21:踊りにより開かれる窓
地球は眠りに向かい
大地では目覚めるものたちが色を呼吸する
溶けるように地上は水分を得て
そこに
再び痛みが生え始める
それでも
ヨナは三月を踊る
植物たちの生命や
動物たちの感性とともに
ヨナは
火となって三月を踊る
立ち昇る気配たちは陽気に笑い
人間たちを連れ去ろうと企んでいる
だが
ヨナは違う
笛吹き男は逃げ出して
足踏みをするものたちを
ヨナの呼吸が整列させる
彼女は
いち早く冬を脱皮して
三月の水気のなかで人間であろうとする
だから
僕はヨナの名前を呼ぶ
彼女が身に付けている薄い服に触れる
触覚は色を伝えてくれて
やっぱり
ヨナはひまわりだったと思う
「僕には
妹の言葉が分からなかった」
と言うと
「大丈夫」
と
力強く手を握ってくれて
それから
ヨナは
眩しいくらいに笑った
「おばあちゃんに
会えたんだ」
と聞くと
「分からない
分からないけど——
大丈夫」
と
言って
手を伸ばしてくる
「あなたがきっと
会わせてくれるって
そんな気がするんです」
ヨナが
見つめる——
僕
ではない
僕
の
ことを、ヨナは見つめる
僕にはまだ分からない——
不安で
ヨナに手を伸ばすと
彼女は背中を向けて
どこかに駆けていった
目の前に草原が広がって
草の間に何かが落ちている
きらきらと光っていて
見覚えがある気がした
掴もうと
手を伸ばすと
何かに激突して
僕は
学校の廊下に倒れていた




