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3:ヨナ

ヨナは笑うことを選び

恐れることを捨て去った

それは

見えていないのではなく

逃げているわけでもない

ヨナの笑顔は

彼女自身の戦い

どこにいても

彼女は無邪気に戦っている

そしていつだって

彼女は必死に守ろうとしている

だから僕は

彼女の指が悲しそうに折り曲げられるのを見て

五月の晴天への呪いを願う

そんなことをヨナは望まないだろう

それでも彼女は「ありがとうございます」と言い

続けて「大丈夫です」と言う

僕は彼女の手を取って

「逃げてもいいじゃないか」と言う

ヨナは少しだけうつむきながら笑って

「私は、そんなに器用じゃないんです」と言う


五月は静かに夏を迎え入れ

傷だらけの僕らに追い打ちをかける

暑さは彼女の体に汗を滲ませ

僕はその透明さを嗅ぎたいと思う

きっと

見えない傷の匂いがして

彼女はそれを隠そうとするだろう

走っていく彼女の体は

しなやかに、明るく、跳びはねる

追いかけても

追いつけない

学校の廊下は長く

生徒たちはまだ生きた目をして息をしている

僕にはないものを持って歩いている

羨ましいと思ったことはない

だが

ヨナの笑顔だけは

欲しいと思う

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