(14)暑さ
まさか、こんな暑くなるとは…と、農作業をしていた広坂は完璧に、めげ始めていた。天気予報を完全に信じ切っていた広坂の考えでは、予報もああ言ってんだし、暑くはなるだろうが、今の季節、まあ少し暑いくらいか…という程度だった。ところが、である。案に相違して、その暑さは真夏を上回る猛暑日となったのである。
「チェッ! 終わったら、気象庁に電話してやるっ!」
広坂は、どうにもならないことをブツブツと愚痴りながら、ビショ濡れになった額の汗をタオルで拭った。そうはいっても、気象庁に責任がある訳ではない。気象庁は、かなり暑くなるでしょう・・と、予報していたのだ。ただ、その程度を耳をカッポじいて聴いていなかった広坂に責任があった。それを逆恨みしてはいけないのだが、広坂は予報ミス・・と勝手に断じたのである。しかし、予定した農作業は熟さないと、怖い嫁が待つ家には戻れない。広坂は、めげないで作業を続けた。めげないで続けたのはいいが、身体の方がめげていた。広坂は、畑前の草だらけの日陰で大の字になった。幸い、水筒は持参していたから、それをガブガブッと飲み、熱中症になる最悪の事態だけは回避できた。
農作業を終えて帰る道すがら、広坂は暑気は侮れないな…と、しみじみ思った。いつの間にか、気象庁へ電話する一件は、すっかり忘れていた。
暑さにめげないのは、精神面だけでなく身体面もある・・という注意を喚起するお話でした。^^
完




