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第9話-1 万華 再び

「権さん、おりまっか? 万華やで」

と万華の声が事務所に響いた。あちらに帰って、一週間足らずしか経っていないのに実に懐かしい。


「万華、どうした ……」

と俺が聞き終わる前に久保田が駆け寄って、

「万華ちゃん、何処に行っていたの。寂しかったよ。僕が入院している間にいなくなっちゃんだもの。僕、すごい大きな狐に殴られたんだよ。でもねこうして、避けて …… 」

とあれこれ、喋り続けている。


 すると、万華の目つきが次第に鋭くなり、

「久保田、ウチも殴ってええか?」

と言った。


「えっ、いや、やだな、万華ちゃん。とにかく僕は万華ちゃんが帰ってきて嬉しいよ。ハハハ」

と頭を掻きながら、ディスプレイの壁の向こうに隠れた。


「あんまり、邪険にするな。あれでも万華を心配して探そうとしていたのだから」

と俺は自分の机から離れて、万華が座ろうとしているソファーに向かった。


「そうけ。久保田、おおきに」


「お前の事をこうして覚えてられるのが嬉しいよ。それで如何したんだ?」

「権さん、仕事の依頼や。蓬莱がこの探偵事務所に仕事を依頼したいんやて」


 万華はソファーに座り、足と腕を組んで答えた。長い髪の毛を束ねている組紐が動いている様に見える。


「えっ。何でまた。人の力を借りる必要などないじゃねぇのか。その …… 蓬莱さんなら」

と俺はディスプレイの壁の向こうにいる久保田を気にしながら、言葉を選んで万華に聞き直した。


「そうもいかん事になったや。あっちは殴り込みの後のように滅茶苦茶やった。それこそ猫の手も借りたい状態やったで。そいでな明日昼過ぎ、権さんをラッキーキャットが訪ねてくるけん、話を聞いてやってな」


「猫の手も借りたいから、キャットなのか?」 

と俺が聞くと、万華はちょっと固い笑い顔をして、

「まあ、そんなところや。とりあえず、聞いてやってな。蓬莱の申し出を受けるかどうかは、権さんが決めることや。ウチらでは決められへん」

と答えた。


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