3・セリフと感情は体で表現
キャラクターがいればセリフをしゃべったり、いろんな感情が露になったりしますよね。
場面に合わせて自分の意思を伝える為に言葉を紡ぎます。
喜んだり、怒ったり、悲しんだりといろんな表情も思い浮かぶと思います。
今回、そんなキャラクターの表現方法を書いていこうと思います。
小説ではキャラクターが話す時「」内にセリフを入れ、その前後に誰のセリフかを記入してある場合が多いでしょう。
「それでは説明します」
と、私は言った。
みたいに。
これは簡潔に書いていますが、この書き方には欠点があります。
既に「」内にセリフで言ってあるので、『言った』は無くてもわかる事ですよね。
では、ちょっと変えてみます。こうすると、場面が頭に想像できる様になるはずです。
「それでは説明します」
と、私は黒板を叩きながら教室を見回した。
こうやってセリフと一緒にキャラクターの動作を書くと『私』がどういう人物なのかも見えてくるでしょう。
他にもバリエーションを付けてみます。
「それでは説明します」
ホントは面倒臭い。なんて罰当たりな事を考えている。
セリフとはまた別に『私』の感情や思っている事を書いたり。
「それでは説明します」
額に銃を突き付けられながら、私は刺激しない様にゆっくり手を上げた。
『私』以外の存在をほのめかしたりもできます。
基本的には『誰が言っているのか』と『キャラクターの動作』を書けば良いのです。
感情表現。
こちらも基本的には同じだったりします。
私は怒った。
喜怒哀楽、驚恐困嫌。いろんな感情表現があります。
でも、ただ「怒った」、「喜んだ」と書いても味気ない。同じ怒りでも激しい怒りなのか、イライラしているのか。はたまた怒ったふりなのかも知れません。色々な怒りがあるはずです。
これも動作で表現します。
私は歯を食いしばり、震える拳を硬く、硬く握り締めていた。
感情で生じた行動を書けば、その度合いを計る事ができる様になりますし、キャラクターの性格や状況説明の役割も果たします。
『喜』
浮かべた涙を指先で拭い、彼女ははにかみながら微笑んでくれた。
『哀』
もうそれが二度と戻る事はないと理解した途端、私の膝は崩れ落ちた。
『楽』
私は吹き出しそうになるのをこらえ、バレない様にこっそり腿をつねった。
『驚』
私は目を見開き、それを見ている。アゴは外れる寸前まで開かれていた。
『恐』
ブワリと背中に汗が滲む。私は逃げ出しそうになる脚を無理矢理押さえつけ、震える膝を何度も叩いた。
『困』
私はもう何度も同じ場所をグルグル回っている。
『嫌』
目に涙が滲み、胃がこみ上げてきそうになる。触れられた肩に鳥肌が立ち、私はその手を払い除けた。
こんな感じで『キャラクターの動作』で感情も表現できます。この方が場面も想像しやすいでしょう。
それから、地の文で形容詞を使った感想も避けます。
具体的には「美しい」や「美味しい」など、見たり体験すれば簡単にわかる様な事です。
どう「美しい」のか。どう「美味しい」のか。
そのまま見た目を書けば良いのです。できるだけ具体的に。詳細に。そうすればその良さは伝わります。
色は、表面の光沢はあるのか、どんな飾りが付いているのか。
甘いのか、塩辛いのか、匂いは、食感は、熱いのか冷たいのか、など。
これは自分で見て、体験して、良いと思ったものをそのまま書いてみる所から始めてみて下さい。自分の率直な感想はリアリティーを持つはずです。
その後の「美しい」、「美味しい」などの率直な感想は、キャラクターにセリフとして言ってもらえば良いのです。
その組み合わせが
「面白い!」
のです。
では、まとめ。
『セリフと一緒にキャラクターの動作を書く。または感情や思っている事など』
『感情表現はキャラクターの動作で表現する』
『形容詞は避ける』
それでは、これを読んで下さったあなたのお役に少しでも立てたなら嬉しく思います。
決して感情表現の例文を入れ替えて読んではいけませんよ。約束です。