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BLOOD DONOR  作者: ソン
4/9

「曇り空」


昼下がりの午後、その日は曇り空だった。

教授の講義に対するベンの感想くらいモヤモヤとした暑い雲が空を覆う日だった。


授業の終わりを告げるチャイムの中、続々と学生たちが席を後にしていく中、ベンも鞄に教科書を詰めていた。


ベンが教室から出ようと扉に手をかけた時だった。



『だから、ヴァンパイアいますよ!』


教室中に響いたその声を聞いた時、ベンは思わず声のした方を振り返ってしまった。


振り返ると小柄な男子学生が教授の横に立ち、何か本を広げてうったえていた。


ベンが振り返った瞬間、一瞬男子学生と目があった気がした、すぐにベンは目を逸らした。


周りの学生はベン以外はほとんど教室を後にした後だった。


男子学生に教授は呆れながら続けた。

『また君かね…。

君の話は何度も聞いたがな。

やはりそのような話わね…。

幾ら僕もね…

信じがたいんだよ。』


『でも、先生!』


『じゃあ、僕は次の講義あるからね。』

教授は男子学生の肩を手を置いて言い残すと教室から出ていった。


教授が出ていくと男子学生はベンの方を見た。

今度は本当に目があってしまい

ベンは慌てて扉の方に向き帰り、扉に手をかけて

部屋から出たのだった。



部屋から出た後もベンの頭の中には

男子学生の言葉が響いた。


『どうかしたの?』

顔を上げると別の講義を終えたオリビアがベンの顔を心配そうに覗き込んでいた。


オリビアは講義を終えて、ベンのいる教室まで迎えにきたのだった。

『いや、なんでもないよ。』


『そう。』

少し納得のいかない様子のオリビアだった。


そのあと、いつもの木の下で2人で過ごしていた。


ずっと、その間もベンの頭の中にはさっきの男子学生のことが頭の中を占めた。


ベンはオリビアに男子学生の話をするか悩んだ。


『オリビ』

『そんなところに居ないで出てきたらどうかしら』


ベンがオリビアの名前呼んだ時にオリビアが同時に発した。


ベンにはその言葉の意味が最初意味がわからなかったが、すぐに意味がわかった。


少し離れた木陰から、青年が現れた。

青年は口元を緩ませて、オリビアの方に近づいてきた。


青年とベンが目が合うと、青年は冷たい目でベンを見たのだった。


『なんだ、気づいてたのか』

青年はオリビアに笑みを向けた。

『ずっと前から気づいてたわ、以前も来てたでしょ。』

オリビアの声にベンはえらく冷たく感じた。

『なんだ、それも気付かれたのか』


『ベン、紹介するわ、彼はクラウス』

オリビアはベンにクラウスという青年を紹介した。

『クラウス、彼はベン。』

同じく、クラウスにもベンを紹介した。


『あー、よろしく。』

クラウスは冷たい声で答えた。


『よろしく…。』

ベンもそれにこたえた。


『っで、クラウス、貴方は何しに来たのかしら?』


『別に婚約者がどんな学校生活送っているか、見に来ても構わないはずさ』


『婚約者…?』


『あれ?オリビア。

クラークくんには言ってなかったのかい?』

クラウスは意気揚々とオリビアの方を見て話しかけた。


『まだ候補のはずよ。』

それに対して、オリビアは冷たく言い切った。


『候補者の中でも僕でほとんど決まりだね。』


『そういえば、ローズはどうしたの?』


ベンにはローズという名が誰のことを指すのかわからなかったが、その名前を聞いて、明らかにクラウスが不機嫌になったことは伺えた。


『ローズには関係ないことだ。』

クラウスはムスッして返した。


『あら。そう。

じゃあ、私達はこれで失礼するわ。

ベン、行きましょう。』


オリビアはベンを連れて、帰ろうとした。


『まぁ、待ちなよ。

今日は、君のお父様にお屋敷にお邪魔する約束をしてるんだよ。』


『あら。そう。』


『だから、君と帰ろうかなと思ってるんだけど。』


その言葉に対して明らかに返答に困っているオリビア。


『今日、僕、歩いて帰るよ』

ベンは状況を察してオリビアに伝えた。


『え、でも…』


『いいよ』


それに対して、申し訳なそうにするオリビアと

満足気にするクラウスだった。


『じゃあ、帰ろうかオリビア』


『また明日ね。ベン。』


別々に帰路についたのだった。

帰り道、ベンは1人歩きながら

オリビアに婚約者クラウスがいたこと

男子学生の『ヴァンパイアはいますよ』の言葉の意味や悶々と考えことした。


空は相変わらず厚い雲に覆われていた。

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