保冷庫の謎について。( ˘ーωー˘ )フーン?
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その日わたしはふと考えていた。
いつもわたしが気軽に使っているこの保冷庫……。冷蔵庫のような役目を果たしてる訳だが、動力源は一体何なのだろう……?この世界には、電気と言われるものは無いみたいなんだけど、ひんやりしている……。うーん、改めて考えると謎。
そんな事を考えていると、どうした?とレオンさんが覗きに来た。
「レオンさん……。保冷庫ってどうしてこんなに冷たいんでしょうね?」
「そりゃ、保冷庫だから、冷やす為にヒンヤリしてるんでしょ。」
「いやいや、そうじゃなくて……。この動力源って一体何なんですか?」
それを聞いたレオンさんは、ピクっと一瞬固まった後、ヤレヤレと呆れたように言った。
「魔力に決まってるでしょ。」
魔力~〜〜〜っっ?!異世界だとは思っていたけど、周りの人達が魔法とか全く使ってる様子も無かったから、そんなのがあるなんて、ちっとも思ってなかったよ~〜〜。
「そーなんだ?!」
わたしはビックリして口をあんぐり開けてしまった。その様子を半ば不思議そうにレオンさんは見ている。
「なんでそんなのも知らないの?」
「………記憶喪失?」
わたしは首を傾げた。
レオンさん、ホント、そんな目で呆れたようにわたしを見ないで下さい。あわわ、憐れみもこもっているし……。
「……すみません。」
深く頭を下げると、レオンさんは溜息を付いて、わたしの頭の上にポンっと手を乗せた。
「記憶喪失なら、しょうがないやね。」
「はあ、すみません。」
レオンさんはその手でクシャクシャとわたしの頭を撫でて、ニカッと笑った。
「分からないことがあったら、いつでも聞けよ。」
「はい!」
と、わたしは元気よく答えた。
でも、ここが魔法の世界なら色々聞きたいことがあるんだけど、とりあえずは今最大の疑問を言葉にしてみた。
「あの……、保冷庫はあるのになぜ、冷凍庫は無いんですか?便利なのに……。」
「冷凍庫?」
「はい、その名の通り、物を凍らして保存するハコです。」
レオンさんはうーんと考えて、
「それは必要無いと思われてるからだろうな。」
と答えた。
「え?冷凍庫便利ですよ?冷凍保存便利ですし、氷を作ることもできるし……。」
「冷凍保存はよく分からんが、氷は作れるぞ。」
「へっ?」
レオンさんがほら、と掌を上にして差し出した。
そしてぎゅっと握った後、パッと手を開いた。
「え?」
掌には1塊の氷……。
「これが魔法だな。」
ニヤリとレオンさんが笑ってわたしに氷を手渡した。
冷たい……。ヒンヤリとしたそれはわたしの手の上で溶けずにある。
「作り手の魔力量によって、耐久が違うんだよ。これは夜までは溶けない。」
ニヤニヤしながらレオンさんが言った。
「俺はどっちかっていうと、火属性が得意だから、氷大量に作るとかは苦手なんだが、ロイドは氷や水属性の魔法が得意だぞ。」
へぇ~。と感心しながら氷を見つめるわたしにレオンさんがそう言った。
「嬢ちゃんも気づいてないかもしれないけど、魔力使ってるからな。」
「へ?」
わたし、何もやってませんけど?!どういう事?
あんぐり口を開けてるわたしにレオンさんが畳み掛ける。
「料理だよ。食べた者に力を与える。シスターマリアが元気になったのが良い例だ。」
「それって、美味しい物を食べたから元気になったんじゃ……???」
今度はレオンさんが呆れたような顔をした。
「記憶喪失のせいで、魔力垂れ流し状態なんだろうな……。多分。今んとこそれが料理だけに活かされてるだけだから、誰も気付いてないのかもしれないけど。」
レオンさんが言った。
そうなんだろうか……。全く気が付かなかったよ。
「魔法って、念じるだけでも発動したりするから気をつけろよ。」
ちょっと真顔になって、レオンさんが言った。
「あ……。」
思い当たる節が……。料理を作りながら、わたしはいつも美味しくなあれって念じてた……。
もしかしてソレ??
「可能性はあるな。」
「でも、それはクセみたいなものだから止められないですよ。」
困ったようにわたしがそう言うと、レオンさんは笑った。
「発動は今の所料理に関してだけだから、多分大丈夫だ。だが、そう言う魔力があると言うことだけは覚えていた方が良い。」
わたしはコクンと頷いたのだった。




