次の相談者は…( ̄▽ ̄;)
いつもありがとうございます♪
お待たせしました〜。
それはわたしが花壇の手入れをしている時の事だった。
「アンジェさん、こんにちわ〜。」
と、少し控え目に声を掛けてきたのは、肉屋の三男、ラルフさんだった。その声に振り向くと、今日はラルフさんだけでなく、マッチョなお兄さんが二人…。ラルフさんのお兄さん達かしら?。
「今日は兄達も相談したいと言われて…。」
連れてきました。とラルフさんは言った。
先日の豚汁、家族に好評だったみたいで、お母さんも喜んで手伝ってくれるとか、ラルフさんほんとに良かったね。
で、今回はお兄さん達が串焼きをアレンジしたいのでアドバイスをお願いしたいとやってきた……らしい。
……らしいのだが、なんかこの2人、圧が凄い…。キラキラしてて、圧が……。なんなのだろう……?
わたしは首を傾げながらラルフさんの話を聞く。
「えっと…、串焼きのアレンジですか…。」
ここの串焼きって基本は塩だったよね?たしか……。だったら醤油ダレとか、味噌ダレとか…そんな感じが良いのかしら?
う〜〜ん。と、考える……。考えているのだが、なんだかマッチョブラザーズの視線が嫌だ。ちょっと集中出来ない。
「アンジェちゃん…。」
ちょっと馴れ馴れしい感じで片方が声を掛けてきた。
「何か良い案あるかな?」
ちょっと集中したいので、黙ってて欲しい…。
そんなやり取りを傍で見ていたジャックはいつの間にか消えていて……。マルティちゃんがわたしの服の端をギュッと握った。ちょっと不穏な空気である。
「とりあえず、食堂に移動しましょうか?どうぞ。」
わたしはそう言ってマルティちゃんと手を繋ぐと、孤児院の方に歩き出した。肉屋の3兄弟は後ろからついてきた。
3人を食堂に案内して適当に椅子を勧めてから、私とマルティちゃんは洗面所に向かい、手を洗って土を落としてから再び食堂に戻る。3人にお茶を出したあと、そこで待ってるように言ってわたしはマルティちゃんとキッチンに立った。
「あの人たち、なんかやな感じなの。」
マルティちゃんが言う。確かにマッチョブラザーズは馴れ馴れしい。お店でもお客さんにそんな感じで接してるのかしら?ちょっとチャラいよね。わたしはマルティちゃんに頷きながら苦笑する。
「とりあえず、串焼き作ってみようか?手伝ってくれる?」
マルティちゃんに尋ねると、マルティちゃんは頷いて肉を串に刺すのを手伝ってくれた。
串焼き用の網はさすがに無いので、フライパンで焼いていく。塩コショウのと、醤油と味醂を混ぜたタレと味噌と味醂にハチミツを加えた味噌ダレの3種類の串を作ると皿に入れて持って行った。
「串焼き3種類の味付けです。」
わたしがそう言ってテーブルに皿を置くと、3人はそれぞれ串を取って1口ずつ食べては交換して味見をし合った。
「うん、美味い。」
「醤油良いなぁ。」
「味噌も中々…。」
それぞれ顔を寄せあって感想を言い合っている。わたしとマルティちゃんは3人の様子を見ながら感想を待った。
「さすがアンジェちゃん。良いね〜。」
マッチョブラザーズの片割れが言った。
「醤油と味噌、どちらも捨てがたい。」
もう1人が言う。ラルフさんはうんうん頷いている。
「アンジェさん、急に訪ねたのにありがとうございます。」
さすがラルフさんは礼儀正しい。それなのにマッチョブラザーズと来たら……ちょっと、なんでこちらを見ながらニヤニヤと…。キモイんですけど……。
「で、アンジェちゃんは彼氏とかいるのかな?」
ニヤニヤ……。あ、コレわたしの苦手なヤツ……。どう答えようか迷っていたちょうどその時である。
「オイオイ。」
救世主、レオンさん登場♪ナイスなタイミングである。
「ナンパはダメだってトマスから言われなかったか?」
心無しか怒っているようにも見える顔でレオンさんは続けた。あ、後ろにジャックが……。探しに行ってくれたのか、ありがとうジャック。
マッチョブラザーズはレオンさんを見るとサッと顔色を変えて違う方向を向いた。
「ん?お前らは……、この前俺がゲンコツしたやつじゃないか?」
え?ゲンコツって何?わたしの目が丸くなる。
マッチョブラザーズは気持ち青くなってる感じ?ラルフさんはそれを見て不思議そうな顔をしているから、ラルフさんは知らないのか。
「全く、性懲りも無く……。もう1回いっとくか?」
レオンさんが手をグーにして見せると、マッチョブラザーズは明らかに顔色を変えた。
「す……、すいません。」
小さな声で2人が呟く。ラルフさんは首を傾げる。ほんとにラルフさん鈍感というか、察しが悪いというか、なんか笑えるくらいだ。
「お前ら出禁。」
レオンさんが冷めた顔で言うと、マッチョブラザーズはすごすごと立ち上がった。ラルフさんも慌てて立ち上がる。
「アドバイスありがとうございました。後でラルフにでもレシピ教えてください。」
ぺこりと頭を下げて2人は逃げるように出ていった。ラルフさんはどうしたら良いのか分からずに兄の方と私たちを交互に見てオタオタした。
わたしはやれやれと首を振ってから、ラルフさんにレシピを書いて渡した。
「なんかすみません?」
ラルフさんがよく分からないまま謝った。なんかちょっとウケる笑。
「レシピありがとうございます。兄に渡しておきますね。今日はありがとうございました。」
ラルフさんは丁寧に何度も頭を下げて帰って行った。
「アンジェ。」
レオンさんが呆れたような声で私を呼ぶ。
「ありがとうございます。助かりました。」
わたしが苦笑いすると、レオンさんはため息を着いた。
「アンジェは1人で庭に出るの禁止な。」
えーっ、なんでー?わたしが不服そうな顔をするとジャックがヤレヤレと首を振る。
「ねーちゃん、さっきみたいのはアイツらだけじゃないんだからな。」
あ、そっかー、今のがオベールさんが言ってた人達ね〜。なるほど面倒臭い人達だわ……。
「……はい……。」
わたしがションボリ答えると、マルティちゃんがわたしの腕にギュッと抱きついてニッコリ笑った。
「大丈夫。庭に出る時は私たちが居るから。必ず声掛けてね。」
なんかマルティちゃんカッコイイ。頼もしいね〜。
「分かった。頼りにしてるね。」
わたしがニッコリ返すと。マルティちゃんは満足そうに笑った。
「ジャック、よく教えてくれたな。」
レオンさんがジャックの頭をガシガシと撫でた。ちょっと照れくさそうだよ、ジャック。褒められて嬉しいのかジャックも満更でも無さそうだ。
「これからも頼むぞ。」
レオンさんの言葉にジャックは頷いた。
「俺も一緒に庭に出てやるから。」
うん、分かった。わたしがコクリと頷くとジャックも満足そうに笑う。
なんかみんなに守らてるな、わたし。




