収穫祭の夜に……ドキ(((*〃゜艸゜))ドキその2
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やっとここまで来ました〜〜。
「リュシアンさま…?」
思わず漏れた言葉にその場に居た全員が止まる。
「レーチェ…?」
ロイド先生の言葉と共にわたしの体に電流が流れた様な衝撃が走った。
その瞬間、私の中の欠けてたパズルのピースがカチリと嵌り、失った過去が怒涛の如く頭に流れ込んできた。
わたしの名前は……そう、レイチェル。レイチェル·ド·トリシェ……。
子爵家令嬢で、この街の領主であるロイド先生ことリュシアン·オー·オーブレイ伯爵の婚約者……。
わたしは……、わたしは……。
そう、あの時あの男から命からがら逃げたのだ。義母の護衛であるあの男……。
「ピエールさん……。」
その言葉を聞いて彼は雷に打たれたかのようにガックリと膝を付いた。
「思い出されたか……。」
その瞬間、リュシアンさまはわたしの方に走りより、ふわっと抱きしめた。
「レーチェ!」
「リュシアンさま……。」
「どんなにヤキモキした事か……。」
そしてわたしを抱き寄せたまま、ピエールさんの方に向き直った。
「お前がレーチェを襲ったのだな?」
ピエールさんが頷く。
「主命と言う事は、……エロイーズか?」
ピエールさんはそれには答えなかった。
無言を肯定と受け取って、リュシアンさまはため息をついた。
「バカな事を……。」
「奥様はエミリーヌ様が心配なだけなのだ……。」
ピエールさんはそう呟いた。エミリーヌはわたしの義姉で、義母の連れ子だ。お義姉様は気さくでそういう事には疎い方だったと思うけれど……?
「レーチェを失ったら、エミリーヌがその座に収まると考えたのなら、それは大きな間違いだな。」
リュシアンさまが静かに答えた。
そうなのだ。この婚約は私だから成立しているのだ。亡くなった母の娘のわたしだから……。
「我が父とレーチェの母親が従妹だからこその婚約なのだ。トリシェの家とは全く関係ない。それを知らずにまた欲をかいたものだな……。」
ピエールさんは大きく目を見開いた。
「そんな……。」
「残念だったな……。」
リュシアンさまがまた溜息を吐いた。
「後ほど詳しく話を聞くと、エロイーズに伝えよ。」
ピエールさんは力なく頷くと、義母の元へと向かった。そして、入れ違いでレオンさんが入ってきた。
「終わったのか?」
レオンさんの言葉にリュシアンさまが頷く。
「外で待機してた奴らはのして置いたから、ピエールと一緒に1度向こうに戻るんじゃないか。」
そう言ってレオンさんはクビを竦めた。
「教会で流血沙汰はご法度だからな。」
と、ニヤリ。
「……にしても、アンジェ…いや、レイチェル、頑張ったな。」
レオンさんがわたしの頭をいつものようにポンポンと叩いた。わたしがニッコリ笑うとレオンさんも破顔する。
「レオン……。レーチェに触れるな。」
リュシアンさまが不満げに呟いた。リュシアンさまは結構焼きもち焼きだったな、そう言えば。と、今更のように思い出してわたしは苦笑いした。
そして、再びリュシアンさまを見上げると、リュシアンさまはわたしを優しく見つめて……、額に優しくキスをしたのだった。




