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全能で楽しく公爵家!  作者: 二十口山椒
都市開発本格始動
105/109

105:久しぶりの秘密基地。

「むぐむぐ……」

「美味しい?」

「むん」

「それなら良かった」


 さすがによだれをだだ流しのまま自己紹介というわけにはいかなかったから、アリスに串肉を五本ほどあげてアリスのお腹を満ちるのを待つ。


「……ヒルくん、この子って」

「うん、そうだよ」


 さすがにベラはアリスが魔眼持ちだと分かったようだ。


「だからいつもお腹が空いているんだね」

「魔眼は制御ができていないとずっと使っている状態なんだよね?」

「うん。でも……制御ができる魔道具があれば、いいけどね」


 ヘルちゃんが言いたいことは俺が作る魔道具だろう。


 まあできるから、作ってあげてもいいかな。そうでもしないとこの子の両親が可哀想だ。


 秘密基地に行けたらプレゼントしようと思っているところで、ヘルちゃんがベッタリとくっ付いてきた。


「アーサーさま。制御ができる魔道具はお作りにならない方がいいかと」

「どうして?」


 すごいな、さっきまで少女の感じだったのにすぐにベラに戻った。


「その魔道具は多くの人に需要こそありませんが、欲しい人はそれで困っていますので大金を積んででも手に入れたいと思うはずです。彼女のようにお腹が空く、ということ以外にも魔力変異体質で酷い症状も聞きます。ですから平民の彼女にそれを渡すのは危険なことです」

「へぇ……」


 魔力変異体質の人に共通する制御する魔道具があれば、それは危険だろうが、眼鏡とかなら問題ない気がする。


「ですが、魔眼持ちと制御できる魔道具持ちであることが知られなければ問題はありませんね」

「そうだね。じゃあアリスの両親のお金が尽きないように作ってあげるね」

「それがいいかと」


 秘密基地についてから渡すことにしよう。


「何を話しているの?」

「ううん、何でもないよ。食べ終わったんだ」

「終わった。でもまだお腹がすいている……」

「これは秘密基地についてから食べようか。落ち着けるからね」

「分かった。こっちの子は?」


 アリスはヘルちゃんを見た。


「はじめまして! 私はヘルだよ。ヒルくんとは家が隣で仲良しなんだ!」

「私はアリス。よろしく」


 成人した女性が少女と仲良くできるのかと思ったが、まあ何とかいけそうだな。


 仲良くできるのかと思ったのに、ベラを連れて来るとか俺は鬼畜か。


「ヘルちゃんを秘密基地に連れて行きたいんだけど、いいかな?」

「大丈夫」

「わぁ! 秘密基地ってどんなところか気になる!」


 ベラの方が気になるんだろうなぁ。


 俺たち三人は俺を中央に横に三人が並んで歩き始める。


「そう言えば、あれからどうして来なかった?」

「少しバタバタしていたんだ。王都にも行ってたからね」

「王都。グレゴリーが憧れていた」

「あぁ、そんな感じがするよね」


 男の子は王都に憧れを持ちそう。田舎にいる男の子が都会に憧れる感じと一緒なのだろうな。ここは別に田舎じゃないけど。


「ここ」

「……ここが?」


 俺とアリスはしっかりと木箱の下にある下に通じる階段が見えているが、ヘルは全く見えていない。


 これは俺が前回、この出入口は許可されたものじゃないと見ることも入ることもできないようにした。だからヘルには見えていない。


「ヘルちゃんに許可を与えるね」

「……ッ! わぁ、すごいね!」


 急に出入口が見えるようになったことで驚きながらも反応したヘル。


 秘密基地へと至る道をトーチで明るくしながらも降りて行き、広間は明るくなっているのが見えてきた。


「おっ、アリス来たか――」


 ソファに座って本を開けているグレゴリーとベッドで気持ちよさそうに眠っているアヤの姿があり、グレゴリーと先頭にいた俺の目が合った。


「あっ! お前また来たのか!? 来なくなったから清々したと思ったのに!」

「んぅ……うるさいわねぇ……」


 グレゴリーの声にアヤが不機嫌そうに起きた。


「てか新しいやつが来てるし! 何で教えるんだよ!」

「私が大丈夫って言った」

「はぁ!? そんな簡単に教えるなよ! 秘密基地なんだぞ!?」

「知らない」

「秘密基地は秘密にしていないとだなぁ――」

「うるさいわね! グレゴリーは黙ってなさいよ!」

「ハイ」


 アヤによってグレゴリーは黙らされた。


「あら、ヒルくんじゃない。久しぶりね、来ないから心配していたわ」

「少しごちゃついてて来れなかったんだ、ごめんね?」

「少しは顔を見せないと心配するから」

「うん、今度からはよく遊びに来るね」

「えぇ、歓迎するわ」

「おい、俺はいいって――」

「黙れ」

「ハイ」


 グレゴリー単品だとうるさいが、アヤがいるだけで尻に敷かれている奴に変わっていいな。


「そっちの子は?」

「こっちは僕がここに引っ越してきた時にほぼ同時に、隣に引っ越してきたヘルちゃんだよ」

「はじめまして、ヘルだよ! よろしくね!」

「……か、可愛い!」


 アヤは挨拶したヘルにそう言って抱き着いた。


「こんな可愛い子と隣同士なんて最高ね。グレゴリーとは大違い」


 かなりの悪口を言われているグレゴリーと言えば、ヘルを見て固まっていた。


 そして顔を赤くして、視線を彷徨わせている。


 ……うーむ、これはヘルに惚れたな。いや分かるよ、ヘルの容姿はベラを幼くした感じだから美少女だからな。


「お、俺はグレゴリー。この秘密基地のリーダーをしている」

「ヘルだよ。よろしくね、グレゴリー!」

「あぁ、よろしく! ヘルならいつでも大歓迎だ!」

「わぁ、ありがとう!」


 ヘルにデレデレなグレゴリーを見ていると、俺の服がくいっと引っ張られた。


「お腹空いた」

「そうだったね」


 一躍人気者なヘルをよそに、アリスはいつも通りだなと思いながらお土産を渡した。

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