(45)段取り
梅雨が明けた、とある朝、吹橋は勢いを増した焼けつくような太陽光線に耐え、めげずに畑作業に没頭していた。10時を回った頃で気温はすでに30℃を突破していた。衣類は頭から水を被ったような汗でビショ濡れである。吹橋は、しまった! あと数時間早く作業を始めていれば、暑くなってくる八時過ぎには終わっていたのだ。その日の作業を吹橋は軽く考えていた。小一時間で済むだろう…くらいの発想である。ところが、作業は案に比して大変で、二時間以上を要したのである。
「ちょいと休憩っ!!」
もうダメだ…と思えた瞬間、吹橋は思わず呟きながら、家の中へと撤収していた。家の中は避暑地のように空調が効いてひんやりしている。地獄と極楽の差だ。吹橋は、なぜ五時過ぎから始めなかったんだろう…と、段取りの悪い自分を責めた。だが、責めてもどうなるものでもない。仕方がない、残った作業を片づけてしまうか…と、汗が引くのを待ちながら吹橋は思った。
その後、吹橋はようやく残った作業を終え、ふたたびビッショリになった衣類を扇風機で乾かしていた。体熱と扇風機の風で、衣類は10分もしないうちに、すっかり乾いてしまっていた。
「段取りか…」
吹橋は、完全にめげてしまい、ふたたび溜め息を吐きながら呟いた。
めげないためには、先々を熟考した段取りが重要・・というお話です。めげやすい高齢者にとって、暑い夏や寒い冬には、特に熟考した段取りが必要なようです。^^
完




