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全能で楽しく公爵家!  作者: 二十口山椒
全能の爆誕

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21/120

21:色々とバレる、その二。

「それで、スマホとは何だい? 何だか嫌な予感するね。誤魔化されないよ」


 もうこれは言い逃れのしようがない。これはもうグリーテンのせいにしたい。まだマンガはいいけど、スマホは取扱注意なんだから……!


 だが俺は四歳だから言っちゃったねという苦笑してグリーテンを見た。これが大人だったらもうジト目を向けていたところだ。


「ふふっ、言っちゃったわ。これをアルノさまにお見せしたら大問題になるわね」

「それは……アーサーが固有魔法で出していた」


 グリーテンは胸の谷間からスマホを取り出してお父上様に見せる。そんなアニメみたいなことをできる人がいるなんて初めて見た。


 いや、これはまだいけるか? 俺がスマホと名付けた固有魔法で出したものの構造に驚いたと言ってくれれば誤魔化しはできるのか。


 長生きしているんだからそれくらいの弁明は思いつくだろう……!


「これはスマホという、基本機能としてこれを持っている人同士で会話することができる魔道具です」

「……ん?」


 あぁ! もう言っちゃったよ! これだけ言ってしまえばもう言い逃れは絶対にできないぞ! ……これはもう秘儀を使うしかないか?


 時を戻すという神がかった能力を、使うしかないか?


 いや、まだこの後の展開を見てからでも遅くはないし、何なら俺が生まれた時点まで巻き戻すことができるけど、こんな能力を使っていたらズルすぎて他の人に申し訳ないと思って本当にどうしようもない時だと制限をかけている。


「ど、どういうことかな? 遠くの人と、念話できるということかい?」

「そんな次元の話じゃないですよ~。これは魔力で動いていますけど、魔力を感知されることなくアヴァロンでさえ会話することができる素晴らしい魔道具です!」

「……そんなものが存在するのか……?」

「それがこれですよ。アルノさまの御子息はとてもすごいです。何なら今から電話をかけてみますね」

「電話?」

「スマホで話すことです。窓から見えるあそこに移動するので、アーサーさまのスマホから電話を受けてください」

「あ、あぁ」


 勝手に仕切っているグリーテンは庭へ転移魔法を使用してすでにこちらを見て準備万端だった。


「アーサーも持っているんだよね……?」

「うん、僕が通話を開始するから通話状態で渡すね」

「あ、あぁ……」


 少し訳が分からないといった様子のお父上様。


 そこで俺のスマホにグリーテンから電話がかかってきた。その画面を俺の横から見ている視線が分かる。


「はい、変わるね」

『お願い』

「どうぞ、お父さん」

「あぁ……」


 恐る恐る電話を受け取り、俺が見せていたし何なら庭で同じ姿をしているグリーテンを真似てお父上様は電話を耳に当てる。


 そこからお父上様は一言二言くらい喋り、グリーテンが執務室に戻ってきた。


「これがアーサーさまが作り出した魔道具の力です。もう天才としか言いようがありませんね」

「天才……そんな言葉で済ませられる言葉じゃないよ。しかもまだアーサーは四歳で、話したいからという曖昧な理由だけで作り出したというのか? これを天才と言えるのか……?」


 事の重大性をよく理解していらっしゃるお父上様。それからグリーテンの口は再び開く。


 というかどうしてグリーテンが説明しているんだ、と思ったけどグリーテンが説明してくれた方が四歳が説明するよりかはマシか。


「しかも、これにはまだ他に機能があるんですよ?」

「通話だけでも十分だというのに、まだあるのかい?」

「えぇ、スマホのここにある丸い部分、人で言えば目の部分ですけど、ここから映し出された光景をスマホに記憶させることができる機能があるんですよ。こういう風に」


 俺とお父上様が並んでいる姿をパシャリと撮ったグリーテンはスマホの画面をこちらに見せてきた。そこにはもちろん俺とお父上様が並んでいる写真が映し出されている。


「この写真だけじゃなくて、人の話している姿や何かをしている姿を撮るのを動画って言います。それらすべてをアーサーさまが作り出しました」

「アーサーが……」


 俺の方を見るお父上様の目は、どうして早くそれを言わなかったんだという視線ととても疲れているような視線が混じっていた。


「アーサー、マンガの時も言ったが、どうしてこれを早く僕のところに言いに来なかったんだ。これは……マンガの時とは訳が違う。これを持つだけで情報の優位性がこちらのモノだけになる、とんでもないものだ……」

「マンガって何ですか?」

「これのことだよ」

「何これ!? 少し拝見しますね~」


 話している途中だというのにグリーテンはマイペースにマンガを読み始める。


 そんなグリーテンなどお構いなしに俺はお父上様と視線を合わせる。


 さて、どう説明したものか……完成させて驚かせたかったという理由はマンガでしか使えない。もうすでに通話というツールは完成されているんだから。


 それならば言えることは姉さんたちとの秘密にしたかったとかなど、そういう幼稚な理由に限られてくる。


「あのね――」

「話さなかった理由なんてどうでもいいじゃないですか」


 俺の言葉を遮って口を開いたのはまたグリーテンだった。もうグリーテンは会話に入ってくることはないと思っていたから、少し驚き。


「これを誰かの手に渡っていたらどうなっていたか……! それがあるからこそ話してもらわないと何かあってからでは遅い」

「実際渡っていませんから仮定の話をしても意味がありません。それに四歳の子供にそう問いかけて、どうなるんですか?」

「少なくとも、今後は僕のところに言いに来てくれるはずだ」

「子供は親に一つや二つ、秘密にしておきたいことくらいはあると思いますよ?」

「これはその限度を超えているよ」

「アーサーさまを守りたいのは分かりますけど、そこまで過干渉だと嫌われますよ? ……それに、アーサーには誰一人として傷を付けさせないわ。例え誰が相手でもね。だから心配しないでください」


 マジな目をしているグリーテンの言葉に、お父上様は椅子に座って息を吐いた。


「……あぁ、ここは収めよう。でも次からはなるべく早く言うようにしてくれ、アーサー」

「うん、ごめんなさい」

「もう言う言わないの話は終わりだ」

「それがいいですよ」

「……どうしてグリーテンにスマホを知られたんだ?」

「流れで、知られちゃった」

「まあいいさ。それよりも、これはとてつもないものだね。今までの過程はさておき、これは言っておかなければね。さすが僕の息子だね、アーサー」

「ありがとう!」


 怒りはされたが褒めることも忘れないお父上様。


「うーむ、これはどう対処していいのか悩むね……」


 そして頭を悩ませるお父上様。さすがに今日一日で大ダメージを与えているお父上様の頭が可哀そうだし、脳が破裂したらいけないから回復魔法をかけておく。


「あぁ、ありがとうアーサー。……こればかりはさすがに、世間に公開するわけにはいかないな」


 そういう結論を出すお父上様は間違っていない。さすがにまだ下準備を終わらせていないのに世に出してはいけないものだ。


 ただいつかは出してもらわないと俺の計画、『ネット環境が整った快適な部屋でダラダラ過ごす』という計画が達成されない。


 ネットワークは数多のユーザーがいることで初めて意味をなすものだ。まだインターネットを作り上げただけで使っていない。


 まあグリーテンにバレた時からもう歯車は回り始めていると実感していたから、これもプラスに捉えられる。


 俺がキッカケを作らずに周りがキッカケを作ってくれたんだ。俺が悩む必要がなくなった。まあ周りからすればとんでもない爆弾を至近距離でノーガードで爆発させられたわけだけどね。


「アーサー、それは今出せるかい?」

「うん、できるよ」


 お父上様の要望に応え、スマホを一台作り出してお父上様に渡した。


「ほぉ、そんなに早く作り出せるのか」

「うん、そんなに魔力もいらないから」

「……やろうと思えば、どれくらい出せる?」

「うーん……百台は簡単に作れると思う」

「百か……さすがは膨大な魔力の持ち主だね。それよりもこれの操作の仕方を教えてもらっていいかい?」

「うん!」


 お父上様にスマホの操作、通話の仕方、カメラの使い方の一通りを教えた。


「すごいね、これは。どういう原理か分からないけど、通話がなくても十分に面白い」


 さっきまでの剣呑な雰囲気はどこへやら、スマホを持っておもちゃを貰った子供のような顔をしている。この世界ではそういうものがないから、そうなるのかな?


「これを持っているのはアーサーとグリーテンだけかな?」

「あー……」

「……まさか」

「お姉ちゃんたちも持ってるよ」

「……一時期怪しい行動をしていたのはそういうことだったのか」

「お姉ちゃんたちを責めないであげて?」

「もうそのことでは怒らない。だが少しお小言は言わないとな……」


 ごめんね、お姉ちゃんたち。


「アーサー、これは他に――」

「面白そうなにおいがするわねぇ」


 お父上様が話の途中で扉が開け放たれ、お母上様が参上した。その後ろにはベラがいるから、ベラからお小言を貰っていたのだろう。


「あっ、これはぁアーサーが持っていた意味が分からないものじゃない~」


 お母上様は俺に近づいて俺のスマホを見てきた。いや、さすがにすぐ気が付きすぎだろ。


「あれぇ? あなたも持っているのねぇ。しかもぉ、グリーテンもぉ」

「あ、あぁ、持っているよ……で、でも何でもないから気にしないでくれ」


 お父上様はお母上様にスマホの存在を知られたくないようで、誤魔化そうとしている。だがこの部屋には一番口が軽い人がいることを忘れてはいけない。


 いや軽いとかではなく、お父上様と考え方が違って大丈夫だろうという考えを持っている人だ。


「ねぇ、グリーテン~」

「どうされましたか?」

「……それがベラが言っていたマンガねぇ。でも今はぁ、グリーテンが持っているものが何か教えてほしいのぉ」


 グリーテンはさっきのことで口が軽いと思われているが、それでもさっきはうっかり口を滑らせただけ。それにちゃんとフォローをしてくれた。


 ならグリーテンが喋らないようにしてくれるかもしれないな。何ならお父上様はグリーテンに喋るなと言わんばかりに強い視線を送っている。


「……これはスマホというものです」


 あーあ、まあ俺はグリーテンのことをまるっきり信じてなかったですけどね。言うと思っていたから、逆に信じていたか。


 しかもグリーテンはバッチリお父上様を見ていい笑顔で言い放っている。


「スマホぉ? ……あなたぁ? 聞かせてもらってもいい~?」

「はい……」


 さっき説明されたばかりなのに、今度は自ら説明しているお父上様。しかも完璧に説明しているからさすがはお父上様と心の中で称賛する。


「何その面白そうなものはぁ! それがあればわざわざ遠くのお家に行かなくてもお喋りできるってことでしょぉ? 私も使いたいわぁ!」


 いや、お喋りできるって言っている時点で相手にスマホを渡さないといけないんですよ。


 だが利用目的が軍事目的とかじゃないのなら別に俺は構わないと思っている、それが広まらなければの話だけど。


「す、スザンヌ、このスマホをアーサーが作れるのに限度があるんだ。さっき作ったばかりだから――」

「グリーテン~」

「百は作れるってアーサーさまは仰っておられました」


 グリーテンがことごとくお父上様の言い訳を蹴散らしているから、お父上様は殺気を秘めた瞳でグリーテンを睨んでいるが、張本人は知らんふりを通している。


「アーサー、私にもスマホを作ってくれるぅ?」

「えっと……」


 こればかりは俺が決められないからお父上様に視線を向ける。そのお父上様はため息を吐いてお母上様を説得にかかる。


「スザンヌ、キミだってこれがとても危険なものだと分かっているはずだ。世界中の情報が新鮮な状態で得ることができるのだから、誰だってほしいはずだよ。スマホのことが外に漏れるようなことがあれば、スマホを作ることができるアーサーが狙われてしまう。キミのお願いは聞けないよ」

「ん~? 要するにスマホを秘密にできていればいいんでしょ~?」

「あ、あぁ……だけどここだけならともかく、外に流せば絶対に秘密にできるわけがない」

「それなら大丈夫よぉ。私が選んだ相手なら言うことはないしぃ、知られる心配もないわよぉ」


 その根拠がどこから来るのかと思ったが、どうやらその言葉だけでお父上様には効果抜群らしい。


「はぁぁぁぁぁぁ……分かった、許可しよう。だが絶対に漏らさないように」

「うふふふっ、そこは任せてぇ! じゃあ早速お願いねぇ、アーサー」

「うん!」


 そちらでまとまったのなら俺から何も言うことはなく、お母上様にお願いされてスマホを四台作り出した。

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