おやつにはフレンチトーストをどうぞ(*´∀`*)
食事を済ませてお茶を飲んでいると、ロイド先生がやって来た。先生が空いてる席に座ったので、カップにお茶を注いで渡した。
先生はニッコリ微笑んでお礼を言うと、カップに口をつけた。
ズキュン!!
先生のその微笑み、ステキすぎてキュン死しちゃいそうです。
なんかもー、若い頃に戻ったみたいな、ちょっと懐かしい感覚……。なんだか甘酸っぱいような……。
イヤイヤ、……ってかわたし今ちょうどその甘酸っぱい年頃の体してたんだったわ。懐かしいじゃなくて、正常、正常。
心の声がダダ漏れないよう必死になってニコニコと笑顔を作る。
そうこうしてると、子供たちが勉強道具を机に並べ始めた。ここでは石板がノート代わりみたい。
子供たちは、石板にそれぞれ何かを書き始めた。それは、計算だったり、文字だったり…。
見知らぬ世界の文字のようだが、私には普通に読める。それは、記憶が失くなる前のわたしのおかげなのか、はたまた異世界転生補正なのか、その辺は解らない。ただ、今のわたしには、それは普通に脳内で日本語訳されている感じだ。
余っている石板を借りて、わたしも字を書いてみる。隣のマルティちゃんに見せたら、普通に読んでくれたので、自分が日本語のつもりで書いていても、コチラの文字とし認識されるようである。
わたし的には不思議な感覚だ。実におもしろい。
とりあえず文字に関する問題はクリアしてるようなので、ロイド先生がやってるように、子供たちの勉強の手伝いをする事にした。
まずは1番気になるジャックの石板を覗く。ジャックは計算をしていた。ロイド先生が問題を出して、それを解いている模様。簡単な足し算や引き算問題だ。
「俺、もうすぐ11歳になるから、そしたらお店で通いだけど働くんだ。」
ジャックは大きくなったら商人になりたいらしい。だから計算を頑張るんだと言っていた。
小さくてもしっかりしてるんだね。ウチのたかしとは大違いだ。エライ、エライ。
わたしはジャックにニッコリ笑った。ジャックも照れ臭そうに笑って、また石板に向かった。
他の子供たちも、ここで基本の文字や計算を覚えて、いつかそれぞれ巣立って行くのだろう。
「アンジェお姉ちゃん、お腹空いた。」
子供たちの1人がわたしの服の裾を引っ張った。
「あぁ、沢山勉強頑張ってるもんね。」
そろそろ集中も切れる頃だろうし、一息着きますか。わたしは厨房に入って、準備していたフレンチトーストを焼き始めた。
甘い香りが部屋一杯に広がって、子供たちもスンスンと鼻を鳴らす。
「いい匂いだね。今日は何かな?」
子供たちも期待しているように見える。
あら?匂いに気づいたのかリタさんもやってきた。
「私も手伝うわ。」
リタさんは隣でお茶を入れ始めた。
大皿に山盛りにフレンチトーストを重ね、取り皿を準備していると、テーブルを片付け終わった子供たちが、手伝いに来てくれた。
ジャックがフレンチトーストのお皿をテーブルに運んでくれる。
並べ終わったら、みんなで席につき、フレンチトーストを取り分ける。ロイド先生にも取り分けてあげたら、笑顔でありがとうと受け取ってくれた。
「いただきまーす」
わたしが食べる前に言うので、子供たちも真似し始めたのだ。毎回長いお祈りを言うのも面倒だったりするので。神父様がいない時やおやつの時だけ(笑)
みんな1口食べて、美味しいと笑顔になってくれる。手をほっぺたに当てて、ニコニコしながら頬張る子供たち。
ロイド先生もその様子を見て、ちょっと驚いたような顔をしてる。そこ、驚くとこかな?
ロイド先生はお皿を持つと、上から、横から、色んな角度からフレンチトーストを見て、それからフォークで1口に切ってからパクリと食べた。
「……美味い……!」
ハッと目を見張って一言。そして味わうようにゆっくり食べ始めた。
そうでしょう、そうでしょう。フレンチトースト、甘くて美味しいよね。固くなったパンがふっくら柔らかくなるし、卵液が染みてトロトロうまうまなのだ。
うーん、幸せ♪疲れたら甘いもの最高♪
リタさんも美味しそうに食べてる。女の子は特に甘いもの好きだもんね。
山のように作ったはずのフレンチトーストがあっという間に無くなっちゃった。
「いやぁー、珍しいモノを頂きました。凄く美味しかったです。ごちそうさま。」
ロイド先生がニッコリ微笑んで言った。お粗末様とわたしも微笑み返す。
「あなたが厨房に入られてるのですか?」
ロイド先生が、意外そうな顔でたずねた。
「はい、わたしにできるのって、今の所この位みたいなので。」
わたしがそう言うと、ロイド先生は不思議そうな顔をした。
「貴方の見た目はどう見ても、貴族のお嬢さんに見えるのに、料理が得意だなんて、正直びっくりしました。」
そうですよね、普通、貴族のお嬢さんはそういう事しませんよね。ごもっともです。
「そうですねー、どうしてなのか、わたしもサッパリです。覚えてないので。」
と、記憶喪失のせいにして曖昧に答える。
「何か、覚えてる事とかないのですか?」
「えぇ、キレイサッパリ忘れてるみたいですね。すみません。」
パリパリと頭をかくわたし。そんなわたしを先生はじっと見つめていた。
「また来ます。」
先生は急に立ち上がるとそう言った。私の家族については私の方でも調べてみますね。と複雑な顔をして言う。
「それから……、次来る時に何か欲しい物はありますか?」
あらヤダ、先生ったら。次はお土産くれるのかしら?
「美味しいフレンチトーストのお礼です。」
あぁ素敵な微笑み!!微笑みの爆弾です。これはもう、凶器ですよ。
「あ、だったら調味料を……。」
思わず言ってしまった一言に、ロイド先生もポカンと……。
微妙な空気デス。
「……ダメですか……?」
だってココには塩位しか調味料らしきものがないんです。まだ外出許可が下りないわたしにはそれを揃える方法が……。
ハハハ……ロイド先生は急に笑いだして、失敬、とまだ、笑いを堪えながら、解りました。と言った。
「貴女はホントに面白い方だ。」
そう言って、ロイド先生は去っていった。子供たちにもサヨナラを言ってから。
面白いって……。それって褒め言葉なのかしら?
でも次は調味料ゲット出来そうだから、ま、いっか。ロイド先生イケメンだし。
そう思いながら、わたしは先生の出て行ったドアを見つめていた。
いつもありがとうございます。
やっと恋愛の片鱗が見えてきたのか、来ないのか……。
因みに私的にはイケメンは恋愛対象ではなく、鑑賞対象ですwww