嵐の後でε-(´∀`;)ホッ
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本編最終章のはじまりはじまりデス。
襲撃から一夜明けた孤児院からスタートです。
嵐のような夜が明けて、朝……。
わたしはいつものように朝食を準備して子供たちを待った。
まず起きてくるのはジャックだ。
「おはよう。」
あいさつをした時に何となく察したのか、ジャックがじっとわたしを見つめた。
「……ねぇちゃん。」
「どしたの?」
「……なんかいつもと感じが違う……。」
そう言ってからはっとしてちょっとびっくりしたように呟いた。
「もしかして……思い出した?」
ジャックはホントに察しの良い子だ。ツンデレだけど、気が回る……(笑)。
「解る?」
わたしが首を傾げると、ジャックは頷いた。
「何となく……。どことは言えないんだけど、雰囲気……かな。いつものねぇちゃんなのに、どこか違う……。」
泣きそうなジャックの声に、わたしは頷いた。
「……思い出しちゃった……。」
「良かったじゃんか。これでねぇちゃん家に帰れるし……。」
健気に振舞ってるけど、寂しさが見え隠れしてるよ……。わたしはジャックの頭を優しく撫でた。ジャックは一瞬ビクリと身を震わせたけど、大人しくされるがままにしてくれる。
「いつもいっぱい助けてくれてありがとうね。」
あぁ、わたしも涙が出そう……。記憶が戻ったら家に帰らないと行けない……。ここでの生活は私には楽し過ぎた……。もっと一緒に居て、皆が巣立つのを見送りたかった……。そんな想いが過ぎった。
「あれ?おはよう。お姉ちゃん。」
マルティちゃんの声にはっとして私たちの涙は引っ込んでしまった。ある意味ナイスアシスト。グッジョブだわ、マルティちゃん。
「ジャックばかりなでなでしてもらってズルい。わたしにもなでなでして〜〜。」
マルティちゃんが駆け寄ってわたしに抱きついた。
マルティちゃん可愛い♪
わたしはニコニコしながらマルティちゃんの頭をなでなでする。マルティちゃんは満面の笑みで御満悦の様子だ。
そうこうしていると、他の子供たちも降りて来てワイワイと朝ごはんの準備を整え始めたので、ジャックとの話はここで中断となった。
そして、みんなで揃って朝ごはんとなった訳なのだが、今日は神父様達も同席していた。勿論、わたしのことを説明する為である。
「子供たち、よく聞きなさい。」
神父様の声に子供たちが、神父様の方を向いて耳を傾ける。
「実はな、アンジェの記憶が戻った。」
子供たちが顔を見合わせる。そして、次にわたしをじっと見つめた。
「お姉ちゃん、良かったね。」
子供たちが口々に言う。わたしもにっこりありがとうと答えた。そのうち、一人が気づいたように、口を開いた。
「じゃあ、お姉ちゃん、お家に帰っちゃうの?」
子供たちがシーンと静まり返り、一気にお葬式の様相を呈した。まさに、ブ……ブリザード状態……。
わたしが何も答えられずにアワアワしていると、神父様が代わりに答える。
「そうじゃな、ただ、帰るにも色々手続きが必要だから、あと少しは一緒に居られるじゃろう。お前達もアンジェと離れるのは辛かろうが、今まで探していた家の者達もきっと心配していたのだろうから、早く家族に会って安心して貰った方が良いだろう?」
神父様に優しく諭されて、子供たちも素直に頷いた。
「アンジェも、あと少し、子供たちと沢山触れ合ってくれ。」
神父様の言葉にわたしもこくんと頷いた。確かに、お父様がとても心配していたらしいので、1度顔を見せておかないといけないだろう。リュシアン様は部下の方達と一度お城に戻って、お爺様に報告してから迎えに来ると仰ってたっけ……?1度あちらに顔を出して、それからこちらに戻って帰る準備をして……。子供たちと一緒に過ごせるのもあと僅かだと思うと、とても寂しい。
いつもワイワイと食べる朝ごはんだが、この日はなんだかしんみりとした食卓になってしまったのだった……。




