(73)妨害(ぼうがい)
どのような物事にも妨害は多かれ少なかれ付いて回る。出来れば妨害ではなく正義の味方のように助ける側に回りたいものだ。^^ 妨害を受ければ、これもまた多かれ少なかれ心がめげるが、それでも、その妨害のダメージを拭い去って物事を達成したいと人はめげない。
とある老人がとある道で石ころに気づかずうっかり転倒した。老人としては、しまった! なにくそっ! と思いながら起き上がったが、片腕をねん挫したのか、どうも痛い。老人の気分は、こんなところに石ころがっ! 歩行を妨害された石ころが憎くて憎くて堪らない。石ころにしたって同じで、チェッ! 躓いてやがりゃ~、足元をよ~く見て歩きなよっ! くらいの気分だろう。むろん、声は出さないが…。^^ 老人は、しばらくその場で倒れていたが、足は無事だったので、ゆっくりと起き上がり、かかりつけの病院へと急いだ。診察を受けたこともあり、診察券は持っていたのが幸いした。
「あ~あっ! よくあるんですよ、こうゆぅ~のっ! 骨折じゃなく、よかったじゃないですかっ! ははは…」
老人は医者の、ははは…にムカッ! とした。なにが、ハハハ…だっ! くらいの気分である。だが老人は、その怒りにめげないで、グッ! と我慢し、言い返した。
「ははは…先生ほど若いと、うっかり転倒はしないんですがね…」
あんただって、年を取りゃ、うっかり転倒しますよっ! くらいの気分である。
「内服薬とシップ薬を一週間分、出しときますから、痛いようでしたらもう一度お越しください。はい、次の方っ!」
「どうも…」
「お大事にっ!」
老人がゆったりと診察台から腰を上げると、女性看護師が喧しいくらいの大越で次の待合患者の名前を呼んだ。
『小豚さんっ!』
その声を聞いた途端、老人の怒りは消え、思わずニタリとした。
笑いごとが生まれれば、妨害にめげない心が補強されるようである。^^
完




