無機物の独り言
ただの思いつきです。異形頭でも、そのまま無機物でも好きに当てはめて読んでください。
「目覚まし時計」
ワタシは時間を知らせることの他に、決まった時間に音を鳴らすことが仕事。
今日も決まった時間に音を鳴らす。お、消された。まあ、また5分後に鳴らすよ。
5分たった、もう1回。起きろ、朝だぞ。む、また消された。ああ、じゃあまた5分な。
起きろ、遅刻するぞ!あ、また消された。しょうがないな、また5分な。
起きろ!間に合わなくなるぞ!お、やっと起きたな。全く世話が焼けるな。
おはよう、今日も頑張れよ!
「フライパン」
ワタシはものを焼くのが仕事。
今日も火にあぶられて、その中でどんどんおいしいものが出来上がっていく。ジュージューといういい音を奏でて、野菜もお肉も食べ物をおいしく仕上げるのがワタシの仕事。
仕事が終わると、中を念入りに洗われる。綺麗になるのはいいんだけれど、あんまりゴシゴシしないでね。加工が剥がれて、ものがくっつきやすくなっちゃう。
さて、今日は何を焼くのかしら。
「鉛筆と消しゴム」
ボク/オレは、紙に黒を残す/紙の黒を消す仕事。
ボクが紙に黒を残すと、人は少し賢くなるらしい。何か規則的なものを書いているけど、その意味はわからない。間違ったと言って、ボクの親友を使って黒を消す。また書くの繰り返し。
オレは鉛筆が残した黒を消す。間違ったと言って、オレを削りその黒を消す。そのためにオレはできたらしい。あいつがいなければオレは生まれなかった。
ボクと消しゴムは持ちつ持たれつ、ボクの間違いを消してくれるなくてはならない親友。
これからもよろしく、ボク/オレの親友/腐れ縁。
「万能包丁」
ボクはものを切るのが仕事。
お肉とか魚とか、野菜とか何でもござれ。おいしいものを切るときはとても楽しい。
仕事が終わって、洗われるときはちょっとくすぐったい。綺麗にふかれて、定位置で休む。その繰り返し。
そんなボクにも好き嫌いはある。そのお肉を切るのは嫌だ。そんなものを切るために、ボクはここに来たんじゃない。やめてよ、止めて。血を止めて。こんなのボクは望んでない。
ボクに人殺しをさせないで。
「カッターナイフ」
ボクはものを切るのが仕事。
紙とか薄い板とか、紐とかものを作るときの材料を切る。小さい人も大きい人も、色んな人がボクを使ってものを作る。たまにそれがゲイジュツ?とか呼ばれて、もてはやされることがある。その価値はわからないが、君が誇らしげな表情をしているからよいことなのだろう。
さあ、今日もゲイジュツを作ろう。え、なんでそこにボクを当てるの?ボクじゃあお肉は切れないよ。だめだよ、だめだよ。そんなことしても君が痛いだけだよ。
ボクじゃ君を殺せない。
「絆創膏」
ワタシは人の傷を隠すのが仕事。
人は傷を作るとそこをワタシが隠す。なんでも、空気に触れないだけで少し痛みは治まるらしい。ワタシはその傷を治すことはできない。最近は治すことを手助けする仲間もいるらしい。それでも、その仲間ではなくワタシを使ってくれる人がいる。ありがたいことだ。
さあ、あなたの隠したい傷はどれかな?ワタシが隠してあげる。
「敷き布団」
ワシは人に寝転がられるのが仕事。
人は暗くなるとワシに仰向けになって寝る。人は寝ているのに右に左にゴロゴロ動く。本当は起きているんじゃないかって思うが、目を閉じているから寝ているのじゃろう。
人によってはこの時間が至福の時間だと言う。その時間を作れているのなら、本望じゃ。
今日はお昼からずっと寝ている。左右にゴロゴロ動くこともなく、じっとしていた。それに珍しくワシの周りに人がたくさんいる。
ああ、相当疲れているんじゃな。そのまま寝ているといい。お疲れ様。
こういうのって絵ではよく見るけど、文字だけのって見ないなと思って書いてみました。でも、やっぱり絵の方が伝わる気がしますね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。