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23:ヨナの季節
僕はどうしようもなくヨナの言葉を必要とし
ヨナは彼女の時代を生きるために僕の名前を呼んでくれた
そして
ヨナは自分の季節を見つけることができ
僕は
その季節に意味を与え続ける
僕らは燃え上がる世界を歩かなければならない
いくつもの死が僕らの草原を焼いていくだろう
その煙は夜の星々を覆い隠していく
それでも二人でいるならば
僕らは辿り着くことができるだろう
そんな場所はどこにもない、と
言われるだろうか
人間は必ず死ぬという事実だけが慰めなのだと
そう、言われるだろうか
でも
僕らはそれを信じない
人間は人間の永遠を求められるのだと
ヨナの言葉は力強くそれを証明してくれる
彼女は
踊るのだ
手足が円を描いて
僕はその軌跡に乗る
そこに
彼女の笑顔は存在している
延々と
ヨナの言葉は世界に響く
あらゆる死が再び生と出会い
生がまた死を自覚する
その
繰り返しのなかで
僕はヨナの名前となって太陽を見つめる
彼女の指は光を捉え
そっと
焼け焦げた大地に置く
それは
この世界の全てを肯定する眼差し
濡れた瞳
優しい祈り
だから
この色付く一瞬の光景を
僕は決して忘れない




