夢落ち
「…すぐ終わるからついてきて。」
「…え?いやいや…助けてもらったのは感謝してるけどいきなりついていけっておかしくない?」
「なら無理矢理でもきてもらう。」
「ひぃ!」
子供なんかの迫力に思わず情けない声を出してしまった。
でもよく考えると拳銃持ったマフィアに素手?で勝ってるんだよね…
夏休みに入って、暑さにやられたのかな……
いきなり訳の分からない人に終われるわ、ヤクザにぶつかるわ、訳の分からない子供に助けられるわ、そして助けられた子供に連れていかれそうになるわ…あーこんなの夢だよね…夢だ夢こんなの夢だ!
…あれ?
目を開けてみると、いつもの部屋、いつも使ってるベッド…
「もう12時か…ほんと気分の悪い夢だったなぁ。…って12時!?ヤバい!寝過ごした!!」
ほんとついてないです…
「イブキ…これはどういうことだ。」
「どういうことも何も見ての通りだよ…あー!厄介な物を選んだねぇ…」
先程までタケルがいた場所…今は倒れている柴多、シオン、イブキ、3人しかいない
「あれが目覚めてしまう能力ってことですね♪」
「あれー?雪乃ちゃん居たの?」
「居たのって!?うー酷いですぅ…」
「そんなことで泣くな雪乃。僕は気付いてたぞ。それより目覚める能力とはどういうことだ?」
「シオンおまっ…俺だけ悪者かよー、シオンだって雪乃見て居たの?みたいな顔してたじゃんー」
「そんな顔はしてない。ただ…少し驚いただけだ。」
「もういいです…」
どーせ私なんて…とか言いながら座り込んでこちらに背を向けてしまった
「あー泣かないで雪乃ちゃんー!」
「泣いてないですよ!!もう!」
ぷくっと頬を膨らませているが一応18歳だ。
「てか雪乃ちゃん。情報が集まったの?」
雪乃は思い出したかの用に手をポンと叩き
「あっ!そうですそれそれ!それを伝えに来たんです!実はですね…あれ?なんで皆さん手を挙げてるんですか?」
「さっきはなめたことをしてくれたなぁ…」
カチャリと言う不気味の音と同時に背中に何か当てられてるのに気づいた。
「だ、誰ー!?シオン君、イブキ君助けてー!!!」
「少し手加減しすぎたか。もう少し思いっきりしとけばよかった。」
「シオンどうする?雪乃ちゃん人質に取られちゃってるし。」
「大丈夫だ。僕にいい考えがある。」
「おい、二人、そこでこそこそなに話してる。」
シオンは手をあげたまま柴多の元に向かっていった。
「あーそこの柴犬さん。取引といきませんか。」
「柴犬じゃねえ、柴多健だ。てめぇなめてんだろ?」
相変わらずのドスの聞いた声で挑発的な感じだ。
「いやいや。そんな汚ねぇ面なめてないですよ。正直このままでも普通に潰せるけど雪乃が危険だ。さっきので分かってると思うがお前は僕には勝てない。」
「シオン君ー!私なんかに構わずやっちゃってー!」
「おい、うるせぇ、腹の中身をぶちまくぞ。」
「雪乃は大切な仲間。できれば無傷で取り返したい」
できればですか…まぁ、シオン君はその気になればすぐ殺すこともできるんだろうけど、できないから仕方ないよね…。
それにきっと何かいい考えがあるんだ!それを信じよう!
「…そうだな…条件次第によっては応じてやらんこともない。」
「ありがとうございます。それでは、雪乃をあげます。なのでそのまま帰ってください。」
「「「え?」」」