95:どこでも一緒なメイド。
ルーシー姉さんがベタベタしてくるのは、まあ分かる。俺のことを大好きだし、二週間ほど屋敷をあけていたから。
シルヴィー姉さんも俺が王都に行く前くらいの感じになっているから、少しだけ不気味に感じるけどそれが普通なのかと思いもした。
ただ一人だけ意味が分からない人がいた。
「……ねぇ、ベラ」
「どうしましたか?」
「何でずっと着いてくるの?」
「専属メイドだからです」
何だかベラが前よりもくっついてきている気がする。
ルーシー姉さんがベタベタしていた時は近くには来なかったものの絶対に分かるところにはいた。
前まではこっそりとついてきていたベラだが、今は存在感をしっかりと出している。
「王都に行く前より一緒にいるね」
「イヤですか?」
「そんなことはないよ。ただ何でだろうなぁって思っただけ」
「王都ではこれが普通でしたから、今さら元に戻すのは違和感しかありませんから」
それでいいのか。完璧メイドであるベラは俺専属メイドであるとは言え、他の業務があると聞く。
それなのにホントに俺の世話だけしていればいいみたいな感じになっているけど。
「僕は嫌な訳じゃないよ。でもこれは単純な疑問で、他の仕事は大丈夫なの?」
「問題ありません。そこは管理していますので」
ベラはランスロット家の使用人の中で三番目の地位にあるのは知っているが、実際に何をしているかまでは分からないから、本人が問題ないと言っているのなら問題ないか。
「本当に大丈夫?」
「はい。アーサーさまに誓って大丈夫です」
「それなら良かった」
俺に誓ってくれるのなら大丈夫だろ。
「……ちょっとお手洗いに」
「はい」
お手洗いに行こうとしても、ベラはついてきてお手洗いの前まで来た。
でもさすがにトイレの前で待ってくれるだろうと思っていたら、トイレの中まで一緒に入ってこようとする。
「あの、ベラ? それはちょっと恥ずかしいかな……」
「なぜですか? アーサーさまのすべては赤子の頃から知っています。お風呂も一緒に入っているのですから、今更恥ずかしがることではありません」
「さすがに排泄は恥ずかしいよ!」
この世界の文化レベルは前世で言うところの中世ヨーロッパくらいに当たる。でもランスロット家ではオマルではなく、穴があってただ座るだけのぼっとんトイレになっている。
ただ俺的には水洗トイレがいいし、下水道も完備させたい。そもそもそうしないと病気で一家絶滅とかになりかねない。
ペストなどが流行る恐れがあるからな。
「恥ずかしがることはありません。私はアーサーさまのどんな姿を見たとしても、すべてにおいて感情が高まりますので」
それただの変態やん! もうベラは俺が引き取らないといけない変態さんになったようだな……。
だが排泄を見られたくないのも事実。全能でそういう感情を消すことができるが、それを消してまでベラに見てもらおうとは思わないよな。
「……恥ずかしいからダメ」
「そうですか。では私から排泄を見せますのでそれで恥ずかしくはないということをご理解ください」
「いやそういうわけではないよ!?」
ロングスカートをめくり上げようとしているベラ。
これ絶対に見せたいだけだろ。グリーテンにいつも注意しているベラが一番ヤバいってどういうことだよ!?
「では、スマホで排泄の光景を撮影してもらってもよろしいですか?」
「よろしくはないよ!?」
何だか王都に行ってから、ベラがヤバい方向に行っている気がするなぁ。




