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全能で楽しく公爵家!  作者: 二十口山椒
王都でも渦中
61/110

61:カミサマシミュレーション。

「さ、何か勝負でもしましょう」

「勝負って言われてもですね……」


 えっ、勝負なんてするつもりはないし、婚約者になるつもりもないんだが。


 でもこの場に乗り込んできているギネヴィアさまには通じることはない。


「またコイントスでもしますか?」

「それでは面白くはありませんわ。他の遊びにしてくださいまし」


 そうやって俺に適当に投げかけて面白がるとはいいご身分だ。確かにそうだけど。


 今思い付くのでトランプくらいか。トランプは意外にもこの世界に存在していないから、作ってもいいかなとは思っている。


 ただそれで満足するかどうかは分からないからな……。仕方がない、少し魔道具みたいなものを作るのはもっと執着されそうだが、それで遊んでくれるのなら問題ないか。


「二人対戦はできない遊びでも大丈夫ですか?」

「面白ければ構いませんわ。ただし面白くなければごねますわよ」

「勘弁してくださいよ……」


 こいつがごねたら大変なことになりそうだと思いながら、机の上にあるカップをのけてもらい机の上に正方形の大きな箱を作り出した。


 箱は透明で、まだ中身はない状態だ。


「何ですの、これは?」

「今からする遊びは『カミサマシミュレーション』という遊びです」

「カミサマ……そもそもこれはどうやって作り出したのですか?」

「そんなことはいいんですよ。これから遊びのやり方を説明しますね」


 これも立派な魔道具だが、それを教えるのは面倒だから教えることはしない。


「この遊びをする人、ゲームプレイヤーは一人です。このゲームプレイヤーはこの世界のカミサマです。この世界でどういう人類を生み出し、どういう世界にしていくのか啓示して文明を発達していくゲームです」

「……この箱でどうやってやるのですか? 妄想?」

「違います。今起動しますね」


 これを現代人ならある程度想像できるだろうが、この世界の人たち相手なら想像がつかないのか。現にベラも興味津々で見ているが、分かっていないような気がする。


 俺は『カミサマシミュレーション』を起動させると、正方形の箱の中にこの世界とは違う別世界の地球が出現した。


「わぁ……」

「これが今回のステージ、舞台となる天体です」


 中にある地球を見て見惚れているギネヴィアさまを見ながら、説明を続ける。


「ここにはまだ人類は存在していません。ここからゲームプレイヤーがどんな人類にするのか設定して、数人の人類から世界を動かし始めます」

「設定?」

「はい。設定画面に移りましょう」


 今のこのゲームの主導権は俺にあるため、俺が設定画面を思い浮かべると能力値を振れる画面に変わった。


「この画面で人類が何に特化しているのか、何に耐性を持っているのかを設定することができます。病気に強い、体が強い、頭がいい、泳ぎが得意など、そこは設定する人によって変わると思います」

「なるほど……すべてに優れている、ということはできないのですか?」

「それはゲームが成り立たないので、設定するための数値は制限されています。ですがそこから優秀な人間が生まれることもありますから、そこは啓示でどうにかなる、かもしれません」

「……やってみてもよろしいですか?」

「はい、お好きにどうぞ。ギネヴィアさまのために用意した物ですから」


 そう言って、俺はある程度操作の方法を教えてギネヴィアさまは操作し始めた。


「アーサーさま、私もこれをやってみたいです」

「夜か、帰ったら作るよ」

「ありがとうございます」


 それを見ていたベラがそう言ってきたから、かなり気になるのだろう。こう言ってくるあたり、俺に遠慮がなくなってくれているから嬉しい。


 そうしてギネヴィアさまはステータス値を割り振っていき、魔法がかなり強力な人類を設定した。他のステータスには知力や体力に割り振っている程度か。


「それでいいですか?」

「はい、お願いしますわ」


 ギネヴィアさまの準備ができたことでゲームをスタートさせた。


 このゲームでは成人設定と未成年設定があるが、成人設定だと初期で服ナシ性交ガン映しだが、ギネヴィアさまはバッチリと未成年だから元々未成年設定にしている。


 だから最初に少しした薄着は着ているようになっているし、性交のシーンは見えないようになっている良心設計だ。


 地球の中を拡大していき、ギネヴィアさまが設定した人類がいる場所が見えるようになった。


「これがわたくしが作った人類、ですか」

「そうです。そしてこのゲームでは基本的に啓示しなければただ生活していき、生活の中で文明を築いていくことになります。啓示したい時は、誰か一人だけ指定してください。その人の頭の中に言葉を丸々伝えることができます」

「聖女みたいな人ですわね。分かりました」


 聖女、そう言えばそんな神からのお告げを聞く奴がいたな。七天教会にも聖女がいるようだが、あまり関わることはないだろう。


 ギネヴィアさまが人類の一人を聖女にして、神のお告げを聞けるようにしたが、最初は特に指示を出すことはなく文明を発達させることに専念させたようだ。


 それをジッと見ようとしているギネヴィアさまに俺は声をかける。


「ここで早送りすることができます」

「早送り?」

「この世界の時間を加速させることです。このゲームはリアルタイムでするものではないので早送りは必須です。何世代にも渡って文明を発達させていくので」

「ところで、このゲームはどこで終わるのですか?」

「いいえ、終わることはありませんよ? 強いて言うならば、人類が絶滅するまでです」

「そんなことありますの?」

「まあやってみれば分かりますよ。このゲームの恐ろしさが」


 このゲームの最初はまだここにしか人類がいない。


 つまり、ここにいる人たちに何か起こればゲームオーバーということだ。いかにこいつらを生き残して数を増やすことになるかだが……。


「あっ」


 ギネヴィアさまが早送りをしていると、いつの間にか人類は絶滅してゲームが終わっていた。


「……これは?」

「ゲームオーバー、ゲーム終了です」

「……どうして?」

「病気ですね。病気で人類は絶滅しました」


 魔法が強い人間を作り出すのはいいが、ある程度体が強くないとこうして病気で死んでしまう。


 それか病気にならないように啓示をするとか、そういうことをしないといけない。


「あー……お気に召しましたか?」


 ゲームが終わった箱をジッと見ているだけのギネヴィアに、俺は声をかけた。


「……いよ」

「はい?」

「もう一回ですわ! このままでは王女の名折れですわ!」

「はい、了解です」


 どうやら少しはお気に召してくれたようだ。てか、こいつ負けず嫌いだな……。

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