくちゃ心配したんだぜ?」

「心配かけてごめんね。でも、わたしにもどうしようもなかったのは分かってくれるよね?」

「ああ、分かってる。それでも、言っておきたかったんだ。もっとも、今現在俺も同じような状況になってて、家族に心配かけちまってるだろうからな。特に、ユズが泣いてないか心配だよ」

「あっ……と、刀馬君? いろいろ積もる話もあるし、わたしたちの家に来ない? もちろん、後ろにいる仲間の子も一緒でいいわ」

「えっ? 杏奈、家を持ってるのか?」

「うん。まあ、借家だけどね。でも、立派な一軒家よ。さ、行きましょう」

 苦笑いで応える杏奈の後について、第四区へ移動する。リーフィアは唐突な展開に少し戸惑っているようだが、少し遅れて着いてきた。


「着いたよ。ここが今わたしたちが暮らしてる家。家賃は月に8万ゴルド。一緒に冒険してる人と2人で住んでるわ」

 杏奈が足を止め、手のひらで示した先にある住宅を見ると、石造りの2階建てで、それなりの広さがありそうな感じがする。……いや、そんなことよりも、だ。

「そういえば、俺がこの世界に召喚された時、創造神さまが『先行している勇者とその仲間がいる』って言ってたんだけど、今一緒に暮らしている人も俺たちと同郷の人なのか?」

「それは、中に入ればすぐにわかるよ。――ただいまー。ユズキちゃーん、お客様を連れてきたよー!」

 なん、だと? いやいやちょっと待て、今、杏奈はなんて言った? 名前が同じだけの別人か? いや、焦るな。すぐに分かる……

「アンナさん、おかえりなさい。って、お客さ……ま…………?」

 パタパタと小走りで居間から出てきたアンナの同居人が俺の顔を見てピタリと動きを止めた。

「ゆ、柚希ユズ……なのか?」

「お、お兄ちゃん……お兄ちゃぁんっ!」

 あっという間に顔をくしゃくしゃにして飛びついてきた柚希――ユズをさっきの杏奈同様、しっかりと受け止めた。ただし、今回はぐるんぐるんは無かったぞ。



 しばらくしてユズも落ち着きを取り戻したので、改めて居間で俺とリーフィア、杏奈とユズが顔を突き合わせてお互いにこれまでのことを話そう、ということになった。

「じゃあ、まずはわたしからだね。わたしはこの世界の暦で今から半年くらい前に創造神さまに召喚されてこの世界に来たの。最初に着いた街がこの王都イェスラだったから、それ以来ずっとこの街で冒険者をして過ごしているわ。その間にあったのは、王都に来て最初の夜にいきなり暴漢に夜這いをかけられそうになったことくらいかしら。あとはなぜか巨大化していたアルラウネとか、大物の魔物も何体か仕留めたかな」

 すると、杏奈が先陣を切って話し始めた。まあ、召喚された俺たちの中では最も早くこの世界に来てるようだからな。ってかちょい待て。誰だ俺の彼女に不埒なことしやがって。

「暴漢に襲われた話、詳しくプリーズ」

「え? 夕飯の時に相席した変なキザ男が閂のかかってた宿の部屋にどうやってか侵入して、ル○ンダイブさながらにわたしに飛び掛ってきたの。でも、無我夢中で槍を振り回したらザックリ切り裂いちゃってジ・エンド。正当防衛が認められたから前科なんかは付いてないわよ」

「……あの、すみません。その事件の犯人、私の兄なんです。その節は、ご迷惑をおかけしました」

 あっけらかんと話す杏奈に、リーフィアが立ち上がって頭を下げた。

「え? あなた、あのキザ男の妹さんなの? そういえば、あなたのことをまだ何も聞いてなかったわね。刀馬君と一緒に冒険している仲間、っていうのはおおよそ見当ついたんだけど、あなたはどう見てもわたしたちと同郷の人では無い……よね?」

 いきなり話に入ってきたリーフィアに、杏奈が戸惑っているが、質問をすることで話を進めるようだ。

「はい、私はリーフィア=ドーラと名乗っていますが、これは偽名で、本当の名前はリーファ=フォン=ドーレス。ここノーランド王国の南西の高山地帯にあり、創造神があなた方を召喚するきっかけになった魔族の国、デビルロード帝国の第一皇女だった者です」

「ま、魔族!? 刀馬君、それホントなの!?」

 大陸統一を目論む魔族の野望を止めるためにこの世界に召喚されたので、こんな街中で再会した同郷の人間の連れとして魔族と出会うなんて思っていなかったのだろう。杏奈が泡を食ったように問いただしてきた。

「ああ、本当だ。後で俺の話をするときに言おうと思ってたけど、元々リーフィアは勇者として召喚された俺を抹殺するための刺客として送り込まれたんだ。杏奈に夜這いをかけたっていうリーフィアの兄さんも、同様の理由だったみたいだな。だが、リーフィアの兄さんは作戦に失敗して死亡し、リーフィア自身は俺を誘惑して殺せる確信があったみたいだけど、魔族の固有能力は異世界人には通じない、ということを知らなかったために作戦は失敗した。戦意を喪失したリーフィアは皇女の立場を捨て、俺の従者として振舞ってる。俺たちの大まかな話はこんなところだ」

「そう、なんだ……直接狙われた刀馬君が仲間として扱ってるから、大丈夫なんだよね。でも、リーフィアさん? リーファさん、って呼んだ方がいいのかしら? あなたはわたしのことをどういう風に思っているの? あなたから見たら、わたしはお兄さんの仇、になると思うんだけど」

「私のことはリーフィア、でいいですよ。ええと、アンナさん、でしたっけ。あなたのことは、トーマさんと出会う前はいずれ抹殺すべき敵だと考えていました。でも、トーマさんと出会い、魔族の皇女としての立場を捨ててからは、仲良くできるかはわからないですけど、敵対もしたくない。そういう風に考えています」

「それならわたしのこともアンナ、でいいわ。じゃあ、次の質問。たぶん、それなりに刀馬君と一緒に冒険をしてきていると思うんだけど、刀馬君のことはどう思ってるの?」

 なんだか、杏奈の目つきが鋭くて、尋問めいてきたな。まだ大丈夫だと思うけど、場合によっては俺が間に入る必要も出てくるかな。

「トーマさんのことですか? 最初は誘惑して暗殺するためだけに近づきましたけど、一緒に冒険するようになって、いくつもの戦いを潜り抜けた今では、ひとりの男性として好意を抱いていますよ。結婚したい、と思うくらいには」

 まずい。結婚したい、の一言に杏奈の目がより険しくなった。

「あー、杏奈。俺はもちろん杏奈が一番だ。けど、リーフィアにも好意を抱いていることは認める。それで、今後のことなんだが、せっかく再会できたことだし、俺としてはリーフィアも含めた4人でパーティを組んで行動を共にしたいと思ってるんだが、杏奈やユズはどうだ? っていうか、ユズはどうしてこの世界に来ているんだ? ユズにも勇者の素質があったのか?」

「刀馬君……ずいぶんとまあ、ぶっちゃけたね。でも、その裏表無い正直さは、日本むこうにいた頃と変わってなくて安心したよ。うん、わたしも4人で行動していきたいと思ってるよ。でも、そうなるとこの家じゃ手狭になるかな。この家、寝室が3部屋しか無いから……」

「あたしがここにいるのは、半分はお兄ちゃんのせいなんだよ。創造神さまが新たな勇者としてお兄ちゃんを召喚しようとした時に間違えられたの。だからあたしには勇者の素質も無いし、あたしももちろんお兄ちゃんたちと一緒に行動するのに賛成、っていうかむしろ一緒に行動するべきでしょ。勇者の素質があるらしいお兄ちゃんたちは一般人のあたしを護る義務があると思うの」

 なるほど、2人ともパーティ合流には賛成、だけどこの家じゃ4人が住むには手狭、か。ってか、あの神さま意外とドジなのか?

『……つくづく、返す言葉も無いな』

 あー、なんか出てきた。でもとりあえず今は出てこなくていい。引っ込んでてくれ。

 その言葉を聞き届けたのか、神の気配はスッと消えた。


「ちょっと待ってください。私は別に合流しなくても、同じ王都にいる間は別々のパーティで行動し、時々ギルドとかで会って情報交換、とかでもいいと思うんですけど」

 おや、リーフィアが反対意見を出してきたな。仲良くできるかはわからないけど敵対もしたくないって言ってたし、杏奈たちと積極的に関わりたくはない、って感じか?

「そうかそうか、リーフィアはパーティ合流には反対か。でも、サイネガルドに多数決の原理があるかどうかは知らないが、俺たちの世界の常識として、数の多い意見が強い、というものがある。つまり、ここにいる4人のうち、パーティ合流を望むのが3人、反対はお前だけだ。言っている意味はわかるな?」

「ぶぅ……じゃあ、アンナが言ってるこの家の手狭さはどうするんですか?」

 自分の意見が通りそうに無いことを悟ったリーフィアが憮然とした表情でもうひとつの問題を前面に出してくる。

「おいおい、まさかお前がそんなことを言うとは思わなかったぞ。忘れたのか? 俺たちには近いうちに国王陛下から拠点となる、予備も含めて少なくとも5部屋ほどはある邸宅が与えられる、ってこと」

 ハッとした表情になるリーフィア。たった3日前にした話なのに、完全に忘れていたな。

「ちょ、ちょっとちょっと! 刀馬君、それってどういうこと!? 一体何をどうしたら国王陛下から家が与えられるなんてことになるの!? 王都で活動して何ヶ月か経つわたしたちだってまだお会いしたことなんてないのに!」

 俺の口から飛び出した唐突で荒唐無稽な話に、目を丸くして杏奈が食いついた。

「何を、って……かいつまんで言うと、王国軍を統括していたヴィクター元公爵がひとりで3体もオーガを倒した俺を脅威に感じて騎士団に入れさせようとしたけど、俺が拒否したら暗殺者を差し向けて来たわけだ。それを返り討ちにして、王国軍の正規部隊に引き渡したら、国王陛下自ら会って話をしたい、ってことになって謁見を果たし、その話の流れで拠点になる邸宅をもらえることになったんだよ。今はその物件探しをしてるところじゃないかな」

「なんていうか、わたしの半年間よりめっちゃ濃厚な1ヶ月を過ごしてきてるのね……」

 話を聞き終えた杏奈がため息と共に漏らした一言が、なぜか居間によく響いた。


「ところで刀馬君? さっきの話でひとつだけ、気になることがあるんだけど、リーフィアに誘惑されて殺されかけた、って言ってたよね? まさかとは思うんだけど、わたしというものがありながら、リーフィアとえっちなことしたの?」

 すると突然、杏奈がニコニコしながら俺の胸元をえぐるような言葉の直球を投げ込んできた。

「隠す意味も無いし、隠し通せるとも思っていないからちゃんと話すよ。結論から言えば、した、っていうことになるんだろう。……おっと落ち着け杏奈。その手の槍を離して、話を最後まで聞いてくれ。確かに、俺はリーフィアに出会ったその日に宿で性的に食われた。でも、リーフィアの持つスキルのひとつ、魔眼で身動きを封じられ、さらに強制的に眠らされた状態で抵抗しろって言うほうが無茶だとは思わないか?」

 杏奈は割と笑顔のことが多いけど、笑顔にもいくつかパターンがあって、中でも今見せているような、顔は笑ってるけど目が笑ってないときは、内心では怒ってる。その状態で受け答えに失敗すると、強烈なビンタが炸裂することになるんだよな。冒険者としてそれなりのレベルになってると思われる今の杏奈のSTRで引っ叩かれたら、痛そうだな……

「まあね、確かにそうなのかもしれないよ? でも、それ以前に警戒することはできなかったのかな、って思うんだ」

 う、これはまずいパターンか? 背中に、冷や汗が流れる。

「……なんてね、ウソウソ。全然気にしてないから、安心して。刀馬君の正妻の座は譲らないけど、側室みたいな子を何人か侍らせておいても、わたしは何も言わないよ。久しぶりに会ったから、ちょっとからかってみたかっただけ」

 するとまたも突然に杏奈の雰囲気が和らぎ、ペロッと舌を出してみせた。なんだ、からかわれただけか……しばらく会ってなかっただけで、こんなにも可愛く見えるものなのか。異世界で、とはいえ杏奈と、そしてユズとも再会できてよかった。まあ、ユズが向こうの世界で行方不明になってた、っていう話は聞いてなかったから驚いてはいるけどな。



 結局、多数決の原理に則って4人のパーティを結成することが正式に決まり、俺たちに与えられる家が用意できるまでの間は現在杏奈が借りているこの家を拠点として使うことも合わせて決まった。後で宿を引き払ってこなくちゃな。

 寝室が3部屋しか無い点については、杏奈、ユズ、リーフィアの女性3人でそれぞれ寝室を使い、俺は居間のソファーで寝転ぶ、ということになった。3人ともそれはどうなの、と反対意見を出してきたが、俺から言わせればレディーファースト、女性に部屋を譲るのは当然だろう。ただでさえ俺たちがこの家に転がり込んできたんだから、杏奈やユズに部屋を譲らせるのはあり得ないというのに。


「じゃあ、お互いに現在のレベルやステータス、スキルとかを教えあっておこうか。戦闘時の連携を取りやすくする為にも、ね。じゃあ、まずは俺から。今はこんな感じだ」

 今後行動を共にする杏奈やユズのレベルやスキルを知るため、お互いに情報として交換することにし、俺は自分のステータスを開示した。


【名前】トーマ=サンフィールド

【Lv.】21

【SP】20

【HP】710(284)  【MP】1670(668)

【STR】450(180) 【VIT】355(142)

【AGI】295(118) 【DEX】212(106)

【MAG】835(334) 【LUK】65

【スキル】剣術4 格闘4 魔法剣3 法闘術3 火魔法4 水魔法4 風魔法4 土魔法4 無属性魔法4 空魔法1 回復魔法3 身体強化3 魔力強化3 魔力回復2 索敵3 結界魔法 生活魔法 観察眼 料理1 投擲1

【補足】HP・MP・STR・VIT・AGI・MAG 各150%上昇

    DEX 100%上昇


「さすがトーマ君ね。バランス良くいろんなスキルを取ってるんだ。わたしは最初は近接戦闘が怖くて魔法を重点的に上げてたのよ。レベルが上がって槍――長柄武器とかも上げるようになったけど」

 杏奈は感心したような声を漏らしながら、自身のステータスを開示する。


【名前】アンナ=ブラックウッド

【Lv.】24

【SP】49

【HP】595(238)   【MP】2100(840)

【STR】363(145)  【VIT】298(119)

【AGI】513(205)  【DEX】356(178)

【MAG】1050(420) 【LUK】112

【スキル】長柄武器4 料理3 家事3 火魔法4 水魔法4 風魔法4 土魔法4 光魔法3 闇魔法3 無属性魔法4 聖属性1 回復魔法4 生活魔法 身体強化3 魔力強化3 魔力回復3 毒耐性2 索敵4 観察眼

【補足】HP・MP・STR・VIT・AGI・MAG 各150%上昇

    DEX 100%上昇


「レベル高いな。それに、MPも俺より多い。魔力強化のスキルレベルは同じだから、基礎値が高いんだな。っていうか、アンナの名前……」

「トーマ君のレベル1での基礎値がわからないからなんとも言えない所だけど、確かにレベル1の頃からMPは高めだったかな。名前についてはそのままそっくりトーマ君にお返しするわ。酷さではどっちもいい勝負でしょ」

「確かに。どうしてこうなった……」

「お兄ちゃんもアンナさんもうらやましい。基礎値の高さはともかく、あたしも自由にスキルを覚えられる能力が欲しかったなー」

 すると、ユズが不満そうな声を上げる。そっか、勇者の素質が無いユズはスキルを自由にカスタマイズすることができないのか。でも、ステータスは開示できるようだ。


【名前】ユズキ=サンフィールド

【Lv.】17

【HP】149  【MP】242

【STR】78  【VIT】75

【AGI】162 【DEX】196

【MAG】121 【LUK】110

【スキル】鞭3 調教3 料理1 生活魔法 索敵2 回避3 薬の知識


「まあまあ、俺やアンナみたいなのが反則なだけで、普通はユズと一緒なんだからな? リーフィアは魔族だから先天的に魔法の才能に恵まれてるけど、武器はからっきしだし」

「れ、練習してますぅっ!」

 俺の軽口に顔を真っ赤にして反論するリーフィアは自分ではステータスを見ることも表示することもできないので、代わりに俺が観察眼で見てやる。


【名前】リーフィア=ドーラ (本名:リーファ=フォン=ドーレス)

【Lv.】15

【HP】232  【MP】1065

【STR】117 【VIT】116

【AGI】98  【DEX】54

【MAG】533 【LUK】38

【スキル】剣術1 長柄武器1 火魔法5 水魔法3 風魔法3 土魔法4 索敵2 回避2 危険予知2 礼儀作法2 吸精4 魔眼3


「こうしてそれぞれステータスを見てみると、良くわからないスキルがみんなひとつはあるわね。トーマ君の“空魔法”って何?」

「ん? ああ、それは風魔法レベル4で派生したスキルだよ。上級スキルみたいだからスキルポイントの消費が大きくて、まだレベル1しか取得していないけど、その現状で使えるのは飛行フライだけだ。レベルを上げると何ができるのか、俺も楽しみにしてる。そういうアンナの“聖属性”ってなんだよ?」

「そうなんだ。わたしも風魔法は4だけど、空魔法なんてのは習得できるスキルリストには入っていないわね。で、聖属性なんだけど、トーマ君のスキルリストには無いの? そんな変わったスキルじゃ無さそうなんだけどな。効果は基本的には武器への聖属性付与。まだ実践はしてないけど、たぶん種別を問わず魔物に対する攻撃の効果が上がるんだと思う」

「ああ、俺のリストには無いから、俺の空魔法同様に、アンナ専用のユニークスキルっていう可能性もあるな。で、ユニークスキルと言えば、ユズの“調教”もそうだろうな」

 調教のスキルが欲しいわけではないが、どちらにせよ俺には習得できないスキルらしく、カスタマイズの一覧にその名前は無い。

「ねえ、このメンバーであたしだけがロクに魔法を使えないんだけど、なんとかして魔法を習得できないかな? 間違えられて、とはいえせっかく異世界に来たんだから、あたしだっていろいろやってみたいよ。神さまだって、努力次第でいろいろな道が開けるって言ってたし」

 まあ、そうだよなぁ。俺とアンナはスキルポイントによる自由なスキルカスタマイズ、リーフィアは生まれ持った才能。ユズだけが何も無いまま人違いでこの世界に飛ばされた。しかも俺と間違えて、ってんだから俺のせいじゃないとはいえ、罪悪感を覚える。兄としても、なんとかしてやりたいな。

「そうだな。ユズも魔法を覚えられれば、パーティ全体の戦力がさらに引き上げられるわけだし、要検討だな」

 うん、やはりゲームでも新しい仲間のステータスやスキルを把握しておくことは重要だからな。それが実際に共に戦う仲間となればなおさらだ。

お読みいただき、ありがとうございます。

次回:3-03 4人の初依頼


ここから下は、ストーリー上さほど重要ではありませんが、作中におけるちょっとした情報。

・デビルロード帝国の皇子皇女たちについて

 現皇帝エスペラードには5人の子供がおり、上から順に

 第一皇子(皇太子):ラインハルト 22歳

 第二皇子:マインツ 享年18歳

 第一皇女:リーファ(リーフィア) 16歳

 第三皇子:レオナルト 15歳

 第二皇女:アデリナ 13歳

※年齢は創暦1763年7月現在


・トーマがユズキの行方不明情報を知らなかった理由について

 ユズキが行方不明になったのは高校受験を終えた3月。実家はすぐに警察に捜索願を出し、その連絡をトーマに電話で伝えたのが深夜帯で、すでにその日トーマは寝ており、寝ぼけた状態で電話に出ていた。

結果、話をちゃんと理解できず、実家側はちゃんと伝えた気になっているので、トーマがユズを心配して帰ってこない理由を大学生ならではの金欠と、警察に捜索願を出した以上一般人が1人捜索に加わったところで何も変わらない、と考えたのだろう、と推察していたため。


以上、知ってもあまり得しない小話未満の情報でしたw

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