4・メモも文章も素早さが命
さて、主人公が歩き出し、いろんな表情を見せる様になりましたね。
しかし、その歩みは私達の想像力に後押しされ、どんどん先へ先へと進んでいってしまいます。
その速さは私達が物語を書くよりもずっと速く、追いつけない事をもどかしく思う事があると思います。
そして、書けないまま忘れてしまう事も多々あるでしょう。
そこで、忘れる前に『メモ』を取るのです。
思いついた物語は非常に大きく豊かであると思います。その情報量を忘れる前に全て書き取るのは、まぁ無理です。
なので、場面を思い起こせる『キーワード』を書き残しましょう。
キーワードは、場面や展開を集約させたいくつかの簡単な単語にします。その単語を見ただけで、思い描いていた物語が全て思い出せる様にするのです。
例えば
『林でモンスターと戦い、その後途方にくれる。運良く通りかかった冒険者パーティに助けてもらい、町へと移動する』
という展開を思いついたとします。
で、それを想起できるキーワードを単語にしてメモします。
『林』『戦い』『困る』『パーティ』『町へ』
と、これだけで何があったか簡単に思い出せるはずです。
メモもなるべく素早く取る様にしましょう。記憶は砂時計の様にあっという間に流れ落ちてしまうものですから。
私はメモは必ずボールペンで書いています。アナログです。ポケットに入れておけばすぐに書けるからです。
もう手の甲に書いちゃいます。1番早く書けます。紙を引っ張り出す時間すら惜しい。
その後で紙に書き写せばいいのです。この段階ではまだ上手くまとめよう、なんて考えてはいけません。素早く、メチャクチャが良いのです。
では、メモに書いたキーワードを再びまとめ直しましょう。
具体的に「いつ」「誰が」「どこで」「何をした」のか。その場面と他の場面の繋がりは。その順番は。
これが物語の骨組み『プロット』となります。
先程の例文とメモをプロットに直してみますね。
『主人公、林で複数のモンスターと戦闘』
↓
『ダメージを負うも回復方法がわからず途方にくれる』
↓
『偶然通りかかった4人組の冒険者パーティに助けてもらう』
↓
『町まで行動を共にする。自己紹介する』
こんな感じに場面と展開を簡単にまとめ、矢印で順番に並べます。
さらに、場面ごとの展開が複雑な場合、場面内の詳細な様子もプロットにしてみるのもいいと思います。
最初の林での場面を細かくしてみますね。
『主人公、森を歩いているとコボルト3匹と遭遇』
↓
『悪人面のモンスターにやる気を出す。体の感覚を確認。構える』
↓
『1匹目の鳩尾に3発。攻撃を躱しながら2匹目をボコ殴り。3匹目は武器を奪って倒す。まだ生きてた1匹目にとどめ』
これで文章を書く時、思いついた展開を忘れずに書いていけると思います。
当然、もっと面白い展開を思いついたら、プロットを無視してもいいです。新たに書き直しましょう。
ただ、一応どっちが面白いか比較用に前のプロットは残しておいた方がいいです。
では、まとめ。
『メモは素早く。簡単な単語で』
『メモに書いたキーワードをまとめて場面を作り上げる。その場面を順番に並べてプロットを組み立てる』
『複雑な場面はより細かいプロットを作る』
文章を書く時も、最初は簡単な言葉で箇条書きにした方が早く書き進められます。
前回のセリフや感情表現の技法も一旦忘れちゃって下さい。「言った」「思った」「怒った」「悲しんだ」など、直接的な言葉でどんどん先へ書き進めてしまいましょう。
最初に物語の「芯」を作る感じになります。
一区切りついたら肉付けしていけばいいのです。パソコンやスマホなら後々書き直せますしね。
それでは、これを読んで下さったあなたのお役に少しでも立てたなら嬉しく思います。
ちなみに、例文のプロットがどういった完成形になったかは、私が投稿している『ミケのオンラインリハビリテーション 第4話~5話』を見てみて下さい。