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(37)不合格

 不合格が続いても、めげない男がいた。この男、神鉾(かみほこ)は、今年で82才になる老人である。彼には青年期の18才頃から医者になろう…と決意し、一心不乱に大学受験を重ねていた。だが、残念なことに、彼は理科系に向かない男だった。正確に言えば、数学Ⅲ、物理など、医学部受験に必要な科目が完璧(かんぺき)苦手(にがて)だったのである。これでは、いくら医者に成りたくても、成れるものではない。彼は何度も受験に失敗し、40才近くになっていた。

「神鉾さん、そろそろ(あきら)められてはいかがです。あなたの人生、このまま終わってしまいますよ」

 大学受験の係官が見るに見かね、試験が終わって去る見馴れた神鉾の後ろ姿に声をかけた。

「ああ、大仏(おさらぎ)さんでしたか…」

「諦めもせず、どうしてそんなに受けられるんです? お気持は分かりますがね。大学を出て、国家試験をパスしないと、医者には成れないんですよ。よくお分りですよね?」

「そりゃ~分かってますよ。私も馬鹿じゃないんですから…」

「でしたら、なぜ?」

「ははは…理由なんてないんです。受かる可能性がゼロでない以上、私は奇跡を狙って受け続けるんですっ!」

「そうですか…。まあ、めげずに受けられるのは本人の勝手なんですが…」

「いいんです。医者にはなれませんでしたが、医学には(たずさ)われましたので…」

 大仏は言われた意味が分からず、(いぶか)しげに神鉾の顔を(うかが)った。

「と、言われますと…」

「医学部の廃品回収、私がやってるんですよっ! ははは…」

 明るく笑う神鉾に、大仏は無言で笑う他はなかった。

 不合格にも、めげない人は、めげないのである。このような人が、不合格でも(まこと)の適格者なのかも知れない。何かやってくれそうな気が私にはします。^^


                  完

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